平成１８年が始まった。

 

「あけましておめでとうございます」
「弁慶様いらっしゃいませ。あけましておめでとうございます」
「よう弁慶、何しに来たんだ？」
「なにしにって、挨拶じゃないか。
　せっかく餅を持ってきてやったのに」
「いつもすいません弁慶様」
「いいよ、いつもうちの家って正月の準備って買いすぎちゃうから
　その分を持ってきてるだけだよ」
「弁慶さん、僕らのために、わざと買いすぎてませんか？」
「廉也、そういうことはいいっこなし。無粋なことしちゃだめだって」
「あけまして、おめでとうございます〜」
「あけましておめでとう静さん」
「玄関で立ち話をするのもなんだ。まずはあがれ弁慶」
「わっ」
「私が後ろから現れたぐらいで驚くな」
「与一、いままで何をしてたの」
「朝日を拝んだ後、新年の鍛錬をな」
「新年早々大変なんだな」
「だからさっさとあがれよ」
「ああ、悪い玲奈」

 

さて、今回は新年特別企画で

 

弁慶　：そんなご大層なことするわけじゃないだろ
九羅香：なになに？何が変わってるの？
紅葉　：どうやら、だれが話しているのかを左側に書くようにしたみたいですね
廉也　：僕の左にいるのは観月さまですけど
観月　：そういう意味ではなくて、いま話していることの記録のしかたのことですよ
楓　　：そういうことね。普段はカギ括弧で示すだけで、誰の言葉かは類推するしかないでしょ
静　　：私は〜どちらでも〜かまわないのですけど〜
玲奈　：そりゃ静はしゃべり方が独特だもんな
静　　：玲奈さんも〜十分〜独特ですよ〜
玲奈　：静ほどじゃねえ
九羅香：はいはい新年早々喧嘩しない。
弁慶　：そうそう、新年早々喧嘩してもはじまらないよ。
与一　：だからさっさと中に入れ弁慶。私が入れないではないか
弁慶　：ごめん与一

 

そういうわけで、弁慶が持ってきた餅を紅葉が
部屋の真ん中に置いてある電熱器で焼きつつ雑談が始まる。

 

