めりかるうぃっしゅ う゛ぃう゛ぃっど
〜お菓子職人見習い ヴィヴィオ〜
私の名前は高町ヴィヴィオ、ヴィヴィオ＝スクライア＝高町＝テスタロッサ＝ハラオウン。
だけど、みんなが私のことを呼ぶときは、ヴィヴィオだよ。
「そんなことはみんな知ってるっての。
いちいち自己紹介するのに、やたら長いフルネームを名乗る必要もないだろ」
「えー、だってだって、久しぶりの出番なんだよ冬美ちゃん。
自己紹介しておかないと、忘れられてるかもしれないじゃない」
「久しぶりの出番ってどういう意味ヴィヴィオちゃん」
「えとえとえと、ま、そこらは気にしないで月光ちゃん」
「久しぶりにエミーに会いに行くっていう意味じゃ、久しぶりだよな」
「そうだね冬美ちゃん。エミーちゃん、新しいお友達ができたって
最近の手紙に書いてたよね」
「ああ、なんか新しい流派の格闘少女らしいよな、一手手合わせしたいな」
「腕が鳴るの？ 冬美ちゃん」
「ヴィヴィオだってわくわくするだろ」
「えー、ヴィヴィオ、別に格闘とか好きな訳じゃなくて、
冬美ちゃんの練習相手になれればいいな、って思ってるだけだよ。
それより、新しいお菓子の作り方を覚えたんだよ。
むこうについたら、さっそく披露しなきゃ」
「ヴィヴィオちゃん、日に日にパティシエさんっぽくなってるね」
「そっかな、ありがとうアカリちゃん」
「ったく、ゲッコウはいつでもヴィヴィオに甘いんだから」
「えー、毎日練習してるんだから、日に日にパティシエさんらしくなるのって
当然じゃないの〜」
「格闘も毎日つきあってるだろ」
「一日30分もつきあってないよ。うちに帰ったらずっとお菓子作りしてるんだから
パティシエさんのほうに近づくのは当然じゃない」
えとえとえと、今ヴィヴィオたちは、冬休みの旅行でミッドチルダに向かってる最中です。
第97管理外世界の海鳴市は、聖王降誕の地として、次元世界各地から巡礼者が
訪れてます。それで、ミッドチルダと海鳴市とを結ぶ定期航路があるんです。
管理外世界への航路ということで、直行便ではなくって、本局経由ですけど。
あ、なのはママは、翠屋のお仕事が今最盛期なので、後からミッドチルダで合流です。
フェイトママは、はやておばちゃんたちと巡礼の警備のお仕事です。
子供達だけの旅行ですけど、むこうでは、ちゃんとスバルお姉ちゃんたちが
出迎えてくれるはずなので、特に心配はしてないんです。
「向こうに着いたらスバルさんにあえるんだな」
「冬美ちゃん、うれしそうだね」
「スバルさんにあうのも久しぶりだからさ。
スバルさん、ますます立派になってるんだろうな」
「エミーちゃんからの手紙だと、防災士長の中でも
一目置かれる存在だって書いてあったよね」
「ま、スバルさんなら当然だよな」
「スバルおねえちゃん、甘いものは大好きかな」
「どうなんだろう。パスタは大好きだって聞いたことがあるけど」
「チョコレートは好きだったんじゃない」
「うう、ヴィヴィオ、チョコレートは自分で作れないんだよ」
「そりゃ普通チョコレートは作れないっての。
カカオ豆からチョコレート作ってるパティシエさんなんて
ほとんどいないだろ」
「それはわかるけど、いつかチョコレートもカカオから作れるパティシエさんになる〜」
「夢は大きいほどいいよね、ヴィヴィオちゃん」
「夢は現実的なところにとどめとけよヴィヴィオ。できることから
一歩ずつやっていかないと、とりとめがなくなってしまうぞ」
「うーん、大きな夢に向かって一歩ずつってことかな、月光ちゃん、冬美ちゃん」
あ、説明が遅れました。一緒に出かけてるのは、清祥小学校のお友達
川崎冬美ちゃんに、中島月光ちゃんです。月光とかいてアカリって読むんだよ。
珍しいでしょ。冬美ちゃんは、あだ名でゲッコウって呼んでるけど、アカリちゃんが
本当の読み方だからね。
「だから、それは誰に向かっていってるんだよヴィヴィオ」
「気にしたら負けだよ冬美ちゃん」
「冬美ちゃん、せっかくだからヴィヴィオちゃんの作った
水飴でも食べてみようよ」
「なんで水飴なんて作ろうと思ったんだ？」
「えとえとえと、砂糖を煮詰めればできると思って
桃子おばあちゃんに作りたいっていってみたんだよ。
結構手間がかかって大変だったんだから」
「けど、売ってる水飴とは味が違うみたい」
「砂糖じゃなくて、片栗粉と大根で作ってるんだよ」
「へー、大根と片栗粉で水飴ができるのか、それは知らなかった」
「ヴィヴィオも桃子おばあちゃんに聞くまで全然知らなかったんだよ。
大根の中ある酵素がデンプンを糖に変えるんだって」
「桃子おばちゃんも、かなり物知りなんだ」
「ヴィヴィオのお師匠さんなんだから当然だよ」
「ん、確かに甘い、上出来だなヴィヴィオ」
「わーい、ありがと〜」
こんな会話をしながら、ヴィヴィオたちはミッドチルダを目指します。
冬美ちゃんは、腕が鳴ってしかたないようです。
月光ちゃんは、コロナちゃんと会うのが楽しみみたいです。
ヴィヴィオは、もちろん、お菓子の披露が楽しみで仕方ありません。
もちろん、3人とも、エミーちゃんと久しぶりに会うのが待ち遠しいんです。
ミッドチルダでは、いったい何があるんでしょう。
それはついてのお楽しみ。