異聞・少女義経伝・四
地上の星
【第十六章】
〜襲撃〜
「よう、来たか嬢ちゃん達」
「嬢ちゃんたちはねーだろ、エリオもいるんだぜ」
「そっちで来たか、ヴィータ教官殿・・と、無駄話してる場合じゃねーやな」
「会議に参加される要人達は、既に会議場に入られてるんですよね」
「まあな。おめーさん達も、不寝番ご苦労さんだったな」
「不寝番って言っても、交代でしたから」
「まあな。…夜の内は、襲撃はねえだろうから、大抵の隊員はゆっくり休ませてたぜ。
これからが、本番だろうな」
ここは、ミッドチルダ地上本部の陸士１０８部隊前線司令部。
なんて言い方しても、べつに実体はそんなたいしたもんじゃねー。
指揮車両が一台、駐車場に止めてあって、あとは、置くだけの仮設テントが
仮眠用に並べてあるだけだ。
お偉いさんがたの会場入りんときには、あたしらは仮眠中だったから全然見てねぇ。
首都航空隊の連中ががちがちに固めて、それなりに派手だったらしいけどさ。
今は、陸士隊の主力どころか、首都航空隊も分散して警戒態勢に入っている。
レジアス閣下だって、何も起きないとは言っても、一抹の不安はあるみてーで
例年にない厳戒態勢じゃあるみたいだぜ。…めだたねーよーにってお達しだけどよ。
「それで、あたしらの布陣はどうなってんだ？」
「どうって言ってもよ。おめーらの仕事は、なんかあった時のデバイス輸送だろ。
まあ、ここで待機しとけよ。陸士隊の現場指揮はギンガがやってるし
俺の仕事は、状況の把握が第一だからな」
「…状況把握って言っても、要は通信を拾うだけですよね」
「ま、その通りだが、今回は特別な手伝いが来てるからよ」
「特別な手伝いですか？リインフォースツヴァイ曹長は、特別な手伝いという訳でもないでしょう」
「ティアナだったっけか。つっこみありがとよ。
…おい、アコース査察官、今、手が離せるかい？」
「ええ、大丈夫ですよ…やあ、こんにちは。…それとも、お久しぶりっていうほうが良かったかな」
「アコース査察官？！…どうして、査察官がこちらに？」
「本局所属の査察官は、陸、海に関わらず、どんな部署でも抜き打ちで査察する権限があるからね。
今日は、陸士１０８部隊の抜き打ち査察っていう訳…名目上ね」
「名目上って…」
「本局の情報部からの情報と、ベルカ自治領所属のベルカ騎士団の情報網、それから
特別に協力してもらっている、地上本部情報部からの情報も、ここで受けられるようにしてる。
機動六課とも通信回線を維持してるから、クラナガンで何が起きているかは、ここで
全部把握できるよ。…君たちに、適切な情報サポートを行うために、可能な限りの
支援はするつもりだ」
「…ありがとうございます。アコース査察官」
「お礼なら、ミゼット提督に言っておくんだね。…あの方の口添えが無ければ
君たちが、ここで警備につくことも無かっただろうから」
「…伝説の三提督が口添えしてくれたんですか？それって一体…」
「ミゼット提督って、あのミゼットばーちゃんの事か。
あのばーちゃん、あたしは好きだぜ」
「あの、ヴィータ副隊長、ミゼット提督とお知り合い…なんですか？」
「なんだよ、そう驚くなって。グレアムおじさんが引退する時に会って、それから
本局行ったときには、時々会うだけのことだよ。
ま、管理局の責任者っていっても、あれぐらいの大御所になると、実務はすることが無くて
毎日暇らしいけどさ」
「はは、毎日暇っていうほど、暇でもないけどね。
年中無休で１２時間ぐらい勤務してるだけだよ」
「…実務がなくて、それぐらい勤務時間があるんですか？」
「管理世界全体について、情報を頭に入れるだけで、それぐらいの時間は必要なんだよ。
なにしろ、あの三提督の所には、管理局の相談役として、いろんなやっかいごとが
