「さて、やって参りました二回戦。旧スターズ小隊グループ対旧ライトニング小隊グループによる

　対称フラッグ争奪戦……つまり、両者とも自軍の陣営にフラッグを持って、フラッグを防衛した

　状態で、相手のフラッグを奪った方が勝ち、という戦いが繰り広げられます。

　解説はおなじみ川崎冬美さん、審判は変わりましてメガーヌさん、ライトニング組担当は

　エミー陛下、スターズ組担当が中島月光さん、そして実況は私セインでお送りいたします。

　さて、解説の川崎さん、今回の対戦の見所はどこでしょう」

「対戦の見所って言っても、大人組対こども組の時と、基本的な組み合わせはかわってねーから

　戦いの基本もかわらねーと思うぜ。ただ、スピードの速い奴と転送魔法使いがライトニング小隊組に

　集まっていて、一方大火力の使い手がスターズ小隊組に集まってる。いかにしてライトニングの

　スピードに対応するかがスターズの腕の見せ所だし、逆に、いかにスターズの大火力魔法に

　焼かれずに済むかが、ライトニングの思案のしどころになるだろうな」

「ありがとうございます。さて、スターズ組の状況はどうでしょう、実況の中島さん」

「はい、こちら月光です。スターズ組は、戦力をちょうど2分して対応する予定のようですね。

　空戦対応魔導師揃いのスターズ組ですから、フラッグ防衛をティアナさんに任せて

　全力で奪いに行くかと思いましたが、それはないようです」

「はい、続きましてライトニング組担当のエミー陛下」

「ふふ、ライトニング組は、例によって転送魔法によるゲリラ戦を主体にする予定のようです。

　収束魔法に焼かれる前にフラッグを奪うとエリオさんは意気込んでますわ。

　こちらからは以上です」

「了解です。……さて、ではそろそろ時間のようです」

「はい、両者準備はいい？……Ready……GO!」

 

メガーヌおばちゃんの合図で、試合開始です。

スターズ組の作戦は単純明快、ジンベルリッターを空中からフラッグへ向けて突入させ

ヴィヴィオとなのはママとスバルお姉ちゃんとティアナお姉ちゃんがフラッグ防衛です。

出来るだけなのはママが魔力を温存出来る形をとって、タイミングを見て

ジンベルリッターに火力支援を行い、ジンベルリッターでフラッグを奪う、それが

スターズ組の予定です。

うまくいくかどうかは、相手の出方次第だって、ティアナお姉ちゃんは言ってました。

 

あ、ジンベルリッターに向かって、ノーヴェお姉ちゃんとフェイトママとエリオお兄ちゃんと

キャロお姉ちゃんが出てきました。シグナムおばちゃんのところに、ノーヴェお姉ちゃんが入る

展開です。４：４で侵入者を迎撃し、あわよくばこちらまで突破しようという考えなのが見て取れます。

けど、あれは防衛隊のはずです、地上組がこちらに接近してるのは、聞かなくてもわかります。

 

「ヴィヴィオ、大丈夫、いける？」

「うん、ヴィヴィオなら平気だよ。ティアナお姉ちゃん、援護してね」

「了解。なのはさん、スバル、旗の防衛は任せたわよ」

「スバルも行っていいわよ。フラッグは、なのはさんが確実に守るからね」

「はい、なのはさんがそうおっしゃるなら」

「よし、じゃあ見えてるってことを教えてあげようか。レイジングハート、アクセルシュート」

「Yes,my master」

 

なのはママがアクセルシュートを物陰に打ち込みます。

あそこに、地上班が待ちかまえているようです。

 

「よし、ヴィヴィオ、スバル、行くわよ」

「はーい、ティアナお姉ちゃん」

「O.K.ティア」

 

ティアナお姉ちゃんの幻術で、まだこちらが出撃してないように見せかけます。

ステルスモードで、ヴィヴィオ達はルーテシアお姉ちゃん達地上班へと接近します。

あ、まだこっちに気づいてないようです。ティアナお姉ちゃんがステルスを解除します。

 

「先手必勝！　ファントムブレイザー！」

「甘い、来るのはわかってたよ」

「うそっ」

 

ティアナお姉ちゃんがルーテシアお姉ちゃんにバインドされます。

ファントムブレイザーは不発に終わってしまいました。

 

「ティア！」

「スバル、あたしはすぐにこのバインドを解くから

　あんたは間合いを詰めてお子様達の動きを止めて」

「了解」

「コロナ！」

「よし、ブランゼル起動！　ゴーレム召喚」

「うわ、でっかい……けど、このスピードについてこれる？」

「コロナ、じっとしてろ、あたしがスバルさんをとめてやる」

「リオちゃん、お願い」

「コロナ、リオがスバルさんを押さえてる間に、ロケットパンチでティアナさんを撃墜して」

「了解」

「そうはいかないわよ。長距離砲撃……ディバイン……バスター！」

「ブランゼル」

「Yes,master」

 

