めりかるうぃっしゅ えくす
〜クラナガンは火の海です〜
さて、舞台は再びクラナガンに戻る。
マリアルージュが再び活動を始めたからだ。
「こちらC分隊、現在地を維持するので精一杯です」
「市民のみなさん、こちらは時空管理局です、大丈夫ですから、局員の
誘導に従って移動してください。繰り返します、局員の…」
「馬鹿な、装甲車が一撃だと！」
「作戦を変更する、事件をあえて起こすことで、イクスヴェリアを呼び出す。
このあたりに潜んでいるのはわかっている」
「イクスヴェリア、なんのことだ」
『こちら司令部だ、マリアルージュとは正面から対決するな。
今、ナカジマ妹を応援に回すことにした、抵抗はしても行く手は遮るな』
「了解…って、やられないだけでも手一杯ですよ」
マリアルージュ、推定A級からAA級魔導師。
普通の陸士隊の実力では、対抗しきれないのだ。
さて、こちらは、ナカジマ妹である。
「あー、ティアがいなくてちょっと残念」
「ですけどスバルさん。パトロールも無難にこなせていいじゃないですか」
「そうですよ。エリオくんの言うとおり、事件なんて起きないのがが一番 です」
「キャロの言うのもわかるわ。けど、マリアルージュ事件はまだ終わってない。
…と、あ、通信だ。」
「だれから？」
「んーと、あ、ティアからだ。何々…」
「なんて書いてあるんです？」
「本局での仕事が終わったから、クラナガンに帰る。
ヴィヴィオちゃんたちも一緒だからよろしく。
あと、冬美ちゃんの相手をしてやってくれ、だって」
「冬美ちゃんって、確か第９７管理外世界の女の子ですよね」
「スバルさんを尊敬してるって聞きましたよ」
「尊敬って…まあ、あの子も格闘家だから」
「…そうですね」
「と、あ、緊急通信だ。何事だろう…マリアルージュが街を破壊を始めた。
直ちに事態を収拾するために活動せよ」
「マリアルージュが現れたんですか」
「僕たちも手伝います」
「それより、２人は避難してたほうがいいんじゃない？」
「いえ、自分に出来ることがあるときに、やらないなんて出来ないですよ」
「私たちは、同じ管理局員じゃないですか」
「わかった。じゃ、エリオ・キャロ、協力頼むわよ」
「了解です」
さて、こちらは首都航空隊。
といっても、マリアルージュが活動しているのは沿岸地帯、ということで
航空隊は今のところ待機中だ。
ただ、マリアルージュ事件ということで、 ルネッサを現場に送るため
輸送ヘリが一機出動である。
「相変わらずおもしろみのない操縦だな」
「ヴァイス先輩の飛び方が無茶に過ぎるんです」
「…マリアルージュについて、重要な知見が得られたようです。
マリアルージュの活動開始は、焦りの現れとも思えます」
「焦りの現れ？焦るっていうことがあいつらにあるのかよ」
「わかりません。ですけれど、マリアルージュも元は人間です」
「…そりゃそうだけどよ。死体に取り憑くゾンビウィルスなんて、一体
どんな奴が作りやがったんだろうな」
「…それは、わかりません。私は鑑識するだけです」
「ん？そういえば、ルネッサ、おまえの銃って、実体弾じゃないか？それもリボルバー」
「ええ、ですが許可はもらってます。名前はシルバーダガー」
「ゾンビ退治には心強いお名前で」
「そうでしょう」
「ヴァイス先輩、ギャグが滑りましたね」
「ギャグのつもりでもないよ」
ヘリは、無難な飛び方で現場を目指す。
ここは…どこだろう？
ずっと、眠り続けていた気がする。
…マリアルージュの気配を感じる。
「いけない、あの子達…こんなこと、もう続けては…」
さて、こちらは空港からスバル達へ向かっているティアナ達である。
「スバルさん、元気かな」
「スバルさんの事なら、ティアナさんがよくご存じですよね」
「ま、ね。毎日メール入れ合ってるし電話しあってるからね」
「ふふ、ティアナさん。本当の親友を持つことは、良いことですわ」
「エミーちゃん、ヴィヴィオとエミーちゃんも、友達だよね」
「もちろんですわ。高町さん」
「あ、交通規制だ」
「へえ、こっちの交通標識ってこういうふうになってるんだ」
「空中に表示板が現れるんですね」
