ここまでのあらすじ。

 

世界征服を企む邪悪な宇宙犯罪者に取り憑かれた将軍様、キ…もとい、源頼朝は世界征服のために
キャバクラ幕府を開いて各地の美少女を拉致して改造キャバ嬢にして全国に送り出していた。
ここ、奥州は平泉に住む、楓の元にも、人さらい工作員が現れた。
いまにも拉致されかけた楓の前に現れたのは、宇宙警察のおちこぼれ、ゲンクロウであった。
楓はゲンクロウが持ってきた変身お札の力で変身して工作員を撃退。
その後、楓は、きゅうてぃかえで、として、悪のキャバクラ幕府と戦い続けているのである。

 

---

 

ここは、キャバクラ幕府の作戦本部。
典型的な悪の女幹部風な格好の政子様が、雑魚二人に…

 

「誰が雑魚だだれが」
「景時どの、いままでずっと負け通しなのだから、雑魚でしかないですぞ」
「自慢していうな昌俊」
「二人とも、いいかげんになさい」
「はは〜っ」
「で、なんですかこの成績は、東は関東から西は九州沖縄まで
　我がキャバクラ幕府の出店は順調に進んでいるというのに
　なんであなた方二人の東北地区は全然ダメなんです」
「そんなことを言われましても政子様、東北はなにぶん雪が多く降りまして
　その…建設した店があっさりと潰れまして…」
「潰れたのは、景時殿が兄板に金をだまし取られたからではないですかな」
「黙れ昌俊、あ、あれは正当な勧誘活動の一環としてだな」
「普通に使い込みじゃありませんか。処刑されてないだけありがたいと思いなさい」
「は、そ、その…」
「で、昌俊、おまえは一体何をやってるのです。なんで今まで
　集めた改造人間にまで逃げられてしまったのですか」
「そ、それはその…奥州には、ほら、あの、その…なんだ」
「固有名詞が出てこないのは老化現象ですよ」
「そうそう、その弁慶の奴がじゃまをするのです」
「ほう。未来から来たという男ですね」
「は、はい、その通りで」
「……わかりました。では、あなた方にもう一度チャンスを与えましょう」
「あ、ありがたき幸せ」
「それで、景時殿、なにか作戦でも考えておられますかな」
「それはその…普通に出店して片っ端から…」
「毎回それで返り討ちなのでしょう。景時！おまえには学習能力がないのですか。
　はぁ…仕方ありませんね。新兵器を用意しておきました。
　これで、じゃまをする魔法少女を撃破して、こんどこそ出店を成功させるのですよ」
「……ええと、政子様。ここまでの報告のどこでも、魔法少女とは言っておりませんが」
「あなた方の報告など初めから当てにしておりません」
「そんな…ひどい…」
「文句があったら、成果をあげなさい！」
「は、はいっっ！」

 

---

 

さて、場面は変わってこちらは奥州平泉。

 

「あーいそがしいそがしいそがし、弁慶昼ご飯まだ」
「ごめん楓今作ってるから」
「あーもう。…と、よそ見してたから間違えちゃったじゃない」
「…かえでさんかえでさん、何をそんなにいらついてるんですか」
「あーもう。宿題やってるんだからしかたないでしょ」
「巫女さんやるのも大変なんですね」
「そうよ。実践は一流でも理論の方がまだ修行不足なのよ。
　だから毎日宿題宿題宿題宿題…あー気が狂う！」
「そんな焦るからですよ。たまには息抜きにどこか出かけてみたらどうです」
「そんな暇ないっての！」
「楓〜ご飯はまだ出来ないけど、急ぎににぎりめしつくったからこれでも食べててよ」
「ありがと弁慶…と、あーまだこんなにあるぅ…」
「がんばってね」
「いーからあんたはさっさと昼飯作れ！」
「はいはい」
「あの、かえでさん」
「なによ源九郎」
「あんなに弁慶さんをいじめなくてもいいのでは？」
「うっさい。気が立ってるんだから話しかけるな」
「はいはい」

 

霊力では欧州屈指の巫女の楓といえど、まだまだ１７歳では修行中の身。
巫女として本当に一人前になるためにはまだまだやらなければならないことがたくさんある。

 

