鈴木と鎌田の暴走

「明日はどっちだと言われても、明日は自然に来る」
「問題は、明日になったら東京に帰らなきゃならないってことだ」
「東京に帰るったって、弁慶も長野先生も居ないじゃ大問題だぞ」
「その代わりに鎌田様には私がいるではありませんか」
「良かったな鎌田、彼女居ない歴が年齢と一致しなくなって」
「そういう問題か！」
「観月様・・」
「こっちの金髪は惚けたまんまだし・・・・」
「とにかく、原因をしっかりと究明しないといけませんね」
「あ、弁慶さんが行方不明になった理由なら知ってますよ」
「それならそうと早く言え！」

「つまり、その観月様が、弁慶を呼び寄せたのがすべての発端なのだな」
「その通りです」
「なら、その観月様に頼んで交換してもらえばいいんじゃないのか」
「どうやって観月様と連絡を取るんです。観月様は平安時代。ここは平成の世です」
「それが問題だよなあ」
「私はいまのままでいいのです」
「まあ、俺たちは弁慶さえ帰ってくればいいよ。
　長野先生は駆け落ちしたことにしておくから」
「えらく扱いが違いますね」
「一応あれでもあいつが主人公だから」
「このお話では、その主人公、は全く登場しないですけど」
「気にするな。とにかく、観月様っていうのを探すぞ」
「落ち着けよ鎌田、どうやって探すか考えているのか」
「もちろん鎌田様にはすばらしいお考えがありますよね」
「だーっ。頼むから抱きつかないでくれ」
「そんな、鎌田様、冷たい」
「あー、なーかしたなーかした」
「小学生かおまえは」
「そういえば、どうやって僕らをこの時代に呼び出したんですか」
「どうやってって、それは俺たちの方が聞きたいよ」
「そうそう、変な4人組と手をつないでぐるぐる回ってるうちに
　なぜかおまえ達が呼び出されてきたんだ」
「そうですか・・・では、その4人組を見つければ、なんとかなるかもしれませんね」
「やあ君たち、一体何の話をしているのかな？」

「どうして名前が伏せ字なんだろう」
「そんなことは気にしなくていいですよ。順ちゃんと呼んでください。
　順ちゃんが呼びにくければ、幸太郎でもいいですよ」
「いや、そういう問題じゃなくて」
「何か困りごとがあるんでしょう。一体何があったんですか」
「実は、変な四人組が平安時代の人間を拉致したんだ」
「拉致・・・変な四人組・・・もしかして、その4人組って
　キョンって名前の人が含まれていませんでしたか」
「ああ、そういえばそういう名前の奴もいたような」
「それで謎はすべて解けました。どうやら、世界が再構成されてしまったようです」
「はあ？世界が再構成？なんだそれは」
「詳しくは元ネタの方を読んでください。アニメDVDも発売予定」
「宣伝すな！ていうか俺たちの公式サイトを返してくれよ・・・」
「僕に言っても仕方ないでしょう」
「親会社に言ってるんだよ俺は」
「鎌田様、そんなに興奮されては体に触ります」
「俺は高血圧の老人かよ…」
「まあまあ…親会社とかなんとか、俺たちには関係ないだろ。
　今俺たちに必要なことは、弁慶を取り戻すことなんだ」
「僕をちゃんと観月様の所へ返してくださいよ」
「わかったわかった。ちゃんと覚えておくよ」
「すでに忘れていそうです…」
「それで、あの4人組はどこへ行ったか知らない？」
「キョンなら僕の友達です。今すぐ毒電波で呼び出しましょう」
「毒電波って…」
「携帯電話はアンテナをのばしてから使う方がいいですよ。
　携帯電話の電波は、微弱、というほど弱くありませんからね」
「そういう意味かよ！」

