私達はお昼を食べた後、アスレチックへと出かけたの。

「よーし、みんなそろったな。
　このアスレチックは、一回りするのに１時間ちょっとのコースって聞いてる。
　軽くやるには丁度いいだろう」
「はい」
「あたしは悪いが全体を見てる。おまえらは自由にやっていいぞ」

そういうわけで、私達はアスレチックに挑むの。
山の中にあるアスレチックコース、難易度はそこまで高くないの。
そういうわけで、小一時間でみんな一周回りきるの。

「どうだ、楽しかったか？」
「意外と簡単だったよね」
「まあ、難しすぎて怪我をするよりはいいのではないでしょうか」
「そうだな。……と、本来なら二周目あたしも一緒にといいたいところだが、
　メガーヌさんから連絡があった」
「何があったんです？」
「新しく来訪者があったそうだ。
　とりあえず、一旦帰ることにするぞ」
「来訪者って？」
「おまえらの合宿に練習相手兼師匠として付き合ってくれそうな人たちだ。
　ま、帰りながら追々話す」
「わかったの」

私達は、アスレチックコースから、宿まで歩いて帰るの。

「練習相手兼師匠ということは、年長の実力者ですよね」
「そうなるな、管理局のメンバーだ」
「管理局のメンバー？　ということは、なのはママ？」
「ああ、なのはさんも来てる。というか、なのはさんと教え子達だな」
「わざわざ管理局の人が来てるんですか？」
「まあ、練習の一環さ。お互いに高め合うことが出来るだろうという話だ。
　おまえらの方が学ぶことは多いだろうが、向こうは向こうで学ぶことがあるだろう」
「学ぶことって、どんなことあるかなぁ」
「とりあえず、泪と霧子の世界については、管理局のメンバーといえど良くわかってないからな。
　そういうことについても知る必要が管理局職員にはあるだろう。　
　それとは別に、武装管理局員なら、戦闘訓練はしておく必要がある」
「管理局員の戦闘訓練なんかに、私達で相手になるんでしょうか」
「なれるぐらいまで高めないと、とてもじゃないがU-15とはいえ、勝ち抜けないぞ」
「それもそうですね」

アインハルトさんはそれで納得するの。

「ノーヴェ、U-15って、そんなすごい人達がいるの？」
「ああ、霧子はまだ実感として湧いてないんだな。
　この世界は個人の才能のばらつきが大きい。
　だからこそ、インターミッドも１０歳から１９歳なんていう分け方でちゃんと試合が成立するんだが
　裏を返せば、９歳とかでも、十分大人と、ごしていくことが出来る奴もいる。
　そんな奴ら相手に戦うんだ、それ相応の実力がいるさ。
　ていうか、霧子自身、去年プレシア事件の解決に力を貸したんだし
　そのときに、クロノ執務官とはあってるだろう」
「うん、会ったよ」
「あいつも格闘家をやってれば、U-15だったはずだ。
　それでも二十歳以上の奴をおさえて執務官をやっている。
　そういうもんなんだよ」
「成長が早い子がいるってこと？」
「まあ、そう理解してもらってもいいさ。
　と、そろそろだな」

ノーヴェの言う通り、そろそろ宿が見えてくるの。

「あ、なのはママ〜」

ヴィヴィオが走りだすの。

「ヴィヴィオ〜」

向こう側にいる、ちょっと背の高い人影が手を振るのが見えるの。
あれが、うわさのなのはおばさんなのかな？

なんとなく、私達も早足に宿を目指すの。

「別に珍獣を見に行くわけでもあるまいに」

これはノーヴェの言葉なの。
だけど、私達は浮き足だってなのはおばさん達の所へ急ぐの。

私達が、宿の前についたとき、ヴィヴィオはもう息を整えてこっちを向いてたの。

「紹介するね、こっちがなのはママで、その隣の金髪のお姉ちゃんがティアナおねえちゃん、で、そのとなりにいるのがスバルおねえちゃん」
「こんにちは、いつもヴィヴィオがお世話になってます。私が高町なのはです」
「いえ、こちらこそ色々とヴィヴィオにはお世話になってます」

そう言って挨拶するのはアインハルトさんなの。

「こんにちは」

ちょっとぶっきらぼうな挨拶をするのはティアナさんなの。

「こんにちは、初めましてかな。私がスバル・ナカジマ、ノーヴェとは姉妹になるのかな」
「ま、義理の姉妹だけどさ。
　そういえば、エリオとキャロはどうしたんだ？」
「二人は仕事で未開世界に行ってるよ。
　今日はティアナとスバルを連れてきたよ。
　この子達、強いんでしょ。二人の刺激になるかと思って」
「なのはさんはヴィヴィオの様子を見に来たんじゃないんですか」
「ま、それもあるかな」

なのはおばさんって呼んでますけど、おばさん、というにはちょっと若い感じがするの。
少なくとも、ヴィヴィオぐらいの年の娘がいる年齢にはみえないの。

「三人はアップが終わってるかい」
「いまからです」
「そっか、この子達はアスレチックやった後、歩いてクールダウンしてる。
　まあ、そっちと一緒にアップすればいいと思うんだが」
「そうですね」
「ま、そんなもんだ。じゃ、ここは高町教導官にひとつ手ほどきをお願いしようかな」
「ノーヴェがいつも教えてる通りでいいよ」
「まあ、そこはそれ、管理局流も見せてやってほしいってことで」
「うん、じゃあ、私のやるようにまねしてみんなやってみてね」
「はい」