持ち込まれるんだ。それに対して、適切な意見が言えるようでないとね」
「…そういうものなんですか」
「ああ、そうだよ…と、そろそろ僕も仕事に戻らなきゃ。
君たちは、ゆっくり休んでて。…僕も、カリムの予言が外れればいいとは思ってる。
…思ってるけど、今回は、当たるんじゃないかな。
だから、君たちには、今、ゆっくりと休んでいて欲しいんだ。
もし、予言が現実化する様なことがあれば、君たちが、頼りなんだから」
「まあ、あたしにまかせとけよ」
「ふふ、期待してるよ」
「なのは、そっちの様子はどう？」
「あ、フェイトちゃん、こっちは大丈夫」
「あ、機動六課のなのは教導官にフェイト執務官ですね。
楽圏のものなんですが、写真を撮らせてください」
「あ、はい、いいですよ…どうすればいいんでしょうか？」
「すいませんが、窓際で、こうリラックスしてる感じで…」
「こうですか？」
「ええ、ありがとうございます…」
ここは、管理局のラウンジである。
会議の模様を取材すべく、管理世界中から報道陣が集まってくる。
もちろん、まじめに会議を取材する記者もいれば、ゴシップ系の
取材がメインなマスコミも、マスコミなわけで、そんな取材は
なのはやフェイトをメインターゲットにいろんな話を聞こうとするわけだ。
「すいません、私門川の…」
「はい、なんでしょうか…」
ミッドチルダは、今のところ、平和なようだ。
さて、まじめな取材が行われている場面へと話を移そう。
管理局総会である。総会開会前に、ある程度根回しは行われているが
総会の議論と、何より総会の中休みでのロビー活動によって
最終的な結論が決まる。
その意味で、総会での各部署の演説は、重要な意味を持つ。
ここで、管理世界代表者達にインパクトを与える事が、総会での票集めに意味を持つのだ。
「…というわけでありまして、現在、ミッドチルダにおける犯罪の凶悪化はとどまる
所を知らないのであります。優秀な魔導師の数は限られており、さらにその魔導師を
民間と管理局とで奪い合う現状では、陸の安全を守るために、十分な数の
優秀な魔導師を確保することは、事実上不可能と言わざるを得ないのであります。
故に、私は、陸上部隊の編成の抜本的改革を提案したい。
現在の一般魔導師部隊を縮小し、その予算を持って、ミッドチルダ防衛システムを
新たに構築するのであります。
その中核となるのが、魔道砲エインヘリアルであります。
このエインヘリアルによる火力支援システムが現実のものになるならば
ミッドチルダにおける凶悪犯罪の迅速な鎮圧、及び、市民や一般隊員への
犠牲の低下と、優秀な魔導師の過労の問題などを、一挙に解決出来ることは明らかで…」
（はぁ…こんな事言うてるから、本局から陸は危険や言われるんやけどな…）
（はやて、ぼやいても仕方がないですよ）
（わかってるわ。けど…魔導師の過労は、べつに火力が足りへんこととは、無関係やろ）
（魔力炉による魔道砲の配備…ミッドチルダ以外の管理世界では、ミッドチルダの
軍備拡張のように受け取られてるわね）
（カリムもそう思うやろ…けど、閣下にはそれが見えへんのやな。
レジアス中将にとっては、管理局はいつでも正義の味方で、管理局システムを受け入れへんのは
悪党でなければ馬鹿や思うてはるんやから）
（だけど、その熱意で、ミッドチルダの治安状況を改善したのも、事実ね）
（そうやな…けど、その熱意も、最近は空回り気味や思うわ。
優秀な魔導師の奪い合いいうて、最近は陸勤務希望者激減や。
みんな海志望で、陸に行くのは落ちこぼれみたいに言われてるからな）
（…はやて、それを何とかするための、地上の星計画なんでしょう？）