「手を抜くなナレーター」
「キョン！S○S団の出番よ。さあ今日も不思議を探検大冒険！」
「不思議を作ったのはハルヒだろ…」
「それで、何をすればいいの？」
「僕を元の所へ帰してください」
「弁慶を呼び返してくれよ」
「え？べつにいいじゃない、こっちの金髪を弁慶だと思えば」
「無茶苦茶言うな、体格も髪の色も全然違うじゃないか」
「そこはスーパー…」
「やかましい！何もかもあんたらのせいだ！なんとかしろ！」
「鎌田様、そんなに興奮しないでください。鎌田様には鈴がいるではありませんか」
「愛で何でも解決しようとしてるな…」
「愛さえあれば時代の差なんて関係ないって…ロマンチックです」
「人ごとだったらな…」
「…登場人物が増えると、誰の台詞かわからなくなります…」
「そんなことは読者が心配すればいいの。私たちには何の関係もないでしょ。声でわかるわ」
「読者が心配するから問題なんだが」
「ああもう。台詞の最後に（鈴木）とか（鎌田）とかつけろっての？
　誰に話を振ったか＞鈴ってつけろっての。やってられないわよ」
「なぜ普通に、キョン：…じゃいけないんだよ」
「謎があったほうが、面白いでしょ」
「面白ければなんでもありなんですね」
「もちろんよ。当然よ。Life is adventureよ」
「じゃあ、ひとつおもしろおかしく弁慶召還を頼むぜ」
「………どうやって呼べばいいの？」
「おまえらが話をしっちゃかめっちゃかにしたんじゃないか～っ！」
「鎌田様、興奮すると禿げます。落ち着いてください」
「鈴…おまえ、もしかして、俺をからかって遊んでるんじゃないだろうな」
「気のせいです」
「まあまあ。…幸い、誰を呼び出せばいいのかはっきりしたわけですし
　いつの時代なのかもはっきりしてますから…ここはひとつ僕の考えを聞いてください」
「なんでしょう？」
「女湯をのぞこうとして向こうの世界に出かけたわけですよね」
「そういうことですけど」
「廉也君、君が女湯をのぞけばいいんですよ」
「え、なんでそこで僕に話を振るんですか」
「同じ状況を再現して、何が起きるか試してみてはどうでしょう」
「いや、二回目のスリップは部屋で起きたんだが…」
「まあまあ…そっちのほうが面白いですから」
「そうね。じゃ、キョン行くわよ」
「行くはよって、どこへ行くつもりだよ」
「決まってるじゃない、女湯よ」
「俺まで引っ張っていくな～！」
「まだ誰も入ってないンだから大丈夫、ほらほら」
「大丈夫とかそういう問題じゃなくて…」
「…旅館の人に事情を説明して、掃除中ということにしてもらいましょう」
「……長門さんって、なんでこんな時も冷静なんだろう…」
「鎌田様、では私たちは男湯の方へ…」
「え、ええと…鈴ちゃん？」
「掃除中ということにしてもらうのですから、服を着たままですけど」
「あ、ああ、そういえばそうか。びっくりした」
「鎌田様…まだ昼間です」
「あのさ、鈴ちゃん、年いくつ？」
「乙女に年齢を聞く物ではないです」

その、隣、つまりキョン達のいる女湯ではこんな会話が交わされていた。

「ほらキョン、のぞきが来るからちゃんと迎撃するのよ」
「俺はPAC３か…」
「パック３でもパックマンでもいいから、ほらそこの風呂桶を持って。
　私はこの椅子を持つから」
「なんでこんなことをしなければならないんだ」
「決まってるじゃない。なにもかも同じようにしてこそ、同じようになるの。
　のぞきが出たら迎撃するに決まっているでしょ」
「何もかも同じにするなら俺がいたらまずいだろ」
「いーの。それぐらいはアレンジしたって」
「男女混合で入っていたらすでに女湯ではないし
　掃除中ならすでにのぞきですらないが」
「あ、あの…も、もしかして…」
「そうね。キョンが女になれば全部解決」
「俺が出て行けばそれで済むだろ！」

