めりかるうぃっしゅ う゛ぃう゛ぃっど
〜非対称フラッグ戦審判 ノーヴェ〜
「さて、大人組はフラッグの元でシャマル先生によってシグナムとスバルが回復中。
ティアナはコロナによって地上での１on1の最中、ザフィーラ、フェイト、ヴィータの３人が
こども組のヴィヴィオ、エミー、エリオ、キャロの４人相手のパワープレイを受けている最中です。
一方、なのは相手に砲撃をまともに受けて行動不能に陥っているアインハルトは、ルーテシアによる
回復を待ちます。リオはその援護に回ってます。
しかし、なのはの姿が見えない、これは一撃必殺の魔法が準備されてるということなのか。
そして、こども組は管理局の白い悪魔相手にどんな作戦で行くのか。
解説の川崎さん、ここからの展開をどう見ます？」
「どうって言われても、なのはおばさんには、必殺の収束魔法があるってはなしだろ。
それを撃たせないように、一生懸命しがみつく、って戦術は間違いじゃないと思う。
けど、非対称フラッグ戦なら、双方が戦闘不能になっちまえば
当然勝利は大人組だ。しがみついてるだけじゃ、相打ち上等でこられたら、勝てないぜ」
「なるほど、しがみつき戦術に対して、皆殺し殺法があるということですね。
それに対しても何らかの手が必要なはずですが、さて、どういう作戦でくるんでしょう」
「エリオくん、フェイトさんは私が押さえます。エリオくんはスピードを生かして地上から
フラッグを目指してください」
「了解キャロ、気をつけて」
「こちらフェイト、ヴィータ、ザフィーラ、私はエリオを止めに入ります。
シャマル、フラッグ奪取にキャロが回った時にはキャロをとめて」
「了解、フェイトちゃん。すでにシグナムは前線にでれるだけの回復をしているわ。
今はスバルの回復に専念してる最中。あと５分持ちこたえれば、二人とも
完全回復で前線に投入できる」
「了解」
「バルディッシュ、ソニックフォーム」
「Yes, sir」
「かかったよエリオくん、エリオくんは地形を生かしてフェイトさんを地上戦に引き込んで。
私が魔力ブーストします。フェイトさんから離れないでくださいね」
「了解！ キャロ！」
「1on1、魔力ブースト付き？」
「そう、地上戦、障害物ありなら僕でもフェイトさんのスピードを超えられる！」
「こちらこども組実況の中島月光です。ビルの中から、ビルの床を打ち抜いて
ビルの屋上に出たエリオさんが、ビルの中へ入ろうとするフェイトおばさんに一撃を加えました。
フェイトさんのバリアジャケットが破れます」
「フェイトさん、このまま落とさせてもらいます」
「エリオ、強くなったね。けど、まだ勝負はこれからだよ」
「十分回復してないけど、アインハルトさん、いける？」
「いけるかどうかじゃありません。行けと言われればどんな状況でも行きます」
「それじゃまだ半人前だよ、いけるかどうか自分で判断できて一人前。
だけど、まだいけないっていわれても、行くしかないみたい。
リオ、アインハルト、転送で一気に勝負を掛けるわ。
さあ、フラッグまで一直線」
「こちら大人組担当のメガーヌです。
フラッグのある大人組陣地に、突然３人の姿が現れました。
直ちにアインハルトがシグナムに、リオがスバル相手に戦いを始めます。
ルーテシアとシャマルはバインド合戦、しかし両者これを手早くかわした。
この3on3も目が離せませんが、むしろ勝負の鍵を握ると思われるのは
コロナとティアナの一騎打ちでしょう。私はそちらの実況に移りたいと思います」
「えっと、解説の川崎さん、いったいこれはどういうことなんでしょう」
「ティアナさんにも、なのはさんと同様に収束魔法がある。
ルーテシアさんもキャロさんも、なのはさんの収束魔法にばかり気をとられてるけど
もし、大人組の本命がティアナさんの方の収束魔法だったとしたら？」
「けど、ティアナは、コロナが押さえてるんじゃないんですか？」
「押さえ切れてるとすれば、だね」
「それはいったい？」
「エミーちゃん、何？」
「私にちょっとした作戦がありますわ、高町さん。