そうは言ったものの、なのはおばさん〜高町教導官のやる通りに一通りアップするだけで息が上がるの。

「普段の練習よりきつくないですか、これ」
「んー、管理局じゃこれが普通なんだけどね。クロノ君も毎日やってるはずだよ」
「そうなんですか」
「じゃ、アップも終わったことだし、軽く模擬戦でもやってみようかな」
「模擬戦ですか？」
「そう、模擬戦、ヴィヴィオの実力は概ねわかってるけど、他の人の力は全然わかんないし
　軽く模擬戦をやってみたら、大体の実力がわかるかなって」
「わかったの」
「だれからにしようか」
「ノーヴェ、じゃあ、まずは格闘家どうしにしようか。
　アインハルトさんだったよね、スバルと軽く組み手をしてもらえるかな」
「はい、わかりました」
「はーい、じゃ、スバル、いきまーす」

そういうわけで、アインハルトさんとスバルさんの組み手が始まるの。

「デバイスでちゃんと保護してね」
「はい、行くよ、マッハキャリバー」
「All Right」
「あの……私、まだデバイスは……」
「あー、それについてはちゃんと防具があるからきにするな。
　じゃ、始めようか」
「そうだね。始めよう……Ready……GO！」

いきなりアインハルトさんは間合いをつめるの。
スバルさんはというと、それをみて受けて立つみたいなの。

「うわあ……最初からお互いラッシュをかけてるよ」
「そうですね。こんなのやってたら、すぐ息があがるとおもうんですが」

お互いが至近距離での殴り合いを仕掛けてるの。
隙をみるもなにもなく、ひたすら殴り、受け、かわすを繰り返すの。

しばらくそれが続いた後、お互いが申し合わせたように間合いを開くの。

「有効打は一つもないですか、さすがですね」
「んー、あたしも有効打が与えられなかったんだからお互い様だよ」
「そこまで。どう？　感触は？」
「アインハルトって強いよ十分」
「でも、互角だったように見えるの」
「そりゃ、ま、あたしだって弱いつもりないし」
「じゃ、次は魔法戦タイプ同士で模擬戦やってもらおうか。
　ティアナ、待機して」
「はい」
「ノーヴェ、誰がいいかな？」
「そうだなあ……霧子、一つ手合わせしてくれ」
「わかったの」

私は、ロンギヌス・スピアを構えるの。
向こうは二丁拳銃を用意。
飛び道具を使うから、魔法戦タイプなのかな。
だけど、それなら私も魔法戦タイプじゃないの。

「準備は二人とも出来てる？」
「出来てます」
「出来てるの」
「じゃ、Ready……GO!」

私は一旦間合いを開くの。
ちょっと相手は意外な顔をするの
槍の間合いで戦う事を想定してたみたい。

「遠慮なく行くわよ、クロスミラージュ！」
「roger」

二丁拳銃が火を噴いて、魔法弾を繰り出してくるの。
私はそれを引きつけて、シールドではじくの。

「これはまだ見せたことなかったかな、フレアバースト！」

これは、P-3から教わった技、実空間でカレイドフェノムを発生させる技なの。
当たれば威力は抜群なの。
もちろん、ゴッドスレイヤーほどじゃないけど、P-3はこれでディゾナントを焼き払ってたの。

ティアナおねえちゃんは、驚いてかわすの。
そこを間合いをつめてロンギヌス・スピアを繰り出すの。

「ダガーモード」
「roger」

拳銃から魔法の刃が現れるの。
それを使って、ティアナおねえちゃんは槍を捌いていくの。
だけど、それだとリーチ差で私の方が有利なの。
だから、きっとティアナお姉ちゃんには策があるはずなの。

と、言ってる先から、ティアナお姉ちゃんの周りに光球が現れるの。

「ファントムブレイザー！」

現れた光球が私に襲いかかってくるの。
私は一気に０距離まで間合いを詰めていくの。
それをダガーでティアナお姉ちゃんは迎撃しようとするの。
私はロンギヌス・スピアを縮めて片方のダガーをそれで防ぐの。
反対側のダガー？　手刀で手首を狙って打つの。

ティアナお姉ちゃんはそれに気づいたらしく、手を引っ込めるの。

「そこまで！　どう、ティアナ」
「良い判断力ですね。ファントムブレイザーを飛び込みでよけるまでは想定でしたけど
　そこからの迎撃を防ぐ手段もその時点で考えてたみたいです」
「昔似たような技を見たことがあったから対応出来ただけだよ。
　知らなかったらダメだったかも」
「見たことがあるのが優秀ですよ」
「ありがとう」

ひとまず、こんな調子で、私達は１人１回、スバルお姉ちゃんと、ティアナお姉ちゃんは交互に
模擬戦をやったの。

「みんなよく練習してるわね」
「そりゃ、みんなインターミッドで勝ち抜くつもりで練習してますから、なのはさん」
「ノーヴェの教え方も良かったんじゃない」
「ま、本人達の努力が一番ですよ」
「努力を正しい方向に向けるのがコーチの仕事だよ」
「ありがとう、なのはさん」

ひとまず、私達の実力をなのはおばさんは把握したみたいなの。
で、これから何をするのかな。


　

 

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