第1ラウンドはたたき合いに終始しそうだな。
ヴィヴィオ相手に五分の戦いができているのなら、まずは上出来だ。
だが、それだけでは、負けないにせよ、勝つことはできない。
第2ラウンドでは、勝ちに行く必要があるだろう。

「ヴィヴィオ、ダメージ食らいすぎだ、間合いをとれって」
「間合いとれって、相手の間合いでも戦えって言ったの冬美ちゃんだよ」
「そらまそうだけど」
「よそ見してる暇はないですよ」
「えーん、LP差全然ないよぉ」
「自分の間合いでたたき合ってLP差つけらちゃ立場ないですからね」

ここで、第1ラウンドが終了した。

「どうだ、ヴィヴィオとの戦いの感想は」
「さすがにヴィヴィオさんは強いですね。
　強いですけど……でも、楽しいです」
「どうだ、第2ラウンド、勝ちに行けるか？」
「はい、第2ラウンドは、抜剣を試してみます」
「よし、やれっ」

「ったく、ボディにダメージ食らいすぎっての、もちっとカウンター入れて間合い開けよ」
「開けったって、そう簡単にはいかないってば」
『それだけミウラさんが強いということです、冬美さん』
「そういうことか。ライチェントゥークスまでそういうんじゃ、仕方ないな。
　けど、第1ラウンドで、相手の戦い方は見えてきたろ。
　第2ラウンドは気合い入れていけ。ある程度削ったら、お互い一撃必殺の技がある。
　どっちが決めれるかで、勝負がつくからな。それを忘れるなよ」
「うん、わかった、冬美ちゃん」
「……っていうか、ヴィヴィオが負けるとしたらセコンドの差だな……
　ったく、向こうは悠然としてるぜ。選手の実力じゃこっちが上のはずなんだけどなあ」
「ミウラちゃんは十分強いよ冬美ちゃん」
「ま、戦い方は変える必要ねぇ。実力さえだせりゃこっちのもんだ。
　そのつもりで気楽に行ってこい」
「うん、がんばってくるね」

セコンドの差、か。
だが、いったん試合が始まれば、セコンドにできることなど限られている。
コーチとして教えられることも、試合までにできることはすべて教えてきたつもりだ。

……”天才”ヴィヴィオか……
ヴィヴィオが天才なら、ミウラは努力家だろう。
ミウラは決して器用な奴じゃなかった、入門したての頃は、不器用で失敗ばかりしてたものだ。
その中で光った才能の欠片……強打者としての素質……それに磨きをかけて、そして
あいつは、ランカー相手に勝てるまでの実力を身につけるまでに成長した。

「行くよ、スターセイバー」
『Sword on』
「抜剣！」
「えー、いきなり抜剣？　そりゃないよミウラちゃん……こっちはまだ魔法力チャージしてないのにぃ」
「勝負は先手必勝です、行きますよ……飛燕！」

ガードの上からのごり押しか。DSAAのルールでは、聖王の鎧の上からLPが削れる。
つまり、聖王の鎧を発動したとしてもLPを削って勝利できると言うことだ。
抜剣がまともに入ればごり押しで勝利できるが、さて、ヴィヴィオはどんな対策をいれているだろうか？

『我が主、タイミングがすこしずれましたね』
「んー、ちょっと早すぎたかな、LPを2000も持って行かれちゃったね」
「いってぇ……なんか壁を殴ったような感じ……攻防一体のピンポイントバリアかぁ……」
「そういうことっ、タイミングさえ合えばノーダメージでいけるはずだったんだけどなぁ」
「……そんなのがあるなら抜剣解除です。まだ早すぎたみたいですね」
「そういうことなら、次はこっちの番だよ。今までこういうタイプともずいぶん戦ってきただろうけど……魔法戦、行かせてもらいます」

やはり来たか、魔法戦。
殴り合いだけがヴィヴィオの戦い方ではないからな。

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