協力してもらえないかしら」
「いいよ、エミーちゃん。けど、本当にその作戦でいいの？」
「ええ、これくらいしなければ、大人組には勝てないと思いますわ。
どうやら、私たちは、大人組のわなにはまってしまったみたいですもの」
「しがみつき戦術を使ったって、なのはの誘導能力じゃ無意味かもしれないって
やっと気づいたみたいだな」
「私が言っているのは、そういうことともちがいますわ。
けど、これから１分間、私がヴィータさん、ザフィーラさん、お二人を相手に
全力で戦わせていただきます」
「ヴィヴィオをフリーにしようってかよ、甘いんだよ」
「私には頼れる相棒がおりますわ、ね、クリス」
クリスは黙って（というかしゃべれないが）うなずいた。
「エミーちゃん、がんばってね」
『というより、我が主がもっとがんばる必要があるはずです』
「わかってる。エミーちゃんの作戦は、ヴィヴィオががんばることが前提だもんね。
ライチェントゥークス、魔力回収プログラム、ドライブ」
「！ 空間の魔力密度が急激に下がってる。そんな……」
「ティアナさん、よそ見してちゃだめですよ、行け、ブランゼル、ロケットパンチ！」
「いったー」
「今のでティアナに１０００ダメージですわね。けど、まともにぶつけたからといって
勝利したわけではありませんね、コロナちゃん」
「私の任務はティアナさんをフリーにしないこと、ティアナさんを1on1で
手一杯にしてれば、後はほかのみんなががんばって勝てるはず」
「それはどうかしら？」
「どういうこと」
「今まで、こちらから積極的に反撃しなかった理由、今から教えてあげる」
「いまからって……まさか」
「はい、詰んだ。クロスミラージュ、フルドライブ」
「roger」
「ブランゼル、防御に入って」
「もう遅い、スターライトブレイカー、ファントムブレイザー！」
「なんだ？ この光の集まりは」
「覚えてないんですかシグナムさん。これはヴィヴィオさんが前に使った魔法」
「けど、この数、前回の比じゃない……ていうか、戦場全体を覆ってる？」
「アインハルト、コロナ、いったん離脱するわ。これは危ない」
「けどもう遅い」
「その声は、なのはさん！」
「空中の相手はティアナが、そして、地上の相手は私が焼き払うってことで
分業が出来てたんだよ。砕け星光の輝きで、スターライトーブレイカー！」
「なのはママは太陽方向から？ずるい、けどこんなこともあろうかと
二種類魔法を準備しておいた、なのはママ行くよ
ヴァニシング＝イクスプロージョンファランクスシフト！
そしてはじけろ究極破壊魔法のバリエーション、スターダストフォール！」
「えっと……一瞬の出来事ですから何から説明すればいいのかよくわかりません。
わかるのは、つご４種類の収束魔法が一気に戦場を焼き尽くしたということでしょうか。
まず、ティアナ執務官のスターライトブレイカーファントムブレイザーが
地上から発射され、空中にいたヴィヴィオ、エミー、キャロの３人を撃墜。
二丁流のティアナ執務官らしく、もう一方の銃から放たれた収束魔法が
ブランゼルの生み出したゴーレムごとコロナを撃破。
さらに空中から発射されたなのはの正統派スターライトブレイカーが
フラッグ周辺のルーテシア、アインハルト、リオ、シグナム、スバル、シャマルをまとめて脱落させると
逆にヴィヴィオの放ったファランクスシフトでなのはが戦闘不能に。
さらにスターダストフォールの追い打ちで地上にいたティアナ、エリオ、フェイトの３人も
LPが０に低下してしまったわけです。えと、解説の川崎さん、これをどう見ます」
「これ、なんていう最終戦争なんだ……」
「さすがなのはママ直伝のスターライトブレイカー、まともに受けたらこんなものだよね」
「ていうか、破壊の大半はヴィヴィオのせいだろ。スターライトブレイカーが戦場を選んで
攻撃したのに、お前のスターダストフォールは練習場全体を焼き尽くしたぞ」
「えー、冬美ちゃんそんなことないよぉ。なのはママの魔法圧はフラッグ周辺に
