めりかるうぃっしゅ う゛ぃう゛ぃっど
〜情報係 セイン〜
「やー、激戦でしたね〜」
「そうですわね、セインさん」
「エミーちゃんすごーい、アインハルトさんをノックアウトしたんだ」
「高町さん、私が出来たことと言えば、相打ちに持ち込むだけでしたわ」
「……それでも、こちらのLPをマイナスに落とし込んだことに変わりはありません。
一撃で意識を持って行かれたのは、初めてです」
「もしかして、格闘って、デバイスを持っていても危険なんじゃない？」
「そういえば、アインハルトさんって、デバイスもってなかったよね」
「ええ、そうですね。作ってもらえるようルーテシアさんがお願いしてくださるそうですが」
「あ、その件だけどね、アインハルト、明日の朝、通信に出てくれない」
「どうしてですか、ルーテシアさん」
「デバイスったって、その人にあった作りにしないと、実用性が落ちちゃうから
先方と会話して、どんなデバイスがいいのか、直接話をしてほしいかな。
私が作るんなら、私が聞けばいいけど、ブランゼルみたいなミッド式のデバイスなら
作れても、古代ベルカ式のデバイスなんて、作ったことないから、今回はパス」
「わかりました、ルーテシアさん」
「それより晩ご飯にしようよ、ヴィヴィオ、おなかぺこぺこなんだよ」
「食うことしか頭にないのかお前は」
「えー、だって冬美ちゃん、体を動かした後はおなかがすくんだよ」
「いいよな、ヴィヴィオは戦闘に参加できて。あたしはずっと解説だったっての」
「冬美ちゃんも魔法を覚えればいいんだよ」
「あたしは魔法なんて使えないっての」
「そっかな、練習すれば使えるようになるんじゃない？」
「あたしもゲッコウも、練習してみてだめだっただろ」
「ヴィヴィオ、管理外世界の人に魔法を教えるのは禁止だよ」
「え、そうだったっけ。……ライチェントゥークスもとめなかったし、いいんじゃないのかな」
『管理世界に入ってから、試しにやってみるのをとめなかっただけです、我が主』
「管理世界じゃ教えていいのか、いいこと聞いた」
「管理外世界に帰れなくなりますわ」
「……ヴィヴィオは、魔法が使えるけど、管理外世界に暮らしてるよ」
「管理外世界じゃ魔法を使うのが禁止だろ。ちゃんと使い分けろって」
「あ、そか」
「みんな〜料理ができたよ〜」
「あ、セインさん、ありがとう」
「メガーヌさんとの合作だけどさ」
「食事は大人数の方が楽しいよ」
「ほんと、ヴィヴィオは食いしん坊だな」
「育ち盛りだもん」
「あたしらと同い年だっての。あたしらだって成長期なんだよ」
「そうだよね。小学生からダイエットしてたら、いつまでたってもなのはママ見たくおおきくなれないよぉ」
「なのはおばさんも、そんなに大きな人じゃないと思うけど」
「ヴィヴィオよりはおっきいよ」
「そりゃまだヴィヴィオは小学生だろ」
「そうなんだけど」
「なにやってるんですか、あんまり話してると冷めちゃいますよ」
「冬美、セインさんもそういってるし、そろそろいこうよ」
「そうだなリオ、ヴィヴィオ、遅れるなよ」
「なんでヴィヴィオばっかり〜」
「ヴィヴィオがいれば、全員いると思って間違いないもんな」
「えー、それじゃまるでヴィヴィオが迷子になりやすいみたいじゃない」
「ヴィヴィオちゃんって、すぐ置いてけぼりになってると思うよ」
「あ〜月光ちゃんまで〜」
「高町さん、そろそろ行きましょう」
「うん、そうだね、エミーちゃん」
「アインハルトさんも行きましょ」
「そうですね、コロナさん」
えと、自己紹介が遅れたかな。あたしはセイン。
聖王教会のシスターをやってる。
今は、アルピーノ一家のところでの、なのはさん達の合宿のお手伝いの最中っす。
「食べ終わった順にお風呂に入ってね」
「じゃあ、僕らは後片付けを手伝ってますから」
「俺も手伝おう」
「ザフィーラさんは、のんびりしててください。僕は好きでやることですから」
「俺も好きで勝手にやることだ」
「少年、楽しいひとときを過ごそうとは思わないんですか」
「まあ、来年はちゃんと男湯も増設しておくから、心配しないで」
「期待して待ってます」
「抜け穴は用意しておいてくださいね」
「セインさんが通れないように、ミミズの壁にしようかな」
「それはある意味グロイよルーテシアさん」
「ヴィヴィオちゃん、冗談よ」
「あ、そうなんだ、よかった」
「本気で安心すな」
「えー、だってミミズの壁だよ。想像したら気持ち悪いじゃない冬美ちゃん」
「想像しなきゃいいだろ」
「昔、ファーストフードのハンバーグがミミズの肉、なんていう都市伝説があったって聞いたことがある」
「それ、食事中に出す話題かな、月光ちゃん……」
食事も終わり、お風呂も終わると、よい子はお休みの時間。
よい子じゃないセインさんは、これからが活動タイムなんですけどね。
ありゃ、覇王っ子は暗い中、いすに座って起きてるみたいですね。
何やってるんですかね。
ディープダイバー使えるセインさんは、そっと気づかれないよう床下から
様子をのぞいてみますよ。
「……クラウス……」
そっと、クラウスの回想録に手を載せてるみたいです。
何を考えてるかは、さすがのセインさんにもわからないですけど
独白なら聞き取れます。
「……クラウス……私も、あなたと同じように、命がけの戦いの中でしか
強さを証明できないと思っていた。
……だけど……普通の戦いの中に、私を超える強さを持った人が見つかりました。
……私は……彼らと同じ戦いの中で……覇王流の強さを示して……いいですか」
何が言いたいのか、セインさんには全然わかりません。
強さなんて、土俵が違えば意味も変わってくる物。
一体、どんな強さを求めてるっていうんでしょう。
セインさんは、面白ければなんでもありですけどね。
翌日。
ミッドとの通信回線の前に、覇王っ子とルーテシアお嬢さまとが座ってます。
通信回線の向こうは、マリエル技術官か誰かでしょうか。
「ばあ」
……狸のお面をつけた人？ こんなセインさんばりのお茶目な相手となると
一人しか思いつきません。
あ、セインさんはいつも通り盗み聞きモードです。
特に呼ばれてもないけど、興味はありますもん。
「あはは、びっくりしたか。こっちは夕方やけど、そっちは朝なんやな」
「ええ、そうですよ、こちらがメールで紹介した、アインハルト＝ストラトスさん」
「アインハルトかいな。どうや、辻試合より、ルールつけた戦いの方がおもしろいやろ」
「面白いかどうかはわかりません。けど、こっちの世界にも、強い方がいらっしゃるのは実感しました」
「なのはちゃんともやりおうたんやてなぁ。本気のなのはちゃんと戦えたならたいしたもんや。
それはそうと、デバイスの話やったな、どんなデバイスがいるんかいな」
「どんな、といわれても、まだデバイスを使ったことがありませんから」
「そうやな、基本的なデバイスの話からせなあかんか。
基本、接近戦なんやろ。シューティングアーツ用の重量があるナックル系もありやろうし
切れで勝負するタイプの、補助型もありやろ。さすがに、ライチェントゥークスみたいな
負荷型のデバイスはいらんやろうからなぁ」
「負荷型のデバイス？」
「あ、説明してへんかったか。ヴィヴィオのデバイスは、元々ヴィヴィオを管理外世界で生活させるために
魔法をつかわせへんように制限するためのものやったんよ。今は、魔法能力をサポートすることも
やってるけど、基本はあくまで、管理外世界での生活のための、魔法力の中和や」
「そうなんですか。ですが、私はまず自分の力で戦いたいので、武器型ではないほうが……」
「ナックル型はやめか。せやたら、補助型のデバイスになるやろな。
動きのデータとか調整とかは、作ってからアインハルトに合わせるようにするわ。
どのみち、インターミッドまでに完全な状態に仕上げればええんやろ。
とりあえず、一週間で仮り組みするところまでしあげとくな」
「お願いします」
「で、セインさん」
「な、なんですかルーテシアお嬢様」
「やっぱ隠れて聞いてたんだ」
「ちぇ、バレてたんですか」
「こうみえても、探査魔法の使える魔法戦タイプだもの。
せっかくだから、インターミッドに参加しそうな人のデータでも出してみてよ」
「それはおやすいご用ですよ。せっかくだから、こども組はみんな呼んできますね」
そういうわけで、インターミッド参加予定者と、月光ちゃんに冬美ちゃんを呼んでの
紹介タイムです。
「ま、ここのメンバーの紹介はいいですよね。魔法戦のルーテシアお嬢様に
格闘戦のアインハルトにリオ、オールラウンダーのエミー陛下にヴィヴィオ陛下。
ゴーレム使いのコロナの6人ですよね」
「いーなー、参加出来る連中は。あたしは参加できないんだぜ」
「ヴィヴィオの代わりに冬美ちゃんが出たら」
「魔法が使えないから出れないっての、ヴィヴィオ、帰ったら特訓だからな」
「えー、ヴィヴィオはパティシエさんになるのに……」
「地球代表が一回戦負けじゃ話にならないだろ。仮にも川崎流の名誉がかかってるんだから
ヴィヴィオもがんばれ」
「うん、……一回戦負けしないようにはがんばる」
「一回戦で負けるのは全体の半分なんですけどね。
平均以上の実力がないと、一回戦は突破できませんよ。……と、
ほかの選手の説明にいきましょうか。まずはうちのホープから」
「うちのホープ？」
「シスター・シャンテ：シャンテ＝アピニオン。シスターシャッハの愛弟子で
シャッハ譲りの双剣術とスピードが売りですね。
エミー陛下はご存じじゃないですか」
「私は、多分初耳だと思いますよ」
「そうですか。……それから、ザフィーラ……といってもオリジナルの方から
聞いた話ですけど、八神家で教えてる子にも、有望なのがいるらしいですね」
「へー、八神家も格闘を教えてるんだ」
「そうなんですよ。でね、そこのミウラ＝リナルディって子が一押しだそうです。
素直な性分だからすくすくと伸びてるみたいですよ」
「ザフィーラさんって、スバルさんの先輩に当たるんだよな。
その人が師匠なんだったら、強敵になるかもな」
「それから、ハリー＝トライベッカっていうのも、結構な使い手ですかね。
番長やってるって噂ですけど、実力は都市本戦ベスト８ですよ。
そうそう、雷帝、ヴィクトーリア＝ダークグリュンってのもいましたっけ。
これが都市本戦3位の実力者。雷帝ダークグリュンの血を引いてるから
エミー陛下やヴィヴィオ陛下、それに覇王インクヴァルドがでてくるときけば
敵愾心を燃やすかもしれないですね」
「けど、都市本戦に出るには、まず予選を突破しないと、いけないんですよね」
「そうですね、コロナ」
「冬美が出てこれないのは残念だけど、その分はヴィヴィオにぶつけるからな」
「怪我するなよ、ヴィヴィオは天才だからな」
「えー、冬美ちゃん、ヴィヴィオをおいてけぼりにして話を進めないでよ」
「私も出ることをお忘れなく。インターミッドは格闘戦の集まりじゃないからね」
「オールラウンダーが器用貧乏にならないように気をつけますわ」
「……予選、そして、都市本戦、その先には世界がある……」
インターミッドまで、あと2ヶ月。それまでに、彼女たちがどれだけ積み増しできるんでしょうかね。
あたしも応援はしますよ。手助け出来ることは、きっと何もないでしょうけど。