コロナちゃんが召喚したゴーレムが、なのはママの放ったディバインバスターを受け止めます。

しかし、これでゴーレムは半壊してしまいました。再生するのにかなりの魔力が必要なので

しばらくコロナちゃんは戦闘から脱落です。

 

「へえ。思ったよりやるじゃない」

「あたしにだって大人モードがあるから、リーチじゃ負けませんよ、スバルさん」

 

川崎流と違って、リオちゃんの戦いは、足技が主体のようです。

腕でスバルお姉ちゃんの攻撃をブロックし、足技で足下を崩そうとしています。

ウィングロードで空が飛べるとはいえ、地に足をつけて戦うスタイルのスバルお姉ちゃんは

足下をねらわれるのはつらいみたいです。

 

と、ヴィヴィオもそろそろ本気を出さなければならなくなったようです。

 

「高町さん、参ります」

「アインハルトお姉ちゃん、ヴィヴィオも負けないからね」

 

アインハルトお姉ちゃん、覇王流の使い手です。格闘ははっきり言って強いです。

魔法力をこめた突きがヴィヴィオに襲いかかります。

 

「川崎流一分の見切りっ！」

 

けど、アインハルトお姉ちゃんの攻撃なら、なのはママとの戦いで見ています。

一度見た攻撃なら、ヴィヴィオにとって、かわすことは難しくありません。

けど、この激しい攻撃では、ヴィヴィオもよけるのがやっとです。

ヴィヴィオは、アインハルトお姉ちゃんの息継ぎの瞬間を待ちます。

 

「逃げてばかりなの、高町さん」

「逃げてばかりじゃないもん。……アクセルシュート！」

「ふふ」

「あ、しまった」

 

忘れてました、アインハルトお姉ちゃんは、魔法を投げ返す技が使えるんです。

けど、これはヴィヴィオの誘導弾、自爆させて防御すれば済むことです。

 

「とっさに魔法弾を爆破するなんて、いい判断ですね」

「魔法弾を投げ返せるのを忘れてるなんて、ヴィヴィオの判断ミスだよ」

 

ここで、アインハルトお姉ちゃんを足止めしてれば、ジンベルリッターが勝てるんでしょうか。

ヴィヴィオは、一分の見切り、ではなく、大きく間合いを開いて、ジンベルリッターの戦いの

様子に目をやります。

ジンベルリッターは、がんばって戦っているようですけど、シグナムお姉ちゃんはフェイトママに

押され気味のようです。ヴィータお姉ちゃんも、エリオお兄ちゃんのスピードに翻弄されてます。

ノーヴェお姉ちゃんとザフィーラおじちゃんは互角に戦ってますが、フェイトママ達の方が

優勢なことに変わりはありません。

ということは、ここでヴィヴィオ達ががんばらないと、まけちゃうってことです。

 

「そろそろ、ヴィヴィオのターンだよ」

「動きを止めればこちらが優勢ですわ。……覇王、断空拳」

「川崎流、半歩の間合い！」

「え？」

 

ヴィヴィオは、アインハルトお姉ちゃんの間合いより、半歩だけ前にでてカウンターを打ち込みます。

これが川崎流極意半歩の間合い。クロスカウンターといえばその通りなんですが

半歩だけ相手の間合いを外すことで、こちらの打撃は１００％の威力を保つのに対して

相手の攻撃は、半歩間合いを外されたことで、威力が低下する。

完全な状態で同じ威力の攻撃を撃ちあったとすれば、こちらは１００。向こうは７０の力で

クロスカウンターを放った計算になる。しかも、クロスカウンターだから相手の踏み込みの力も

利用して攻撃できる。一撃必殺の突き同士なら、相手を倒してこちらは立ってることも出来るんです。

 

ほら、LPはアインハルトお姉ちゃんの方が減少量が多い。

 

「今のは一体？」

「これが川崎流の極意だよ。半歩の間合い、一分の見切りで、紙一重の勝利をつかむ」

「肉を切らせて骨を断つつもりですね。けど、今の突きは骨まで達しませんでしたよ」

「わかってる。さすがだね、アインハルトお姉ちゃん」

 

アインハルトお姉ちゃんは、これには答えませんでした。

いえ、答える以前の問題でした。

 

