めりかるうぃっしゅ う゛ぃう゛ぃっど
〜応援 中島月光〜
ヴィヴィオちゃんとミウラさんの試合から一週間が過ぎました。
今日はアインハルトさんと、一昨年のインターミッドのチャンピオン、ジークリンデ・エミリアさんとの試合がある日です。
「すいません、わざわざ私の応援のために第97管理外世界からミッドチルダまで来ていただいて」
「まあ、ヴィヴィオにも来年があるから、この試合は生で見させてもらわないといけないし、な、ヴィヴィオ。
一生懸命応援させてもらいます」
「うん、頑張ってねアインハルトさん」
「……頑張ってください、アインハルトさん」
「もちろんです、必ず勝ちますから」
「そうはいっても、観客席はチャンプを見に来てる連中ばかりだ。客席に飲まれないようにしろよ」
「はい、ノーヴェさん」
「噂をすれば……チャンプの登場です」
「そうみたいだねコロナ、さすがチャンプ、高級車に乗って登場みたい」
「あの車はタカピーお嬢のだろ、ジークは便乗してるだけ」
「あ、ハリー選手」
「よう、リオ、精進してるか」
「ええ、試合の翌日一日休みましたけど、それからはちゃんとトレーニングしてます」
「そりゃ感心だな」
「来年は負けたくないですから」
「そうだな、来年も負けないようこっちも腕を上げておかないとな」
「そうですわね、もう来年の心配をした方がよろしくてよ」
「おはようございます、初めまして、ヴィクトーリアさん」
「おはよう。まあ、ここはちびっこ達の手前、自重しておいてあげますわ」
「……ま、そうだな」
「送ってくれてありがとな。……なんや、えらい偶然もあったもんやな。ちょうど対戦相手とはちあわせかいな。
アインハルトさんやったな。うちがジーク、ジークリンデ・エミリア、や」
「初めましてチャンプ、私が……」
「チャンプは止めてや、去年の優勝者に悪いわ」
「私がアインハルト・ストラトスです、ジークリンデさん、よろしくお願いします」
「こちらこそな。いい試合しような」
「チャンピオン、お待ちしておりました」
「せやから、チャンピオンはやめてちゅうてるに」
「あ、デコメガネ、何しに来たんだよ」
「私は今回、チャンピオン……もとい、ジークリンデさんのセコンドをつとめることになってるんですよ」
「へえ、……」
「まあ、どうしてもって頼まれてな」
「ジークでしたら、セコンドの差で負ける、ということはないでしょうから、誰でも同じでしょうし、任せても大丈夫でしょう」
「そうだな、あほのエルスでも大丈夫だろうな」
「あほだけ余計です」
「……そんな顔せんでええよ、アインハルトさん。誰しも勝負は勝つつもりでやるものやし、そうでないとあかん」
「ジークはこの子が勝つかもしれないと思ってるの？」
「誰しも勝つつもりでやるもんや。もちろん、うちはうちが勝つつもりでやるんよ」
「そうですわね。……熱血馬鹿も、私に勝てるつもりみたいですし」
「なんかいったか」
「いえ、何も」
「アインハルトさん、そろそろ会場にいった方がいいと思います、時間が迫ってますよ」
「分かりました、では、ジークリンデさん。試合場でお会いしましょう」
「せやな、試合会場で」
ジークリンデさんとは分かれました。
アインハルトさんのセコンドはノーヴェさんなので、アインハルトさんとノーヴェさんとも別れ別れです。
私たちは応援席へと向かいます。
「冬美ちゃん、アインハルトさん、勝てるかな。相手は無敗の女王なんでしょ」
「勝てるか、っていわれたらわからない。相手の方が余裕ありげに見えたのは確かだな。
勝負は時の運、だけど前哨戦だけは７：３で相手に分があったな」
「7分ほどジークリンデさんに分があったんだ」
「3割打てりゃ好打者だ、気にするなよゲッコウ」
「私って、どのくらいの実力があったんでしょう」
「どうしたんだ藪から棒に」
「私と3ラウンド戦ってたアインハルトさんで、チャンピオンに勝てるんでしょうか……」
「……チャンピオンの戦いがどんなものか分からないから正直読めない。それに、一週間で
アインハルトさんがどれだけ強くなったかも分からない。
ぶっちゃけ、一戦一戦強くなるからな。第一、一戦の強さがそのままだったら、ミウラさんが
ヴィヴィオに勝てるわけなかったっての」
「それはミウラちゃんに悪いよ冬美ちゃん」
「あたしはミウラさんを褒めてるんだよ」
「みんな、ジークリンデさんが出てくるよ」
『2年ぶりに女王が帰ってきました。ジークリンデ・エミリア選手の登場です』
文字通りに、会場が揺れました。
会場全体にどよめきが伝わります。シード選手中のシード選手で、ジークリンデ選手はこれが最初の試合です。
きっと、会場中の人たちが、この試合を見ようと詰めかけていたんです。
『続いて、アインハルト・ストラトス選手の登場です』
「頑張れ〜アインハルトさん〜」
精一杯声を上げて応援します。
会場を揺らす、というわけにはとても行きませんが、声援はｄBの問題です。
人数が少なくても、そこそこ声は通るはずです。
試合、開始です。
「行きます」
仕掛けるのはアインハルトさんからです。
踏み込みからの鋭い突き……これを受け止めてからの
ジークリンデさんの投げ。
アインハルトさんは床にたたきつけられます。
しかし、それでもアインハルトさんは同じように突きをたたき込もうとします。
が、同じように腕を捕まれるアインハルトさん、同じ投げを受けるのでしょうか……
いや、違います。素早く腕を引いて投げをかわします。
袖口が破れますが、投げを受けることはありません。
「……君の試合を見てから少し気になってたんよ。
うちらはちょっと、にてるって」