（せや…けど……これも、やな計画やな。事件が起きることが前提みたいになってもうた）
（予言を阻止して欲しい、これは事実よ）
（わかってる……わかってるけど…予言が外れて欲しい。今わたしは
切実にそう思うてる。機動六課立ち上げて半年経つけど、まだ敵の全容がつかめへん。
こんな状態で攻撃受けて、ほんまに、地上の星計画と、予言阻止と、出来るんやろか。
なのはちゃんフェイトちゃんが、パワーゲームで話し終わらせてもうたらあかんのよ）
（主はやて。まずは、予言阻止が優先かと）
（わかってる、けど…みんなが無事に一年過ごせたらええ。殉職者出すかもしれへんような
計画を推し進めたない。…私は非情にはなりきれんわ。この仕事、向いてへんのやろか）
（主に非情さは必要ありません。非情になる必要がないほど、強くなれば、いいのですから）
（レジアス閣下も、力を…）
「八神二佐、長距離砲撃魔法による支援についての証言をお願いします」
「わかりました、オーリス三佐」
それは、唐突に始まった。
怪盗じゃあるまいし、わざわざ予告状を送りつけてから、襲撃する敵なんているわけがないが。
しかし、クラナガン全域で警戒している管理局員達の目をくらませて、襲撃態勢に
入っているとは、さすがのアコース査察官ですら、想定外であった。
爆音が響く。
「！」
「馬鹿な！いきなり空中からS級砲撃魔法？…一体何が…」
直ちに、地上本部の防衛システムから提供される、クラナガン市街の
防空データにリンクする。
空中に、何人かの魔導師が浮いている…そのうちの３人は、データベースに情報がある。
以前、レリック１１番を回収した時に現れた、戦闘機人らしき連中だ。
さらに１人、高速機動を行った戦闘機人らしき存在のそばに、新しい魔導師がいる。
発生させている魔法陣の形が、ミッド式でもベルカ式でもない。
「クロノ、情報は既に受け取ってる？」
「ああ、今データを受け取った所だ。……ふむ…
魔法陣の形からみて、戦闘機人だな、間違いない」
「そうか・・・まあ、戦闘機人については、本局にも多少のデータはあるからね。
よし、いいだろう。…せいぜい、データを集めさせてもらいますか。
後は、地上部隊のお手並み拝見ってところで」
アコース査察官は、どこか人ごとのように、クロノ提督へ語る。
一方のナカジマ三佐の方は、直ちに指示を出す。
「おーい、機動六課メンバー、お客さんだ、おめーらの出番だぜ」
「きやがったか。状況は？」
「空戦魔導師が４人いるのを確認。空からのS級魔法の砲撃で地上本部の直接防衛隊はぼろぼろだな。
うちの部隊は、今ギンガが防衛配備につけてる最中だ」
「………見ろよ、おい…冗談だろ…」
「ん、なんだ？………冗談きついな、こりゃ」
「転送魔法で続々とガジェットが到着…なんて数…これじゃ普通の陸士隊じゃ対抗しきれない…」
「みんな話をしている場合じゃないですよぉ…首都航空隊が二人の戦闘機人に壊滅ですぅ」
「首都航空隊が！そんな馬鹿な…」
「オーバーS級の戦闘力ってことだろ。あたしでも、あれだけ分散した首都航空隊が相手なら
壊滅させるのはわけねーぜ。…と、ティアナ、全力でデバイスをなのは達に届けろ。
あたしは、リインとユニゾンして、何とかなのは達が到着するまであいつらを防ぐ。
ナカジマ三佐、なのは達が到着するまで、なんとか持ちこたえてくれよな」
「ああ、わかった。…気をつけてな」
「あたしは大丈夫だぜ。…行くぞ、リイン」
「はいですぅ」
リインとヴィータのユニゾンである。
リインフォースツヴァイ曹長は、はやてのリンカーコアから作られるときに
初代のリインフォースとは逆に、守護騎士とユニゾンすることで、守護騎士の
魔力を高めることが出来るようになっている。
「スバル、エリオ、キャロ、あたしたちも行くわよ。
