魔法戦が来る。
距離を開ければ当然か。
けど、ボクにはちょっと考えがあるんだ。
この魔法戦に耐えられれば……

「いくよ、ミウラちゃん。アクセル……シュート！」

連続する魔法弾がボクに襲いかかる、狙いは正確、弾は高速、それをぎりぎりまで引きつけてかわす。
いや、かわしきれない。少しは命中するか。

「さすがに全弾命中とはいかないね、ライチェントゥークス」
『当たり前です我が主、相手は自分から間合いを開きました。当然、何か策があると考えるべきです』
「策があるっていわれても、どんな策かわからない以上は、普通に魔法戦をやるだけだよ、シュートっ！」

LPが削られる、魔法弾の一発一発も重い。ヴィヴィオさんって、本来は格闘戦より魔法戦に向いてるんじゃないだろうか。
けど、魔法戦主体の相手なら、ボクだって戦ったことはある。ヴィヴィオさんの魔法戦対策ということで
はやてさんから特訓も受けた。耐えられないことはない。

「うー、なんか攻撃が先読みされてる感じがする」
『我が主対策の特訓をしっかり積んでいるということでしょう』
「ヴィヴィオ、落ち着いていけ」
「わかってるよぉ」

ヴィヴィオさんの魔法戦の弱点はわかってる。
それがもうすぐ露呈するはず。
そうなったら、こっちのペースに持ち込めるはずなんだけど……。

「面倒だから大技で決めちゃおう！　ディバイン＝バスター！」

キタッ！　これを待ってたんだ！

「バカッ！　ヴィヴィオ！　バインドも掛けずにそんな大技撃ったら……」

「でも、直撃したし……」

「直撃食っても倒れなければこっちのターンですよ、ヴィヴィオさんっ！」
「え、うそっ！」
「ヴィヴィオさんの弱点、魔力値が並で魔法戦を長期に続けられないのはわかってたんです。
　大技を使った瞬間にクロスレンジにとびこめばガード不能でしょう。一気にラッシュで決めさせてもらいます」
「そうはいかないってばっ！」
「もう体勢を立て直した？」
「当然っ！　クロスレンジでのたたき合いは望むところだよ」
「でも、LP差は総計こっちが優位に立ちましたよ、五分に削り合えばこっちの勝ちです」
「五分に削り合えればね」
「強気ですね……え？」
「川崎流奥義一分の見切りっ！　当たらなければどうということはないっ！」
「たたき合いなら分があるってことですか……天才の異名は伊達じゃないってことですね。
　でも、食らいながら当てられるっ！」
「え−そんなのずるいよミウラちゃん」
「ずるい卑怯は敗者の戯言ですっ！」

ここで、ゴングが鳴った。

「勝負は第３ラウンドにお預けですね」
「そうだね、ミウラちゃん」
「次のラウンドでこそ、勝負をつけますよ」
「そうだね、けど、判定は第4ラウンド終了時だよ」
「判定までやるつもりなんですか」
「わかんない」
「ヴィヴィオさんらしいのかも」

………

「やっぱりヴィヴィオさんは強いですね。まともにはこっちの攻撃を食らってくれないです」
「けど、こっちの攻撃はちゃんと効いてるぜ、抜剣がまともに当たれば一撃で落とせるところまでLPは落とした」
「そうですね、ヴィータさん」
「いくら天才といっても、練習以上のことができるわけじゃない。練習量は間違いなくおまえの方が上だ。
　自信を持っていけ」
「はいっ」

第３ラウンドの開始です。

「いきますよ、ヴィヴィオさん」
「いくよ、ミウラちゃん」
「下がらないんですね、ヴィヴィオさん」
「当然。地球代表としては、下がってられないからね」
「本音は？」
「下がったら抜剣で落とされるって冬美ちゃんに言われた」
『我が主、手の内ぺらぺらしゃべらないでください』
「あはは、けど、たたき合いなら望むところですよ、前と一緒です。
　抜剣をくらいうちすればボクの勝ちは動かない」
「撃たせなければいいっ！」
「くらいうちっていったはずですよ。……抜剣っ！四天星煌」
『Sword Drive』

「っ！」

さすがのヴィヴィオさんも、間合いを開きます。
LP的には大幅な減少ですが、収束魔法の直撃を受ければ
LP差なんて全く無関係です。
いや、ガードの上からだってたたき落とせるでしょう。
それは、ヴィヴィオさん自身が、前の試合で証明したこと。

ここが、勝負所です。

---

 

前へ　戻る　次へ