めりかるうぃっしゅ
〜入隊試験は海の上でなの〜
私の名前は高町ヴィヴィオ。ヴィヴィオだよ。
はやておねえちゃんの昔の仕事仲間、機動六課が、変態顔芸博士
ジェイル・スカリエッティ対策のために再び結成されました。
はやておねえちゃんを筆頭に、フェイトママ、シグナムお姉ちゃん、シャマルおばちゃん
ヴィータお姉ちゃん、ザフィーラおにいちゃん、スバルお姉ちゃん、ティアナお姉ちゃん
エリオおにいちゃんにキャロお姉ちゃんに、リインフォースツヴァイお姉ちゃんと
戦闘要員がずらりと揃ってます。
軌道上には、グリフィスおじちゃん達が、支援のために待機してるそうです。
けど、肝心の、なのはママがいません。なのはママはいま行方不明です。
はやてお姉ちゃんは、スカリエッティの罠にはまったんじゃないかと判断してます。
そして、ヴィヴィオは、再建された機動六課の一員になって、なのはママを捜しに行くために
はやてお姉ちゃんの試験を受けることになりました。
冬美ちゃんと、月光ちゃんは、ヴィヴィオの付き添いです。
「それで、はやてお姉ちゃん、試験はどこで何をやるの？」
「場所は、海鳴公園に面した海や」
「おかしな婦警さんがいた場所だよね」
「１３年前になるのかな。なのはと、ジュエルシードを賭けて一騎討ちした海だね」
「うん、なのはママからも聞いたことあるよ。フェイトママとお友達になるために
フェイトママとデュエルしたんだよね」
「うん」
「けど、今回の試験は、デュエルやないからな」
説明が遅れました、私たちはいま、歩いて、海鳴公園の方へ向かってる最中です。
翠屋から海鳴公園は、そんなに遠くありません。遠かったら、ヴィヴィオが歩いて
海鳴公園のそのまた向こうにある、清祥小学校に通えるわけがないんですけど。
「さて、着いたな」
「ついた〜」
「踊るなっての。小学生かおまえは」
「小学三年生〜」
「あー、わかったわかった。
それで、一体どんな試験かわかってるのかヴィヴィオ」
「それは今からはやてお姉ちゃんが教えてくれるんだよ」
「そうやったな。さてと、…シグナム、アギト、ヴィータ、リィン、出番やで」
「わかりました、主はやて、それで、何をすればよいのでしょう」
「出番って、まさか…」
「どうしたんですかぁヴィータちゃん。まさか…」
「主はやて、私とヴィータと、どちらがヴィヴィオとコンビになるのですか？」
「シグナム、何誤解してるねん。１対４の模擬戦や。
ヴィヴィオがシグナム、ヴィータ、リィン、アギト４人の誰かのバリアを突破して
ＢＪに一撃入れたら、ヴィヴィオの勝ち、ヴィヴィオを機動六課メンバーに加える。
逆に、ヴィヴィオが、シグナム達の攻撃を受けて、聖王の鎧を発動せな
あかんようになったら、ヴィヴィオの負け、おとなしく、私らがなのはちゃん
探してる間、翠屋で待ってるや」
「おいぉぃはやて、正気かよ…。けど、まさかユニゾン禁止なんて言わないよな」
「当然、ユニゾンもありや、お互い手加減なしでがんばってや」
「…わかりました、主はやて」
「ねえ、スバルおねえちゃん、シグナムさんやヴィータさんって、どれくらい強いんですか？」
「あたしじゃ全然歯が立たないぐらい…かな。ユニゾンありで戦うんだったら
１０回のうち、１回か２回勝てればいい方だと思う」
「それは、２対１で、ですよね、スバルさん」
「一対一でだよ」
「ちょ、ヴィヴィオ、命がいくつあっても足りないだろ、今の内にやめとけって」
「さすがに、ヴィヴィオちゃんじゃ、無理なんじゃないかな…
がんばってって、気楽には言えないよ、ヴィヴィオちゃん」
「はやてさんも意地が悪いって言うか…絶対に出来ないことを要求してあきらめさせようっていうわけね」
「ティア、そういうんでもないと思うけど…」
「けど、…ヴィヴィオ、本当に、やるのか？」
「ヴィヴィオちゃん、なのはさんのことだったら、無理にヴィヴィオちゃんががんばらなくても…」
「………」
みんなの言っていることは、わかります。
聖王ヴィヴィオが、ブラスターモード３のなのはママと戦っていたときには
ゆりかごから魔力供給を受けて、その上に、ＡＭＦの支援もありました。
ここの洋上決戦では、どちらの援護もありません。
だけど、ヴィヴィオは、なのはママを助けに行くって決めました。