オーバーS級魔導師が相手なら、なのはさん達でないと、対抗出来ないわ」
「よし、行こう」
「はいっ」
「行きます」
「くきゅる〜」
同じ頃、機動六課宿舎。
「うふふ〜予定通りですね〜」
「静さん、予定通りって…」
「あれだけ〜戦力をつぎ込んで〜奪おうとした〜ものが〜ここに〜あるんですから〜
主力を〜地上本部に〜向けたとしても〜こちらに〜ある程度の戦力を回すのは〜
むしろ〜当然ですよ〜」
「…あの魔導師は、見たことがない…一体なにものだ？」
「さあ〜わかりませんが〜ガジェットマスターには〜間違いなさそうですねぇ〜」
「敵魔導師、砲撃魔法使用！」
「シャマルさんに〜すこし〜防いでもらいましょう〜」
「もう準備出来てるわ」
「もう少しだけ耐えてください、シャマル医務官。今打撃中隊が援護に向かいます」
「ええ、わかったわ」
「……もう少し引きつけてから〜プランEで行きましょう〜」
「プランE…そうですね。僕も同意見です」
ガジェット１型２型の混成部隊は、機動六課を取り囲み、突撃のタイミングを計っている。
一方、空飛ぶ魔導師〜魔法陣の形からして、戦闘機人だろう〜は、ビームを出して
機動六課の隊舎を攻撃中だ。
それを防いでいるのは、シャマルのシールドだけである。
そこへ…
「無想の一矢」
機動六課の隊舎の窓から、一本の矢が放たれる。
さすがにこれは避けなければならない。
戦闘機人がビーム照射を一旦中止して矢をシールド防御する。
その隙に、シャマルは機動六課の隊舎内に待避。
「金剛の三矢！」
別な窓から、さらに矢が、戦闘機人へと向かってくる。
今度はこれを戦闘機人は回避、直後に、ガジェットが機動六課の隊舎に襲いかかる。
「ばればれなんだよ、考えることが…滅殺！神風陣！」
炎の竜巻が、屋上に現れた人物から放たれると、突っ込んできたガジェット１型が
炎にまかれる。
「忍法、水鏡の術！」
「龍樹萌芽！」
「瞑想螺旋！」
「孤高の桜花！」
ガジェットの群れに、追い打ちを掛けるように、打撃中隊の魔法がたたきつけられる。
一編隊はこれで撃破された。
だが、さすがにガジェットは数が違う、四方八方から内部への侵入を試みてくる。
しかし…
「鞍馬流奥義、縮地の法！」
もっとも危険な地区には、九羅香が飛び込んでガジェットを斬り捨てて廻る。
弁慶は、屋上で待機…何かを待っているようだ。
もちろん、与一の放つ矢は、的確にガジェットの数を削り落としているし
紅葉や楓や玲奈も、ガジェットが隊舎内に入る前に、的確に先頭を叩き潰している。
「…弁慶さん、後は任せたぜ」
「ああ、任せられたぜ。…直ぐに飛べるよな」
「ああ、…行くぜっ！ストームレイダー！」
ヴァイスが、屋上にあるヘリに乗り込む。
シャマル先生にザフィーラ、アイナさんとヴィヴィオもヘリに乗り込む。
どうやら、ここを脱出するつもりのようだ。
ヘリが飛行を開始、与一の援護射撃のもと、低空飛行でガジェットの群れをかわそうとした瞬間。
何者かがヘリのローターを叩ききった。
あっという間に墜落するヘリコプター。
ザフィーラはヴァイスをかばってヘリから飛び出し
シャマル先生は、それを見届けてからヘリから出てくる。
…あれ？アイナさんと、ヴィヴィオは？
シャマル先生が抱きかかえてるのは、忍ねこ二匹だけみたいだが…。
「さすがに、今のは殺意がありましたよね」
「…これくらいで我等の王は死なない」
「我等の王…誰のことかしら？右助ちゃん？それとも左助ちゃん？」
「！…」
「残念だったわね。ここまでが私たちの想定の範囲内。
ここから先、どうやってレリックを奪うつもりかしら？」
「………おまえ達を全力で倒す」
「やれるものならやってみやがれ！」