九羅香：弁慶、今年の初夢って何を見たの？
弁慶　：初夢…全然憶えてないよ
廉也　：縁起のいい初夢って、一富士二鷹三茄子っていいますよね。
玲奈　：富士や鷹はわかるような気がするけど、なんでなすびなんだ？
静　　：徳川家康さんが〜好きな物を順番に並べたようですね〜
観月　：他にも、語呂合わせで縁起のいいものを並べたという説もあるようですね
紅葉　：みなさまよくご存じですね
静　　：初夢について〜調べてみたんですよ〜
玲奈　：へー。それで、どんな初夢を見たんだ
静　　：それは〜秘密です〜
玲奈　：てめ、きたねえぞそれ
与一　：夢のことぐらいで大騒ぎするな
九羅香：でも与一、新年なんだからさ
与一　：新年は無礼講ではないぞ九羅香殿
紅葉　：みなさん、餅が焼けましたよ
玲奈　：待ってました！
紅葉　：はい、みなさんどうぞ
九羅香：いただきまーす
弁慶　：いただきます
玲奈　：そうそう、新年って言えばお年玉だよな
廉也　：誰がくれるんですか、誰が
静　　：どうして〜こちらを見るんですか〜
弁慶　：お年玉ならもうやったろ
玲奈　：え？何もまだもらってないぜ
観月　：本来のお年玉は、お餅や団子であったようですね。
玲奈　：ちぇー、平成風のお年玉もくれるのかと思ったのに
与一　：弁慶に頼りすぎだぞ、玲奈
玲奈　：ちぇー。わかったよ与一
九羅香：じゃ、みんな今年の抱負を言い合うことにしようよ
紅葉　：それはよいことですね、九羅香様
九羅香：そういうわけで弁慶、今年は全国制覇だよ！
弁慶　：全国制覇〜
九羅香：こら弁慶、気持ちで負けるな。やる前から何事もあきらめちゃだめだってば
紅葉　：私は、また来年を全員で迎えられるのが一番です
静　　：紅葉さんは〜無欲なんですね〜
観月　：むしろ欲が深いのではありませんか。
玲奈　：そういうもんか。
観月　：では、玲奈様はどのような抱負をお持ちなのですか
玲奈　：今年こそ背が伸びますように
廉也　：体が大きくなると忍者には不利ですよ
玲奈　：じゃ、そういう廉也はどうなんだよ
廉也　：え、ええと…考えたこともありません
楓　　：あたしと一緒でしょ。今年こそお姉様と・・ああっ
玲奈　：それじゃ廉也が弁慶なのか？
弁慶　：変な想像するなよ
廉也　：お姉様と…ああっで、なにを想像していいかわかりません
観月　：想像できないなら、関係ないということですよ
廉也　：そうですか。では気にしないことにします
玲奈　：とりあえず、静、何か抱負を言えよ
静　　：私も〜平成でも日本一の〜白拍子になります〜
弁慶　：平安時代じゃ日本一だったもんな
静　　：ライバルが多いですから〜
観月　：平安の世とくらべると、ざっと１０００倍の競争率ですものね
与一　：全世界がライバルなのだな
紅葉　：与一様の抱負をお願いします
与一　：今年だから、去年だからということはない。日々精進につきる
楓　　：日々精進するだけじゃ進歩無いわよ。新しいことでも始めたら
与一　：一つのことも出来ないのに二つめが出来るはずもあるまい
静　　：一つのことでも〜極めるには〜一生かかってもむりですよ〜
与一　：なら、なおさら脇道にそれるわけにはいかぬな
九羅香：だからときどきは息抜きしなきゃだめだよ与一
玲奈　：そりゃ九羅香は息抜きしっぱなしだもんな
弁慶　：九羅香も玲奈にだけは言われたくないだろ
与一　：それで、観月殿の抱負は
観月　：おじいさまは天下取りだと言ってますね
弁慶　：いや、おじいさまはいいから
楓　　：…ちょっと、おねえさまのために力を貸しなさいよ観月
九羅香：楓、何やるの？
観月　：いいですよ、楓様、私でしたら
紅葉　：楓、一体なにをするつもりなんです？
静　　：だいたい〜わかりますけど〜あまり危険なことは〜
九羅香：楓、危ないことならやらなくていいから
楓　　：そんな危険なことじゃないわよ。観月の霊力ならね
観月　：いえ、私はそれほど…
楓　　：時間決めて行くわよ、１分持たせないからじっと聞きなさい
弁慶　：じっと聞けって…
観月　：…九羅香よ、元気そうだな。
九羅香：ええと…兄上！
観月　：皆、これからも九羅香のことをよろしく頼むぞ。九羅香、仲間を大切にな
九羅香：は、はい兄上
楓　　：…はい、時間切れ。あんまり長くいてもらっても悪いでしょ
弁慶　：・・・・・・・
楓　　：何よその目は。ちゃんと降霊術ってあんのよ。
弁慶　：いや、疑ってる訳じゃないけど、ほら、前は声も変わってたしさ
観月　：体は私ですから。声も私の声でしかありません
弁慶　：それもそうか
九羅香：じゃ、最後に弁慶の抱負だよね
静　　：そうですね〜弁慶さんの抱負は〜まだ聞いてませんね〜
与一　：うむ、そうだな。さあ弁慶、抱負を言え
弁慶　：抱負って言われても…

 

ぴんぽーん。

 

紅葉　：あら、どなたでしょう
観月　：どうやら、景川様ですね。

美沙　：あけおめことよろ〜って、もうこれも古いか
九羅香：いらっしゃい。狭いけどあがってよ
美沙　：ありがとう九羅香先輩、はい、これ新年のおみやげ
九羅香：わー、ミカンだ、ありがとー。
美沙　：どういたしまして。
弁慶　：そうだ、みんな今年の抱負を言ってるんだけど、景川さんはなにか今年の抱負があるの？
美沙　：そういう質問は、自分がまず言ってからだよ、弁慶先輩
九羅香：そうだよ弁慶。ほら、抱負を言ってみて
弁慶　：抱負といえば天満宮
与一　：それは防府だ
弁慶　：じゃ…その…
美沙　：弁慶先輩、一個しかネタがなかったんですか？
弁慶　：くそーっ！今年はもっとネタを増やすぞ〜っ！
美沙　：先輩、無理にぼけなくていいです
九羅香：それが弁慶の抱負なんだよきっと。
紅葉　：そういう言い方をするなら、そうかもしれませんね九羅香様

 

新年も、九羅香達は、いつもの九羅香達のようである。