ここは、時空管理局の本局なの。私達は、今、時空管理局本局の奥不覚にある、無限書庫の閲覧コーナーに居るの。

「じゃ、私が司書長と話をしてくるからね」
「お願いするの」
「それはいいんだけど、なんでフォビアさんまで来てるんだろう？」
「禁帯出だと私が直接見る事ができない」
「確かにその通りなんだけど、ずいぶんと信用がないよね」
「一度裏切った相手は、何度でも裏切る」
「クラウスは裏切ったわけではないのです」
「その証拠がない」
「だから、これからその証拠を探しに行くのでしょう、クロ」
「確かにその通り、だけど、そんなものがあるとは思えない」
「クラウス自身の回想録はありませんけど、クラウスの側近達の回想録なら……」
「客観性がない」
「とりつくしまもないですね」

こんな調子で私達はヴィヴィオが帰ってくるのを待ってるの。
でも、フォビアさんがあんなにかたくなな態度だと
どんな証拠があれば、フォビアさんがアインハルトさんの主張を受け入れてくれるか分からないの。

「はーい、みんな。司書長が無限書庫に入っていいって。
　もちろん、全員だよ」
「分かったの」
「私も？」
「もちろん、フォビアさんも。じゃ、無限書庫内へ出発〜」

こうして、私達はヴィヴィオの誘導で無限書庫の中へと出かけるの。
でも、私達は無限書庫の中で、いきなり重大な問題を迎えるの。

「ここ、重力がない……」
「そうだよ、管理局本局は人工重力があって、普通に歩けるけど
　無限書庫内は人工重力を入れてないからね」
「私は飛べるから問題ない」
「ていうか、飛べないのって……」
「あわわ、ボクは飛行魔法を教わってないです」
「残念ながら、私もです」
「飛行魔法というか、ネクロノフィストの応用で無重力でも自分の向かいたい方向へ向かうことはできます」
「コロナは大丈夫、っと。リオは？」
「できれば誰かの助けが欲しいよ」
「んじゃ、アインハルトさんは私がサポートするね」
「私がリオもフォローする」
「じゃ、リオはコロナに任せるね。
　あとは……」
「私達はオーギュメントの手助けがあれば飛べるから」
「じゃ、アインハルトさんを霧子が、ミウラちゃんを泪がサポートしてあげて」
「了解〜」

というわけで、サポートの役回りも決まって私達はこんどこそ無限書庫の中の捜索に出かけるの。

「書庫の中は、司書さんの不断の努力で整理されてるんだよ。
　古代ベルカ関係はこっちだね」

そう言うと、手慣れたようにヴィヴィオは私達を誘導するの。
私達はそれを信じてついていくの。
フォビアさんも、おとなしくヴィヴィオについて行ってるの。

迷路のようになっている無限書庫。
そこを、ヴィヴィオは案内板を確認しながら私達を誘導していくの。

「うん、ここが古代ベルカ関係の書物がある区画だよ。
　で、どんなのがいるんだったかな？」
「クラウスの側近の回想録があればいいんですけど」
「了解……じゃ、ちょっと検索魔法を掛けてみるね……あれ？　側近って、だれが側近なの？」
「クラウスの家臣じゃ信用出来ない。客観的な目で見ている第三者の書物がいい」
「クラウスのそばにいた第三者……だれがいるでしょう？」

アインハルトさんは記憶をたどっているようなの。
アインハルトさんも、この注文には困ってるみたいなの。
それもそうなの。クラウスは王様だから、秘密はそれなりにあるはずなの。
それを知っていて、なおかつ第三者ってまずいないと思うの。

「一人、心当たりがあります。リッドではどうでしょうか？」
「リッドって誰なの？」
「エレミアさんの祖先です。エレミアの名に心当たりは？」
「……エレミアなら知ってる。伝承にもある。
　確かに、そいつなら中立的とはいえないけど第三者」
「そういえば、クロとリッドは仲が悪かったですね」
「だけど、他に誰もいないと思う。まずは調査を」
「分かったよ。じゃ、リッドの回想録だね」

そう言うと、ヴィヴィオは検索魔法を古代ベルカの書物の地区に掛けるの。

「あったよ、こっち」
「あ、急がなくても本は消えないから……」
「善は急げだよ」

そういうと、ヴィヴィオはどんどん先に進んでいくの。
私達はそれを必死に追いかけるの。

やがて、ヴィヴィオは一つの書架の前で止まるの。

「これだよ、これがリッドの回想録」

書架からヴィヴィオは分厚い本を取り出すの。

「んー、やっぱり古代ベルカ語で書いてあるから読みにくい……」
「それなら大丈夫。私は普通に読める」
「じゃ、フォビアさんお願い」
「その方がいい。私は直接自分の目で確かめられる」

フォビアさんは、リッドの回想録を開きます。
そこに書かれていることは一体……

 

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