打撃中隊にシャマルとザフィーラを加えた防衛隊が相手では
さすがに戦闘機人二人とガジェットの群れで打ち破るには強敵すぎるようだ。
だが、戦闘機人達は、まだあきらめるつもりはない。
ガジェットの物量でつかれさせて、目的を達成できる。それが
彼らの読みであるようだった。
同じ頃、デバイスを届けに向かうフォワード４人組の前には
赤毛の戦闘機人二人が、立ちふさがっていた。
「！…」
「どこへ行くつもりだ」
「あんたたちこそ、どうやってここに入ったのかしら？」
「教えてやる義務はねえ」
「セインさんが防御中枢をガス弾で制圧して、動力炉をチンク姉が吹っ飛ばしたから
今の地上本部はがらがらッス。どんなところにでも楽々侵入出来るッスよ。
セインさんのディープダイバーを使えば、何でも透過して移動できるッス」
「ウェンディ…おまえ、なんで手の内教えてやるんだよ」
「そりゃ、絶望してもらうためッスよ。…どうやってもこいつらじゃ、あたしらに
勝てるわけない…」
「うぉおおおおお」
「て、人の話は最後まで聞くッス！しつけがなってないッスよ」
「ウェンディ、てめーが馬鹿すぎるんだっ！」
「うわっ。」
「スバルさんっ！」
「エリオ、キャロ、任務を忘れたの？…私たちの任務は、戦闘機人の撃破じゃないでしょ」
「だからってティアナさん…」
「ま、あたしに任せなさい」
「させねッス」
「なぁ！」
壁が突然炸裂した。これは一体…
「これがチンク姉のISッス。これで３人とも生き埋めッスね。ちょろいもんッス。
じゃ、タイプゼロセカンドの回収にかからせてもらうと…何事ッスか！」
「…幻術でダミーを作りまくりやがったか」
「ノーヴェ、そっちのISで偽物を見破るッスよ」
「やかましい、今やってる最中だ…って、なんだよこいつら、戦闘機人対応の
幻術なんて使いやがって」
「それなら、まとめて全部壊せばいいだけッス。どれかは当たりがあるッスよ」
「…それしかないか」
ノーヴェは、リボルバーナックルもどきからの射撃で、ウェンディは、サーフボードみたいな
盾で、それぞれ、幻術に向かって射撃を加え、次々と破壊していく。
幻術がここにあるのなら、まだティアナ達は逃げ出してないはず。
だから、幻術を潰していけば、かならず最後は姿を見せざるを得ない。
二人の判断は正しかった。
正しくなかったのは、フォワードチーム４人の戦闘力の見積もりだ。
「スバルっ！今っ！」
「わかった、ティアナ！」
「？！」
何もないはずの空間から、スバルが飛び出して突っ込んでくる。
ノーヴェもウェンディも、思わずそっちに気を取られる。
「…キャロ、エリオっ！」
「はいっ…ストラーダ、エリオくん、全力魔力ブースト！」
「行くぞストラーダ…サンダーレイジ！」
巨大な稲妻が、ウェンディとノーヴェの中間で炸裂する。
その光と爆音で、しばらく二人の目と耳は完全にふさがれてしまう。
…………………
「幻影が消えたッス…」
「…逃げられた…」
「思ったよりやるッスね」
「おまえがぺらぺらしゃべってるからだろうが！」
「過ぎたことは言わない約束ッスよ」
「そんな約束した覚えはないっ！」
「二人とも、こっちへ応援に来てくれ」
「チンク姉、どうしたッスか？」
「タイプゼロファーストを補足した。手伝ってくれ」
「了解ッス」
ノーヴェとウェンディ、二人の戦闘機人は、タイプゼロファーストなる存在の元へ急ぐ。
だが、二人はまだ気づいていないようだった。
その話を聞くために、ティアナとスバルはこの場に残っていたということに…。
「スバル、気持ちはわかるけど、まずはなのはさん達との合流が優先よ」
「うん。…わかってる、ティアナ。直ぐに合流して、それから銀姉を助けないと！」
機動六課の、本当の戦いは、これからだ。
