私の名前は高町ヴィヴィオ、ヴィヴィオだよ。
今、私達は時空管理局の本局に来ています。
海鳴市でヴィヴィオ達は、私達を誘拐しようという、フッケバイン以外の誰かに二連続で襲われました。
海鳴市では危険すぎるということで、事件が終結するまで本局にいることになったんです。
「またモルモット生活かよ。せっかく解放されたと思ったのに」
「冬美ちゃん、大丈夫だよ。手がかりはいろいろあるみたいだし
事件もすぐに解決するって」
「ヴィヴィオは楽観的だな」
「だって、解決しないとお菓子作りのお勉強も出来ないんだよ」
「だからって、事件の方がヴィヴィオの都合に合わせてくれるって保証ないだろ」
「そうだけど、はやてお姉ちゃんも事件の背景が見えてきたって」
「はやておばさんがそう言うなら、案外早く事件は解決するのかもしれないですね」
「背景が見えてきたぐらいだろ。犯人に結びつく証拠はまだ先なんじゃないかな」
「冬美ちゃんは悲観的だね」
「楽観とか悲観とかいう問題じゃないだろ。
今日明日に解決するとは思えないんだよな」
「ヴィヴィオも、それは無理だと思う」
はやてお姉ちゃん以下、管理局ではフッケバイン事件解決に向けて
尽力中です。
けど、この事件だけに管理局がかかり切りになれるわけではありません。
かかり切りなのは、はやてお姉ちゃんの部局だけです。
「それだけでも戦力は大したものなんだろうけど、必要なのは捜査力だよな」
「それもティアナお姉ちゃんとかフェイトママが頑張ってるよ」
「それで、どこまで分かったんだっけか」
「捜査上の機密があるからあんまり教えてくれないけど、それでも
フッケバインが襲ってる研究所の傾向は分かってるから
あとは、そこで網を張るのと、違法研究をやってる企業の内偵を進めるだけだって」
「違法研究ねえ……殺人ウィルスを作ってどうするつもりなんだか」
「どうするんだろうね」
「ヴィヴィオちゃん、冬美ちゃん、今日はこれからどうするの。
勉強は一通り終わったよね」
「じゃ、ヴィヴィオ、特訓するぞ」
「えー、特訓って、格闘のでしょ」
「当然」
「いいよそれは、インターミドルはまだ先だよ」
「まだ先だから、いまから練習するんじゃないか」
『我が主、電話です』
「電話って、誰から？」
『ユーノさんですね』
「ユーノパパからなんだ、つないでライチェントゥークス」
『分かりました、我が主』
「ごめん、ヴィヴィオ、今大丈夫？」
「大丈夫だよユーノパパ。それで、電話で何の用事？」
「これから僕はすこし会議があって無限書庫を離れないといけないんだ。
他の司書の人もいるんだけど、調べ物をして欲しいことがあるんで
ヴィヴィオに頼めないかなと思って」
「ちょっと待ってユーノパパ。……みんな、ユーノパパが無限書庫で調べ物をして欲しいっていうんだけど
無限書庫に行くのでいい？……あ、ユーノパパ、みんなそれはかまわないって。
みんなで行っていいかな」
「いいよヴィヴィオ、調べ物については、リリィに伝えておくから、リリィから聞いてね」
「はーい、ユーノパパ」
そういうわけで、ヴィヴィオ達は無限書庫に向かいます。
無限書庫で調べ物をするのは、司書のお仕事です。
そして、ヴィヴィオは司書の資格も持ってます。
検索魔法もユーノパパ直伝で使えます。
たぶん、調べ物と行っても、情報を抜き出すだけなら
そこまで時間はかからないと思います。
「こんにちは、冬美さん、ヴィヴィオさん、月光さん」
「こんにちは、リリィさん」
「それで、調べ物ってなに？」
「ユーノ司書長からお聞きでないですか？」
「えと、ヴィヴィオはリリィさんから聞くようにいわれてきたんだよ」
「そうですか。ユーノ司書長は、ヴィヴィオさんに、もう一度
エクリプスウィルスについて詳しく調べてもらいたいそうです。
特に、リアクトとリアクトプラグについて知りたいとおっしゃってました」
「了解、リアクトとリアクトプラグについてだね。
だけど、そのくらいならユーノパパが調べられないかな」
「ユーノ司書長は他の調べ物が忙しいそうです」
「あはは、そうなんだ。ユーノパパの力を借りたい人はいくらでもいるもんね。
分かったよ。じゃあ、早速調査に入ろうか」
「はい、ヴィヴィオさん」
そういうわけでヴィヴィオ達は受付から無限書庫へ入ろうとします。