誰かが隠れてても完全に吹き飛ばすぐらいの威力があったし……」
「ヴィヴィオの魔法が何割か含まれてるけどな」
「……そうかも」
「妙に素直だな」
「えと、これはエミーちゃんの作戦なんだよ」
「作戦って、両者戦闘不能ならフラッグ奪取失敗で大人組の勝ちだろ。
ジェノサイドの何が作戦なんだ」
「両者戦闘不能だが、まだあたしは試合終了を宣言してないからな」
「ノーヴェ、そりゃまたいったいどうして」
「ま、フラッグのそばをよく見てな」
「こちらこども組担当の中島月光です」
「こちら大人組担当のメガーヌです」
「二人とも今大人組の陣地に来ています」
「やられた〜ショートジャンプで逃げるつもりだったのにまともに食らっちゃった〜」
「なのはちゃんもむちゃくちゃしますね」
「バリアで防ぎきれませんでした。まだ私は未熟ということですね」
「スターライトブレイカーからシャマル先生をかばったつもりだったのに
かばいきれなかったぁ」
「ていうか、エミー、ヴィヴィオ、これはやりすぎだろ」
「こちらメガーヌ、なにやら小さなものがこちらに歩いてきます」
「こちら月光、確かに見えました、あれは確か、エミーちゃんのデバイス？」
「みたいね〜かわいいわね、よわよわしくはあるけど目的地を目指してがんばってるわ」
「えっとぉ、戦闘不能になったら、デバイスも脱落なんじゃないかな」
「戦闘不能になったらな。けど、エミーはLP８０残ってるぜ。地力では動けないけど
まだ脱落ってわけじゃない」
「それってつまり？」
「つまり、デバイスががんばればいいってことだ」
「あー、あたしのLPが残ってれば、マッハキャリバーが動けたのに」
「これがエミーの切り札だったということか」
「相打ちなら大人組の勝利、という思いこみが油断を生んだ」
「そういうことだな。……と、残り時間５分でクリスがフラッグを奪取。
この勝負はこども組の勝ちとする。……なんだ、その不満そうな顔は」
「なんか狐につままれたような負け方だなぁ」
「相打ち前提の作戦を立てたのが敗因だね。仕方ないよ、ヴィヴィオにも
収束魔法が使えるってこと、忘れてたね。
けど、エミーちゃん、もしかして、全力で防御していれば
行動不能にはならずにすんだんじゃない？」
「ヴィータさんとザフィーラさん二人を同時に敵に回して、しかも
スターライトブレイカー相手に全力で防御するほどの余裕はありませんわ。
聖王の鎧を使っても、このレギュレーションだとLPは低下してしまいますもの。
防御一辺倒になっていては、高町さんが収束魔法に専念できなくなりますしね」
「けど、エミーちゃん、SLBを受けても行動不能になるだけで、脱落はしない自信があったんだ」
「もし、私たちがスターライトブレイカー対策に専念していたとすれば、相打ち覚悟の攻撃ではなく
収束魔法で確実に戦力をそぐ作戦を使われていたかもしれませんわ。
それでは、確実に勝てるとはかぎりませんもの」
「……つまり、わざと隙を作って、勝ちを急ぐようにさせた」
「そうともいえますわね」
「……エミー陛下にはかなわないな」
「かなわないのは高町さんにですわ。高町さんがなのはおばさんと、ティアナさんを
同時に撃墜できなければ、私の作戦は成立しませんでしたもの」
「げに恐るべきは聖王っていうことか」
「……どうした、アインハルト」
「私には、何が欠けていたのでしょう」
「残りの合宿で、それを見つけるといいぜ。まだ、合宿は終わってないんだから」
「はい、そうします、ノーヴェさん」
「以上、模擬戦はエミー陛下の作戦によって、こども組が勝利いたしました。
解説は清祥小学校４年、川崎冬美、こども組レポーターは清祥小学校４年中島月光、
おとな組レポーターは元管理局員メガーヌ・アルピーノ、実況は私セインでお送りいたしました。
では、来週のこの時間は……」
「セインさん調子に乗りすぎ」
とまあ、こんな具合で試合は終わった。
それにしても、教導官や執務官にいっぱい食わせるんだから、とんだお子様もいたものだ。
油断大敵っていうけど、それ以上だな。