っ！……コロナさんのカウンターがきれいに入りました。
さらに追い打ちの回し蹴りを受けます。

これは、見覚えがある技です。
これは、ヴィヴィオさんのアクセルスマッシュにリボルバースパイク。
見よう見まねはヴィヴィオさんだけの専売特許ではなかったようですね。
でも、まだ私を落としきるには、力不足だったようです。
まだ、私のLPは残ってますよ。

……それにしても、格闘戦での反撃はないと侮った私のミスです。
でも、いったい今の反撃は……今までの練習では、あんな技は見たことがなかったはず。
これが、私との対戦のために秘密で特訓していた切り札だったということなのでしょうか。

いえ、考えてる暇はありません。一撃入れればコロナさんを落とすには十分なはずです。

え？　コロナさんに攻撃が当たらない？　攻撃を見切ってかわされている？　それどころか
カウンターがを入れられた？　でも、これはガードできる。ガードの上からLPを削りおとす
ほどの威力はなかったようですね。

でも、今の技は、リオさんの虎砲。……やはり、見たことのある技をそのまま流用してます。
ということは、つまり……。

ここで、ラウンド終了のゴングが鳴ります。
インターバルが入ります。
お互いLPが回復することになりました。
そして、作戦を立て直す時間も。

……なるほど、つまり、そういうことですか。
思い出しました。昔、オリヴィアが使っていた技術です。
自分の体をゴーレムを動かすように遠隔操作する。
魔法の力で自分の体を動かすから、魔法力がそのまま
自分の体の力に上乗せされる。たしかに、強力な技です。
ですが……その技は、危険が伴います。
それに、単なる自動操作なら、単純な対策はあります、思い出しました。
次のラウンドでは、それを実行できます。

ゴングが鳴りました。
第二ラウンドの開始です。

第二ラウンド、コロナさんは、ゴーレムを作らず、いきなり格闘戦を挑んできます。
最初は、間合いを詰めてヴィヴィオさんの動きで攻撃してきます。
そこからノーヴェさんのスタンナックル、しかし、大技を使えば隙が生まれます。
ここからが私のターンですよ、コロナさん。

まずは一撃、これはガードしましたね。春光拳の捌き動作ですか。
これなら反撃がくるとみて間違いないでしょう。
……やっぱり、なら動きは読めます。
これが、身体を外部から単純に動かす場合の弱点。
見て、考えて、動かす。体を自然に動かす場合と違ってどうしても
タイムロスが生まれるんです。その弱点をカバーするために
あらかじめ一連の動作をプログラムしておくこともできますけれど
〜ブリッツアクションのように〜その一連の動き自体を先読みできれば
完璧なカウンターを決めることができるんです。

大振りの強打、かわす？　いや、ここはむしろ覇王流、牙山で受けて隙を作らないようにしましょう。
そして、コロナさんが計算外とみたところにカウンターを入れる！　これはクリーンヒットで入りました。

……落としきれませんでしたか。でも、これで切り札すらつぶしたはずです。
もう手持ちの札はのこってないはず。油断さえしなければ、こんどこそ、終わりでしょう。

「…大……丈夫……」
「え？」
「創成戦技と、……、ネフィリムフィストは……ここからが神髄ですから……」
「五体すべての完全操作、……コロナさんもそこにたどり着いたんですね」
「はい、……終わりになんてしませんよ」
「ですが、その技は危険が伴います。危険なことになる前に、私が終わらせます」
「終わらせません。私だって、自分に胸を張ってみたいから」

……オリヴィエのことは、知らないのですね、コロナさん……

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