無限書庫の一般閲覧室を抜けて、無限書庫本体へと移動するんです。
その、一般閲覧室で、ヴィヴィオ達は誰かに呼び止められます。
「よう、第97管理外世界では世話になったな」
「ヴィヴィオさん、何かお世話をしたんですか」
「……クイン」
「覚えててくれたか、川崎冬美」
「まあ、一応はな」
「あの、こちらはどちらさまでしょう」
「ん、まあ、地球であたしらを誘拐しようとした相手さ」
「！」
「安心しろ、と言いたいところだが、安心させてやらねえよ。
川崎冬美、高町ヴィヴィオ、あたしらと一緒に来てもらうぜ」
「前にも言ったろ、お断りだ」
「じゃあ、力ずくだな」
「出来るのか？」
「出来る。こんどはリアクトしてきたからな」
「リアクト？」
「冬美ちゃん、気をつけて、リアクトした感染者はすごいパワーアップをするはずだよ」
「気をつけてもしょうがねえよ、向こうからつっかかって来るんじゃな」
「そういうこと。じゃ、行くぜ」
「ライチェントゥークス、魔法使用許可を」
「銀十字、戦闘態勢」
こちらは変身して、クインの迎撃です。
「甘いっ！」
「はやっ！」
「刀をどうやって持ち込んだんでしょう？」
「突っ込み所そこなの、リリィさん……」
どうやって刀を持ち込んだ以前に、クインは指名手配されてるはずです。
指名手配犯が、変装もせずに、どうやって本局に潜り込んだのかがまず謎です。
「教えてやる義理ねえよ。いいから黙ってついてこい。
こっちも部外者に犠牲を出したいわけじゃない」
「なら場所を選べ」
「無限書庫の中ってわけにいかないからな」
はっきり言って、ヴィヴィオ達は不利です。
守るべき対象が多すぎます。
それに、相手は一人とは限りません。
「第一、クライアントが誰だかしらないが、なんであたしとヴィヴィオを付け狙うんだよ」
「しらねえよ。クライアントに会ったら聞けばいいだろ」
「冗談じゃねえ、そんな得体の知れない勧誘についていけるか」
「なら、力ずくだな」
「そっちこそ力ずくで押さえ込んでやる。こんどは逃げられねえぞ」
「それはどうかな」
冬美ちゃんは大きな事を言いますが、はっきりって受け太刀です。
前会ったときとは、動きもパワーも段違いに強化されてます。
「安心しろ、峰打ちだ。痛いのは痛いだろうが、死にはしねえよ」
「ちぃ……」
こんな場所では射撃も出来ません。
ヴィヴィオが割って入ろうにも、他の人を避難誘導するので手一杯です。
リリィさんも、誘導に入ってます。
でも、ここは月光ちゃんと一緒に脱出してほしいところです。
「月光ちゃん、リリィさん、まずは外へ」
「外に誰も居ない保証はないよ。
それより、ヴィヴィオちゃんたちと一緒に居る方が安全かも」
「月光ちゃん、そうかもしれないけど、ヴィヴィオも二人を守れる自信、ないよ」
「それでも、私が敵なら絶対出た所に仕掛けるから」
「……分かった、そこまで言うなら、ヴィヴィオも二人を守れるように頑張るよ」
「馬鹿じゃないか。まあいい、ここまでがクライアントの想定通りだ」
「どういう意味なの？」
「教える義務はねえよ。それよりそろそろ降参……」
「まだこっちは出来ることがあるんだよ」
これが冬美ちゃんの強がりであることは見れば分かります。
一方的に刀でなぶられてます。
このままでは冬美ちゃんは打撲で動けなくなるでしょう。
「リアクト……リアクトプラグ……」
「どうしたんです、リリィさん」
「いえ、何か思い出せそうな、そんな気がするんです」
「何を思い出す……あっ！」
「どうしたの、月光ちゃん」
「もしかしたら、もしかするかも。フィフスはリアクトできたよね、ヴィヴィオちゃん」
「そうだったけど、それと……」
「冬美さん、私を受け入れて下さい。リアクトします」
「リリィさん、どういうことですか？」
「いいから、急いで」
「どうすればいいんだよ」
「それは私が分かってますから」
「させるかっ！」
「邪魔させないっ！」
ヴィヴィオがリリィさんとクインの間に割って入ります。
クインの攻撃はやっぱり峰打ちですが、痛いことに変わりはありません。
「リアクトって……え？」
「融合？」
リリィさんが冬美ちゃんの中に溶けて消えます。
『リアクト成功です。さあ、クインさんを捕まえましょう』
冬美ちゃんもリアクトしたようです。
それで本当にパワーアップ出来たのかどうかは、次のお話です。