「クリエイション……」

この距離ならいけます、ゴーレムを創成すれば、アインハルトさんとも互角に戦えるはずです。

！

速い、もう距離を詰めてきた。でも、詠唱を止めるわけにはいきません。
幸いLPにはまだゆとりがあります、ガードしながら詠唱を続けて、なんとか
ゴライアスを召喚し、逆転に持ち込まなければ。

アインハルトさんの一撃を受けます。

「創主コロナと……」

続いて第二撃……ガードしても重い……

「魔導器ブランゼルの名において……」

さらに第三撃……まだLPは残ってます、詠唱はこれで完了します。
アインハルトさん、これから私のターンですよ。

「叩いて砕け、ブランゼル！」

第四撃にかかるアインハルトさんの足を、ロックバインドで止めます。
そして、巨大ゴーレムブランゼル〜身長１０ｍの巨人〜のパンチ、ギガントナックルが
アインハルトさんをまともにたたきつぶします。
一気にカウンターが入ったとはいえ、こちらの失ったLPの方がまだ多い、勝負はこれからです。

「グランドゲイザー」

立ち上がったアインハルトさんに追い打ちを掛けます。しかし、アインハルトさんはそれを楽にかわすと
ゴーレムの巨体へと登っていきます。え？　ゴーレムの上に登る？　しまった！

「覇王！　空破断！」

アインハルトさんが気をとばして攻撃してきます。
これがまともに入ります。
さすがはアインハルトさんですね。ゴライアスの巨体を利用して攻めかかるなんて。
しかし、その次の一手は私にも想像外でした。

「ティオ、力を借りますよ」
「にゃ」
「覇王流……破城槌！」

ゴライアスが、アインハルトさんの一撃でつぶされます。
こちらはというと、飛び散った破片で打撃を受けてダウンです。
LPも残り1000ばかり、まともな一撃を受けたら、こんどこそ終わりです。

……そういえば、格闘技を始めたのはいつの頃だったでしょうか。
リオちゃんとは、サンクト・・ヒルデの1年生からの友達でした。
リオちゃんは、道場を継ぐために格闘をやってるから、そのつきあいで
自分も、格闘のまねごとをはじめたんでしたっけ。
3年になった時、エミーちゃんともお友達になりました。
エミーちゃんは、聖王になるためのお勉強をしていて、その一環で、格闘も
シスターシャッハから学んでました。

……私は、なんのために格闘やってるんでしょうか。
もう、楽になっていいんでしょうか。
リオちゃんみたいに、道場を継ぐために格闘をしてるわけでもありません。
アインハルトさんのように、ご先祖様の意志を継ぐわけでもありません。
エミーちゃんのように、聖王になりたいわけでもありません。
ただ、みんなと一緒にいたいだけなんです。

……でも、まだ、私にはまだできることが残ってます。
それをやり尽くさずに負けては、きっと、アインハルトさん達と、同じチームの
一員だっていえない、そんな気がします。

「コロナ、棒立ちになるな、アインハルトがそこまで来てるぞ」

わかってます、けど、今はこれでいいんです。……下手に構えたら
間合いを読まれてしまいます。
私の間合いに引き込まなければ、カウンターは決まらない！

アインハルトさんが来ます！

よし、カウンターの間合いです。

”ネフィリムフィスト！”

カウンターが入りました。
これでアインハルトさんを落とすわけにはいかないでしょうけど
勝負はまだ終わってないですよ。

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