「これで完全なのぞきになったんですけど」
「そこはぬかりない。何か見えるより先に、君は
　ちゃんと元の時代に戻っている。保証するよ」
「ある意味おもしろみがないですね」
「鎌田様、そんなに見たいのでしたら鈴が一肌脱ぎます」
「10年後にな…」
「では、10年待ってくださるのですね」
「それだけ時間があれば鈴の方が飽きるだろ」
「私は800年待ったのです」
「800歳じゃないじゃん…」
「水の音が響いてますね」
「では、そろそろ準備が出来たと言うことだろう。覚悟を決めたまえ」
「そ、それはいいんですけど、その…」
「大丈夫だよ。このお話は全年齢だから何も起きない、安心していい」
「そこに至る過程が不安なんです」
「風呂桶が２，３個直撃するぐらいだ。観月様に会うための代償としては安いだろ」
「・・・・そうですね。覚悟を決めます」
「戻れるかどうか保証ありませんけどね」
「あんたどっちの味方だよ…」
「さあ、準備完了よ。キョン、カメラ用意して」
「なぜそこでカメラを？」
「タイムスリップよ、時間移動よ、ワープよ空間転移よ。
　世紀の一瞬を記録しなきゃ。ほらカメラ」
「…どこで盗んできたんだ…」
「失礼ね。コンピュータ同好会から借りてきただけよ」
「あいつらもハルヒなんかに関わらなければいいのに」
「キョン、なんかいった？」
「いえ、べつに」
「ほら、カメラを連写モードにして。…はい、わたしが肩車したげるから
　しっかりとね」
「あ、あの…」
「なに？」
「ふらついてますけど…」
「こらキョン、ぼーっと見てないで手伝いなさいよ」
「写真を撮りながら手伝えってなんて無茶苦茶な」
「俺たちが手伝いますよ」
「ありがとう、助かるわ」
「どういたしまして」
「これで弁慶が帰ってくるならおやすいご用です」
「被害に遭うのは一方的に僕なんですけど」
「いーからいーから」

「・・・おまえ、誰だ？」
「ええと…その声…もしかして、鈴木か？」
「鈴木かって、なんで俺の名前を知ってるんだよおっさん」
「おっさんか…そういわれても仕方ないよな。あれから10年以上経ってしまったんだな…」
「経ってしまったって、あんた、一体…」
「話せば長くなるんだが」
「一言で要約すると、平安時代にいってから10年後になって、呼び返されたんですね」
「まあ、…そういうこと」
「弁慶、これは一体どういうことだ」
「あ、あんた誰だ」
「私か？私は…」
「俺の嫁だ。そういう説明の方がいいだろ。…これが、俺の本来の時代だよ」
「ふ、ふ、ふ、二人に増えた？」
「ということは…もしかして」
「悲しまないでください鎌田様。ちゃんと鈴はここにおります」
「いや、女湯の中の人の方…」
「…はい、ごくろうさん。もう服きていいわよ」
「……なんでわたしばっかり…」
「そういうキャラだから仕方ないの」
「前は２：２トレードだったのに、今回は１：２だな…」
「一体どうして」
「結婚したら二人でひとつってことじゃない？」
「なんじゃそりゃ」
「まあ、とにかく弁慶という人も戻ってきたことですし、これにて一件落着」
「落着じゃねえ、元の弁慶でないと説明がつかないだろ」
「鎌田様、愛があれば10年後であったとしてもいいではありませんか」
「東京に帰った後どう説明しろっていうんだよ」
「キョン、写真ちゃんととった」
「一応…現像してみないとわからないけど」
「…デジタルカメラではないのですね…」
「あるのを適当に借りたから。…じゃ、帰るわよキョン」
「…どうもお騒がせしました…」
「では、我々はこれで」
「はい、みなさま、ありがとうございました。
　鎌田様も挨拶を」
「話をさらにややこしくしただけだろ。ちゃんと責任をとっていけ」
「一番悪いのは最初に弁慶を召還した奴だと思うが…」
「なら観月ちゃんってことだな」
「冷静に話しすな！ていうか弁慶なんでそんな落ち着いてるんだよ」
「そんなに怒るなよ、禿げるぞ」
「おまえにまで言われる筋合いはない！」

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