「…と、ふぅ…今日はこれで終わり」
「まだたくさん残ってますよ」
「源九郎…あんたねえ。休めって言ったり残ってるっていったり何が言いたいわけ。
　ていうか、ぼさっと見てるんだったら手伝いなさいよ」
「いや、手伝ったら宿題にならないし…」
「はいはいそうでしょうとも…弁慶！昼飯は」
「出来たよ〜はい、おにぎり」
「変わってない！」
「と、味噌汁と沢庵ね」
「…はあ…まあ、味噌汁が具だくさんだから文句いうまいか…」
「弁慶さん僕にはなしですか」
「はい、ねこまんま」
「………ねこじゃないもん」
「すねるなよ。みんなと同じものを出してるだろ。
　箸が使えないんだから、ぶっかけるよりほかしかたないじゃないか」
「いえ、出てくるものに苦情はないんですよ。ただ、ねこまんまというネーミングはちょっと」
「じゃ、きつねめし」
「油揚げ…」
「…………わかったよ。はい」
「わーい」

 

平和な食事のひとときであった。

 

「ごめんください」
「間に合ってます」
「まだ何にもいってないぞ」
「その声は、土佐坊に景時でしょ。
　もういいかげん関わるの止めてくれないかしらね」
「そういうわけにもいかん。このぼろやは我がキャバクラ幕府が
　新規出店の為に取り壊すことにした。出て行け」
「身勝手もいいところだろ。楓、ちょっと行ってくる」
「弁慶、馬鹿はほっときなさいよ、それより昼ご飯食べたら、冷めたらおいしくないわよ」
「それもそうか」
「こら、貴様ら、無視するな」

 

---

 

コマーシャル

 

---

 

「ふう。ごちそうさま」
「ごちそうさま。あぶらあげありがとうございました」
「どういたしまして」
「ごちそうさま。…と、弁慶、ちゃんと食器は洗っておきなさいよ」
「はいはい、楓も勉強がんばってね」
「今日の分はもうやめ。内職のお札つくらなきゃ」
「楓も大変だな」
「一人前の巫女にならなきゃね」
「こら〜我々を無視するな！」
「そうだそうだ！」
「…あんたらまだいたの。ＣＭのうちに帰れば良かったのに」
「そういうわけにいくか。…おのれ、ここまで我々を馬鹿にするなら
　我々にも考えがあるぞ」
「景時殿。なにか作戦でもあるのですかな」
「うむ。…ここにタマネギがある」
「ふむふむ」
「昌俊、これを握りつぶせ」
「たやすいこと・・・ふんぬ！…う、な、涙と鼻水がとまらない」
「ぐああ、目が、目が〜」
「あんたら馬鹿じゃないの」
「うわ〜ん。おばちゃんがいじめる〜」
「景時殿…いいとししたおっさんがやっても気持ち悪いだけですぞ」
「は〜馬鹿はほっとこ馬鹿は」
「と見せかけて発煙弾攻撃」
「うわ、なんだこれは！」
「ふはははは、昌俊、これは火事だな」
「いや、いま景時殿が発煙弾を…」
「いや、これは火事なのだ」
「ええい、発煙弾を投げるな、あんたら、いいかげんには怒るわよ」
「火事になったら、どうするのがいいかな昌俊」
「それは、火を消すべきだが…しかし、これは」
「というわけで、平安時代だから破壊消火だ。さあこのぼろやをとりこわすぞ」
「なるほど！すばらしい作戦。さすがは景時殿」
「なんだと、言いがかりで家を壊す気かよ。いいかげんにしろ」
「弁慶！まって！」
「卑劣な一撃」
「ぐはぁ・・・・」
「弁慶さん。一体何を…あ、これは」
「源九郎、一体弁慶がなにをされた…って、な、なによこれ」
「よく正視できますね楓さん…」
「そりゃ、巫女だから化け物はいろいろと見てるわ。
　それにしても…あんたら二人とも、人間として最低限のプライドってないの？」
「やかましい、プライドなどとっくに黒潮に捨てたわ！
　やってるこちらの身にもなれ！」

 

ちなみに、弁慶が喰らったのは、景時と土佐坊のねこみみレオタード写真である。
そりゃ弁慶でなくても失神するだろう。

 

「これ自体、何年前のねたかわからないけど…。
　弁慶にこんなもの見せるなんて許せない！」
「かえでさん。家を壊すのはいいんですか…」
「ふはははは、何を騒いでもいまさら無駄だ。
　さらに強力な写真で貴様も葬り去ってくれるわ」
「させるもんですか。変身！きゅうてぃかえで！」
「合点承知！」