そう、戦いがたけなわになれば、一発逆転のこれがスターズ組にはあるんです。

けど、それはライトニング組も計算のうち、ティアナお姉ちゃんの収束魔法が

コロナちゃんとリオちゃんにHITします。けど、それを読んでいたルーテシアお姉ちゃんが

転送魔法で素早くエリオお兄ちゃんを呼び寄せてました。エリオお兄ちゃんの攻撃で

ティアナお姉ちゃんも倒れます。なのはママのスターライトブレイカーは、キャロお姉ちゃんと

ノーヴェお姉ちゃんを撃墜しましたけど、なのはママのSLBから回避するために分散したところを

フェイトママの真ソニックでシャマルおばちゃんとヴィータお姉ちゃんが打ち落とされてしまいました。

最後までノーヴェお姉ちゃんを拘束していたザフィーラおじちゃんは、ノーヴェお姉ちゃんと一緒に

脱落です。

空中戦の生き残りは、シグナムおばちゃんとフェイトママだけ。地上班の生き残りは

エリオお兄ちゃんとヴィヴィオとスバルお姉ちゃんとアインハルトお姉ちゃんと

ルーテシアお姉ちゃん、そしてフラッグ防衛になのはママです。

 

「エリオ、すぐにフラッグ防衛に帰って。このままじゃやられる」

「了解ルーテシア」

「競争だねエリオ！」

 

エリオお兄ちゃんと、スバルお姉ちゃんは、ライトニング組のフラッグ目指して競争を始めました。

一方ルーテシアお姉ちゃんは、次のなのはママの砲撃にそなえて下がります。

多分、空中のシグナムお姉ちゃんとフェイトママの戦いは、簡単には決着がつかないでしょう。

 

つまり、勝負を決めるのは、ヴィヴィオとアインハルトお姉ちゃんの戦い、ということになります。

 

「アインハルト、絶対ヴィヴィオちゃんに勝ってね。それがライトニング組の勝利の鍵だから」

「わかりました、ルーテシアさん」

「ヴィヴィオだって、簡単には負けてあげられないよ」

 

ヴィヴィオはまた一分の見切りで、アインハルトお姉ちゃんの攻撃をかわすことに専念します。

半歩の間合いを見せちゃったから、たぶん、同じ手は二度通用しないでしょう。

けど、逃げてばかりでは、勝てません。勝つためには、相手に打撃を加える必要があります。

相手に打撃を与えるには、普通なら魔法を使うところなんですけど、かわすのがやっとで

魔法に思考を回す余裕がありません。

 

『我が主、そういうときのために、私がいるのではありませんか』

「あ、そか、ライチェントゥークスと一緒だったんだ。

　ならヴィヴィオにもチャンスがある」

「どういうこと？」

「ライチェントゥークス、魔力回収プログラム、ドライブ」

『わかりました、我が主』

「魔力回収が出来るなら、シールドを張って撃ち合いに持ち込める！」

「それがあなたの切り札なの」

「切り札じゃないけど、逃げてばかりじゃないってこと、見せてあげられるよ」

 

（相手の技を見切る洞察力。そして、前に出る勇気。

　この子、もしかして、天性のカウンターヒッター？）

 

アインハルトお姉ちゃんが何を考えてるのか、ヴィヴィオはテレパスではないのでわかりません。

わかるのは、今、アインハルトお姉ちゃんは、本気の本気を出してヴィヴィオに向かってきてる

ということです。

けど、今LPはヴィヴィオの方が上です。ということは、計算ずくの……

 

「川崎流極意……」

「同じ手は二度通用しない……」

「とみせかけて、正攻法の正拳突き」

「覇王、断空拳！」

「うそっ！」

 

予想が外れました、アインハルトお姉ちゃんは、きちんとはかって１００％の威力を

この間合いで放つことが出来たんです。もちろん、こちらの正拳突きもまともに入りました。

計算通り、LPを０にまで低下させることには成功しましたけど、逆にこちらのLPも０まで低下です。

 

「あー、計算が狂ったぁ。あの間合いで１００％のクリーンヒットが出せるなんて」

「あれは完全に私の間合いだったはず。それなのに、戦闘不能になるなんて……」

「とったー」

「とったよ、なのは」

「え、ええと……」

「ええと、何が起きたんでしょう、エミー陛下、中島さん」

「ルーテシアさんが、転送魔法で、フェイトおばさんを瞬間異動させただけですわ。

　そこからブリッツアクションで、なのはおばさんが反応するより早く、フラッグを奪った

　そういうことです」

「えと、エリオさんとスバルさんの競争で、スバルさんの方が後からついたんですけど

　LPを削られながらもフラッグに突撃してフラッグを奪取したんです」

「今のはどうなるんでしょうか、審判の判定が待たれます」

「……んーと、今のは同着！引き分けね」

「なんと言うことでしょう、第二戦は引き分けという結果になりました。

　さて、第三戦はどんな組み合わせで、どうなるんでしょうか。

　解説は川崎冬美さん。ライトニング組担当は中島月光。スターズ組担当はエミー陛下。審判は

　メガーヌさん。実況は私セインでお送りいたしました。

　これで、合宿合同練習第二戦の中継を終わります」

 

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