「！クロスミラージュに緊急通信。
マリアルージュが現れてクラナガンで破壊活動中。
行動地域は…沿岸警備隊の守備範囲！。
すぐに行かなきゃ。」
「すぐにって、どうやって行くんですか？」
「首都航空隊に連絡を入れて、ヘリを回してもらうわ。
みんなはそのまま安全な所へ向かって」
「こういう状況で一番安全な場所なんてあるのかしら」
「どういうこと？」
「マリアルージュが１人とは限らないということですわ」
「！…そのときには、エミー、ヴィヴィオ、頼むわよ」
「どこまで出来るかわかりませんが、全力を尽くしますわ」
「わかったよ、ティアナお姉ちゃん」
「おい、アルト、方向が変わったが何かあったのか？」
再び舞台はアルトの操縦するヘリである。
「ランスター執務官を渋滞から拾い上げるように、だそうです」
「ランスター執務官が一緒になるのですか」
「どうした。なんかうかない言い方だな」
「い、いえ、いてくださる方が心強いです」
「まあ、あいつらは、特別だからな」
「あの、機動六課のフォワードメンバーですものね」
ティアナを回収したヘリは、現場に向かって再びまっすぐと飛んでいく。
残されたのは、エミー、ヴィヴィオ、そして月光に冬美の４人だ。
「とりあえず、タクシーは安全なホテルまで誘導してくれるって」
「安全？…何か、私にはこちらが安全だとは思えませんわ」
「どうして？事件が起きてる海はあっちだよ」
「ですが、その元凶が海にいるという証拠はありませんわ。
ゲリラ戦については、私も多少は学びました。
目立つ攻撃は目くらましで、本命の攻撃は全く逆で行動することもありえます」
「けど、そんなの心配しててもはじまらないよ、エミーちゃん」
「それより、スバルお姉ちゃん達は…」
「スバルさんなら絶対に大丈夫だぜ」
「…高町さん、気配を感じました？」
「エミーちゃんも感じたっていうことは、本物なんだね」
「なんの話かな、お嬢ちゃん達」
「ここで止めてください、運転手さん、この先は危ないですよ」
「こんなところで降りても、タクシーなんて拾えませんよ。
ここは、管理局の誘導通り…」
どっかーん。
道路にある車が数台吹き飛ばされる。
「！」
「！」
「？」
一体なにが起きたか、ヴィヴィオとエミーにはわかっていたが
他の３人にとっては、寝耳に水の事件であったようだ。
「マリアルージュの襲撃！」
「推定AA級…」
「運転手さん、すぐに車を降りて」
「ヴィヴィオ、どうするんだよ」
「救援が来るまで、ヴィヴィオ達でなんとかするっ！エミーちゃん、お願い」
「もちろん、出来る範囲で支援いたしますわ」
「ライチェントゥークス、魔法使用許可を」
『了解です、我が主』
ヴィヴィオが変身すると、空中に舞い上がります。
『我が主、飛行魔法の使用許可はまだ出ておりませんが…』
「現場にあっては臨機応変だよ！」
空からの一撃離脱戦法を試みます。
急降下、そして聖王の鎧を使って体当たり。
カウンター？でもこの程度なら聖王の鎧で防ぎ…だめ、一旦離脱。
「ちょっと、強敵だね」
『推定AAA、今の主と互角ではないかと思われます』
「けど、それだけ強いなら、こいつがボスかもしれないよ。
ライチェントゥークス、連絡をお願い」
『わかりました、我が主』
「川崎流一分の見切りっ！」
体当たりで、ではなく、攻撃をとっさにかわして殴りつけます。
こっちの攻撃はクリーンヒット、効果は抜群です。
「よし、いける…これでとどめ」
「ちょっと、ヴィヴィオちゃん、とどめさしたら」
ちゅっどーん。
「ライチェントゥークスっ！消火魔法！」
『了解です、我が主』
マリアルージュに致命的一撃を加えたと思った瞬間。
マリアルージュは自爆しました。戦闘中に比較的
避難が終わってたし、聖王の鎧で壁を作りましたから
それほど被害はでてないはずです。
『ですが、軽率です我が主』
「ごめん、ここまで予測しておくべきだったね」
「あれ？エミーちゃんは？」
「エミー？ゲッコウが見てたんじゃないのか？」
「どうしたの」
「エミーがいなくなっちゃったんだよ」
エミーがなぜ、そして、どこへ消えたのか
それはまた別のお話といたしましょう。