 

---

 

変身シーン

 

---

 

…これでは手抜きに過ぎるのでもう少しまじめに描写しよう。
源九郎が楓の足下から竜巻のように楓の体を回転しながら登っていく。
その源九郎の体から光の粉が舞い落ちると、楓の姿が
普段着から戦闘用の巫女服へと変貌していく。

 

源九郎が、空中から楓の肩へと戻ると、変身完了だ。

 

「宇宙の彼方はくちょう座Ｘ−１とは無関係な所からやってきた。
　ぷりてぃかえでただいま登場。
　気持ち悪い写真をばらまく悪の枢軸め。
　絶対許さないから覚悟しなさいよ」
「ふっ。これをみてもまだそれが言えるかな」
「グロ画像はおことわりだっていってるでしょ。
　楓ビーム！」
「あんぎゃー…」

 

脱ごうとした景時は、かえでびーむで消し飛ばされてしまった。

 

「か、景時殿！…おのれぷりてぃかえでめ。
　かくなるうえは、この土佐坊俊昌が相手だ」
「へえ、あんたは、一体どんなコスプレをするのかしら？」
「私は変態ではない！正々堂々と戦ってくれようぞ！」

 

そういうと、土佐坊は上半身を脱いで構える。

 

「さあ、どこからでも掛かってこい！」
「あんた、いくら暖冬だからって、東北を舐めるんじゃないわよ。
　喰らえ、風速２０ｍ！」
「うぉぉぉ、寒い、だが、なんのこれしき！」
「へえ、なかなかがんばるじゃない。でも、これはどうかしら。
　必殺、風花！」

 

楓がお札を一枚燃やすと、楓の背後から雪が吹き付けてくる。
土佐坊の体にも、楓の体にも雪が積もる。

 

「ぐぬぬぬぬ…何の…これしき…」
「その根性だけは見上げてあげるわ」
「ええい、怪しげな術をつかいおって、くらえ、豪腕土佐坊！」
「孤高の桜花！」

 

直径３ｍはあろうかという巨大ビームが突進してくる土佐坊を迎え撃つ。
言うまでもなく土佐坊は巨大ビームに焼き払われた。

 

「ったく、この格好も寒いんだからね。あー、早く部屋に入って暖まらなきゃ」
「楓さん。室内は煙で一杯です。換気をしないととても入れませんよ」
「………あいつら、絶対殺す……必殺！九尾の狐！」

 

消し炭同然だった雑魚二人に、情け容赦なく襲いかかる源九郎狐。
雑魚は滅びた。

 

「あーあ、つまらない汗かいちゃった。一休みしてからお札を作ろう」

 

ぴしゃり！

 

扉は完全に閉ざされたのであった。

 

---

 

「まったく、ひどい目にあった」
「景時殿がつまらない作戦を立てるからではないか」
「何を言うか。力ずくで迫って返り討ちにあったくせに」
「何もしないうちにやられるよりましだ」
「ちゃんと弁慶はやっつけたぞ」
「景時殿にはプライドというものはないのですか、本当に」
「プライドで勝てれば苦労はせん」
「まったく、二人とも、プライドもなければ実力もない。
　あるのはゴキブリにも勝る生命力だけですね」
「あ、政子様」
「また罰ゲームですかぁ」
「………いちいち罰ゲームをやるのも飽きました」
「ほっ」
「ありがたやありがたや」
「いたぞ」
「こっちだ」
「出たなこの人さらいどもめ」
「あ、あの政子様？」
「現地の人たちに、人さらいの雑魚二人が現れたと通報しておきましたから
　自力でなんとか逃げてきなさい」
「ちょ、ちょっと政子様それは…」
「ええい、問答無用、死んでわびろ！」
「ひええ〜おたすけ〜」
「逃げたぞ！」
「逃がすな、追え！」
「ひえええ〜たすけて〜」
「ほらほら、捕まったらバーベキューですよ」
「そんなぁ。ただ幕府のために働いてるだけですのに〜」
「こんな働きでは、幕府のじゃまでしかありません。
　さあさあ、必死に逃げないと捕まって八つ裂きですよ」
「死ね、この人でなしめ！」
「石を投げろ石！」
「わ〜たすけて〜」
「こ、こんどが一番ひどい〜」

 

それでも雑魚二人は、半死半生で鎌倉まで逃げ帰ったという。

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい