めりかるうぃっしゅ う゛ぃう゛ぃっど
〜実況担当 セイン〜
「というわけで、やって参りました合宿二日目の恒例行事、団体戦演習のお時間です。
今回は大人組8人ｖｓこども組8人の対抗戦。審判はノーヴェ、こども組レポーターは
清祥小学校4年中島月光、大人組レポーターはメガーヌ・アルピーノ、解説は
川崎流後継者川崎冬美、実況は私セインでお送りいたします。
まずは、今回の演習のマッチメイクを担当、そして試合の審判を務める
ノーヴェに、試合のルールなどを説明してもらいます」
「ていうかセイン、なんで実況とか現地リポーターとか用意してるんだ」
「そっちの方がおもしろそうじゃないですか。それに、ヴィヴィオ陛下が機動六課入りするときの
洋上演習の時だって、やっぱり実況も解説もあったってきいてるからね」
「あー、わかったわかった。双方のチームリーダーにはルールを説明しておいたけど
見学にはまだルールの説明とかしてなかったからな。今からルール説明をするか」
「そうこなくっちゃ。で、今回のマッチメイクはどういうルールになってるんです」
「基本は、非対称フラッグ戦。フラッグ戦について簡単に説明すると、双方が旗を取り合って
先に旗をとった方が勝ちって言うルールだ。ただし、今回は非対称フラッグ戦で、大人組にのみ
旗があって、それを一定時間守り抜いたら大人組の勝ち、逆に、時間内に旗をとれば
こども組の勝ちになる」
「戦闘はどうやるのかな」
「戦闘はDSAA公認ルールでやる。ポジションごとにLPを割り振って、有効打を受けるごとに
その打撃度に応じてLPを減らし、LPが０以下に下がったらそこでリタイアってわけだ」
「ポジションごとのLPの分配はどうなってるんです」
「フロントアタッカー（以下FA)が3000ポイント、ガードウィング（以下GW）が２８００ポイント、
ウィングバック（以下WB)が2500ポイント、センターガード（以下CG)が２５００ポイント
フルバック（以下FB)が2200ポイントになる、ちなみに、大人組のポジションは
FAがスバルにシグナム……といっても、言うまでもなくオリジナルじゃなくて、ジンベルリッターの
シグナムだけど、とにかくこの二人、GWがフェイトにヴィータ（銀）、WBにザフィーラ（銀）、
CGになのはとティアナ、FBがシャマル（銀）。
こども組の方は、FAが……本当にこれでいいのかよ。エリオとアインハルト。
GWにヴィヴィオ陛下とエミー陛下にリオ、WBにコロナ、CGにキャロ、FBにルーテシアお嬢様。
こども組の方が若干LPが多いけど、これはポジション選択の問題だから気にしないでくれ」
「ノーヴェさん、質問なんだけど、各ポジションってどういう役割なんだ。
前にヴィヴィオから聞いた気がするんだけど、すぐにわすれちまうんだよな」
「あ、それはいい質問だぜ。FAは、イメージするとすればスバルやシグナムだな。
チームの前衛として、相手の突破を防ぐと同時に、可能なら突破口を開く役割を担っている。
必要なのは防御力と突破力ってわけだ。
GWは、フェイトやエリオがわかりやすいだろう。フロントアタッカーの側面を守るのが仕事、
だけど必要とあれば オーバーラップして相手の側面を攻撃する役割も担っている。
WBは、GWがより守備的になったようなポジションだな、必要に応じて相手の攻撃を
防ぐのが仕事だ、ザフィーラがここに当たってるところから察してくれ。
CGは、チームの要だ、全体の司令塔として、戦況を見極め指示を出すと同時に
火力支援でみんなを助ける役割が期待されている。なのはやティアナがその役割。
FBは、パーティの支援や回復を行うのが仕事だな。シャマルがちょうどその役割になる。
大人組の構成は、あたしもなっとくいくんだよ。ただ、こども組は何を考えてるのか
正直よくわからない。まあ、お嬢のことだから、何か秘策があるんだろうけどな」
「はい、解説ありがとうございました。ではお仕事の方がんばってください。
では、ここで中継を大人組にうつしてみましょう、リポーターのメガーヌさーん」
「はいはい、メガーヌです。大人組は今試合前のフォーメーションチェックをやっている最中です。
チームリーダーのティアナさんに、試合前の心構えなど聞いてみましょう。
ティアナさん、いったいどんな作戦で臨むんでしょうか」
「どんな作戦、と言われても、フラッグ戦の防御側ですから、基本通りにやるだけです。
まず、なのはさんとフェイトさん、それからシャマルの3人を、予備としてフラッグ防衛に
割り当てます。ジンベルリッターの残り3人と、スバル、それからあたしの5人のうち
飛行魔導師とスバルは、シャマルの誘導で相手の飛行魔導師を阻止、あたし自身は
幻術で可能な限り地上組を牽制しつつ、必要に応じてなのはさん達の支援を仰ぎます。
フラッグ戦は、人数互角だと不利なんですけど、大人組の名誉にかけて、30分
時間内守り抜きますよ」
「頼もしい言葉ありがとうございました。はい、大人組からは以上です」
「大人組の方はオーソドックスな作戦のようですね。
解説の冬美さん、この作戦をどう見ます」
「どう見るって、やけにティアナさんの負担が大きいように感じるけど、大丈夫なのかな」
「確かに、こども組のうち、飛行魔導師と呼べるのは、聖王コンビのヴィヴィオ陛下に
エミー陛下だけですもんね。6人を相手に、幻術でどこまでがんばれるんでしょうか。
一方、奇策で挑むと思われるこども組の様子は、月光さんに聞いてみましょう。
現場の月光さん、状況はどうなってますか？」
「はい、こちら月光です。今、ちょうどチームリーダーのルーテシアさんが
全体の説明をしてる最中です」
「作戦の基本は、航空魔導師がオトリになって、地上組が地形を利用しつつフラッグに接近して
これを奪い取ることよ。おそらく向こうは、フラッグ防衛に最強コンビを用意してるはず。
その二人を引っ張り出すことが出来れば、あとはあたしの転送魔法で簡単にフラッグがゲットできて
大勝利。……なんだけど、逆に、一人でも落とされるようなことがあったら
一気にパワープレイで持って行かれてしまう。特に、陽動の航空魔導師組は
なのはさんの長距離砲撃にも気をつけてね。さて、各人のポジションはわかってる？」
「僕とキャロの二人が、フリードに乗って空から中央突破によってフラッグをねらう、ようにみせる
んですよね」
「見せるんじゃなくて、本気でねらいに行ってもらわないと困るわよ。本気だと思ってもらわないと
陽動にならないから。けど、あくまで任務は生き残ることであって、相手の撃破はそのついで
フラッグゲットは出来ればいいなぐらいに心得ていてね」
「了解です、ルーちゃん」
「エミーとヴィヴィオは、GWの基本通り、中央突破をはかる二人の援護に回ってね」
「わかりましたわ」
「了解だよ、ルーテシアちゃん」
「ほかの4人は、私と一緒に畑に向かって移動。4人はそれぞれ正しくポジショニングすれば
一撃で落とされる心配はないはず。たぶん、シャマルのクラールヴィンドはごまかせないだろうけど
こっちも探索魔法があるんだから、その点は互角だから、大船に乗った気持ちでいて。
あと、アインハルトさん、がんばってね。うちのエースとして期待してるから」
「あ、はい」
「こちらの状況は以上です」
「よーし、双方とも準備はいいな。では、非対称フラッグ戦、８vs８、用意、始め！」
「ついに試合が始まりました。まずは、大人組の方はフラッグの周りをがっちり固めて
シャマルのクラールヴィンドをのぞき込んでます。……おっと、ここでこども組に動きがあった。
フリードです。フリードが大きく飛び立っていきます。その両脇を固めるように
エミー陛下にヴィヴィオ陛下が飛行中です。さて、この初手をどう見ます。冬美さん」
「防衛戦をやる側とすれば、戦力を分散させないのは当然だろ。それより、こども組が
いきなり飛行可能な魔導師を全部投入しちゃっていいのかよ」
「とはいえ、ルーお嬢様には伝家の宝刀転送魔法がありますからね。
全戦力が出払ってしまうと、いきなり転送魔法で落とされて終わりですよ。
と、大人組も飛行魔導師3人にスバルが出撃です。やはり、ルーお嬢様の
転送魔法を警戒しているのか」
「エリオ。普段はGWだけど、FAとしてはどうかな？」
「スバルさん。普段と異なったポジションになったからといって、遅れをとる訳じゃありませんからね」
「ウィングロードで一気に間合いを詰めるスバルに対して、スピードが身上のエリオが
どうやって突破を防ぐのかが見物ですが……あっと、至近距離からいきなりの
ディバイン・バスター・A.C.Sが炸裂だ。しかしさすがはGWが本領のエリオ。軽くこれをかわすと
正面からストラーダで斬りかかる。しかしそれもスバルの予測の範囲内。
足を止めての勝負が始まったが、足を止めた勝負ではエリオの方が不利か？
エリオが押されてるのを見て、ゆっくりとフリードが後退していく。
一方のGW両陛下はむしろ距離を開き気味にした。さて、何を仕掛けるつもりなのか」
「スバルさんを包囲しようっていうんだな。けど、スバルさんならヴィヴィオの攻撃ぐらい
軽く受けるだろ」
「しかし、FAを守るのは、GWの役割。と、シグナムがヴィヴィオのクロスレンジへと
突入していった」
「ヴィヴィオ、行くぞ」
「あ、シグナムおばちゃんがヴィヴィオの方に来たんだ。だけど、ヴィヴィオだって
簡単にやられてあげるわけにはいかないんだよ」
「おっと、ヴィヴィオがアクセルシュートを放って、シグナムから距離を開こうとする。
やはり、本職のFA相手にGW登録のヴィヴィオでは距離を離すしかないのか。
……違う。この攻撃はシグナムをねらったと見せかけてスバルを包囲するように
放たれている。そこへめがけてエミーがクロスレンジに入ったぁ」
「スバルさんっ！」
「アイゼン、行くぜ」
「ヤヴォール」
「おっと、ここでエミーの突進をヴィータの鉄球が押さえる。
エミーの動きが一瞬止まると同時に間髪入れずザフィーラが間合いを詰める。
しかし、ザフィーラの動きはフリードのブラストフレアが止めた。
流れるような阻止射撃の応酬です」
「エリオさん、ポジションチェンジしましょう」
「うん、わかった。どっちへ？」
「私がスバルさんをとめますから、エリオさんはヴィータさんへ」
「了解」
「おっと、ここでポジションチェンジのようです。
ポジションチェンジでエミー陛下がスバルに対応、エリオが
こんどはヴィータに対応します。フリードに乗ったキャロはザフィーラの
動きを牽制するために前進、ザフィーラはフラッグ防衛のポジションを押さえます。
ザフィーラが後退したのを見たキャロは前進を停止、全体に魔法支援が可能な位置へと
下がります。一方のヴィヴィオ陛下とシグナムの戦いは中距離射撃を挑むヴィヴィオ陛下と
これを蛇剣で防ぐシグナムの一騎打ちに変わります。
どうやら、飛行魔法使い同士の戦いは、膠着状態に入った模様です。
ここで、映像を地上班に切り替えてみましょう。こども組の地上班の様子はどうでしょう。
現地リポーターの月光さん」
「はい、こちら月光です。こちらはティアナさんが作ったと思われる幻術によって
適当に足止めされてます」
「幻術って、敵に回すと本当にやっかいね」
「それはわかってたことだろルーテシアさん」
「……ルーテシアさんには、幻影だとわかっていても、私たちにはそれが見えない」
「見えないから、姿を現したところをとっさに攻撃してる。
だけど、これを続けられたら、幻術対応だけで30分過ぎてしまうよ」
「幻術を作るのにも魔力はかなり消耗するから、幻術つぶし自体に意味がない訳じゃないわ。
だけど、幻術を見破るのにも、魔力を消耗していく。一人にこれだけ翻弄されるなんて
思っていたよりティアナさんは手強いわね」
「どうやら、幻術を使った足止めによって、地上班はなかなか前進出来てないようです。
解説の冬美さん。これをどのようにごらんになりますか」
「幻術って一口にいってるけど、幻術の陰から誘導弾を撃つ攻撃を織り交ぜることで
防御側に、反応を強いてるんだよな。これに、長距離火力支援を織り交ぜられると
地上班は、敵の姿を見ることなく一方的に全滅、なんてこともあり得るぜ」
「その言葉通り、地上班にめがけてフラッグ防衛の予備、なのはとフェイトの両者から
アクセルシュートとフォトンランサーの雨が降り注ぐ。……着弾地点の様子はどうか……
おっと、さすがにルーテシアお嬢様、攻撃を予測して短距離転送によってポジションを変更した。
しかし、転送は魔力消耗が激しい。この戦い方を続ける限り、地上班の全滅は時間の問題か」
「予想より厳しいっていうだけで、まだ実力の半分も出して無いわ。……コロナ。
ブランゼルの実力を見せるときが来たわよ」
「うん。……ティアナお姉ちゃんの動きを、とめればいいんだよね」
「そういうこと、1on1でティアナさんをとめられれば、勝利の可能性はぐっと増えるわ」
「だけど、ティアナさんのところにたどり着くのにはどうすれば？」
「うふふふふ〜今まで何もせずに幻術破壊をしてたわけじゃないってば。
幻術へ流れる魔力と、短距離転送後の幻術再配置の動きから、ティアナさんの
いる場所は見当がついたわ。さあ、コロナ、ブランゼル、頼むわよ」
「はい、任せてください」
「All right,maister」
「どうやら、転送魔法でティアナのいるところへコロナを送り、これによって
ティアナを足止めする作戦のようです、さて、これはどう見ます」
「どう見るって、普通に考えたら、足止めに回すのならリオの方だろ。
なんでここでコロナなんだ？」
「何かブランゼルに秘密があるようですが……と、転送魔法発動。
しかし、出現地点でいきなりクロスファイアの洗礼だ、一気にLPを５００ポイント失った。
大丈夫かコロナ」
「もうこの場所を見つけるなんてたいしたものね。けど、１on１でなら、負けるつもりは無いわよ」
「確かに、普通に戦ったんじゃ、ティアナさんに勝てる気はしません。跳んだりはねたりは苦手ですから。
けど、エミーちゃんにほめられて以来鍛えてきた、とっておきの魔法があるんです。
それにブランゼルがいれば１on１での足止めぐらいは、出来る自信があるんです」
「それはどうかしら」
「ここで容赦なくティアナはダガーモードで突進、一気にかたをつけるつもりだが……
ああ、あれは、地面が隆起すると騎士の姿になった」
「これがわたしの切り札、ゴーレム創成！」
「おおっと、巨大ゴーレムの登場にティアナの突進も止まった。
ゴーレムは、コロナを守る位置へと移動。コロナも防御結界をブランゼルにはらせて
奇襲射撃に備える体勢に入った。……と、いいところですが、いったんCMです」
戦いはまだ続く。