それに、…きっと、なのはママをさらったのは顔芸博士ですし
顔芸博士の秘密兵器なのは…エミーちゃんです。
エミーちゃんのことも、ヴィヴィオは心配なんです。
そのためには、こんなところで、へこたれてなんていられません。
「はやてお姉ちゃん、…あの、一つ頼みがあるんだけど、いい？」
「なんや？」
「シグナムお姉ちゃんや、ヴィータお姉ちゃんが、ユニゾンデバイスと
レヴァンティンやグラーフアイゼン使うんだったら、ヴィヴィオも２つデバイス使っていい？」
「二つのデバイスって、何使うつもりなんや？」
「…一緒になのはママを助けに行こう、レイジングハート、ヴィヴィオと、一緒に」
『Yes,my lord』
「ヴィヴィオ、レイジングハートが使えるの？」
「使えるかどうかはわからない、けど、レイジングハートも、ヴィヴィオに力を貸してくれるって」
「………」
「いこう、ライチェントゥークス」
『かしこまりました、我が主』
「…覚悟は、出来てるみたいだな」
「そうですね、ヴィータちゃん」
「アギト、そろそろ起きろ、始めるぞ」
「………んぁ、なんだ、もう第９７管理外世界についたのか？」
「ずっと寝てたのか」
「だって退屈だったんだぜ。何もすることないじゃねーか。
さてと、このアギト様がいれば大丈夫だぜ。それで、敵はどっちだ？」
「…聞いての通りだ、ひとまず、アギトに事情を一から説明せねばなるまいな」
「それは、頼むわシグナム。それまでに、準備整えとくよ」
「はい、というわけで始まりましたヴィヴィオちゃんの入隊試験。
青コーナーは挑戦者ヴィヴィオ＝スクライア＝高町＝テスタロッサ＝ハラオウン。
使用するデバイスは、ライチェントゥークスとレイジングハート。
対する赤コーナーは、教導官ヴィータとリインフォースツヴァイ曹長。
そして、シグナム一等空尉にアギト一等陸士。
審判長は八神はやて部隊長、副審にフェイト＝テスタロッサ＝ハラオウン執務官と
ザフィーラ、封印結界作成は八神部隊長兼務、解説は、管理局レスキュー隊
スバル＝ナカジマ一等陸曹と清祥小学校三年生川崎冬美。
実況は私、エイミー＝ハラオウンでお送りします」
「…あの、なんでエイミーさんがここにいるんですか？」
「そりゃ、入隊試験の記録をとっておくためにきまってるじゃないですか。
軌道上のアースラじゃ、ユーノくんとアルフが見守ってますよ」
「それ、ヴィヴィオがしってんのか？」
「はやてちゃんの希望で教えてないわよ。
それは、入隊試験の後で教えるって」
「さて、両者、デバイスの準備に入ったようです。
シグナムはアギトとユニゾン、その姿はまるでバーニングアリサ」
「あの、なんでそんなにノリノリなんですか、エイミーさん…」
「さらに、ヴィータもリィンとユニゾン、２Ｐ色へと変貌します。
ユニゾンシグナムとユニゾンヴィータはどちらもオーバーＳ級魔導師。
はっきり言って、この試験内容で合格すればＳＳ級空戦魔導師認定でしょう」
「ＳＳ空戦魔導師って、どのくらい強いんですか？」
「なのはさんとフェイトさんでも、Ｓ＋止まりだから、それより強いって事になるわね」
「…人間ですか、それ…」
「はやてちゃんは総合だけどＳＳ級、一応は人間の枠内に収まってるはず
ＳＳＳ級も理論的にはあるんだけど、私の知る限り、夜天の書管理プログラム
リインフォースだけね、そんな化け物じみた能力があってもおかしくなかったのって」
「リインフォースって？」
「興味があったら、後ではやてちゃんに聞いてみるといいわよ。
…１０年以上前のことだけど、いろんなことがあったから…
さて、対するヴィヴィオちゃんですが…」
下では、海沿いに並んで、心配そうに見あげる
月光ちゃんの姿が見えます。マイクに向かってノリノリでしゃべってる
エイミィおばちゃんの姿も見えます。でも、一番不安そうに見ているのは
冬美ちゃんです。冬美ちゃんが心配する気持ちはわかります。
だけど、ヴィヴィオだって、やるときにはやるんです。
たとえ、不可能に近いことだって、不可能だと決まったわけでは、ありません。
「ライチェントゥークス、魔力供給システム動作、魔力回収プログラムドライブ」
『了解です、我が主』
「レイジングハート、エクシードモード、ドライブ」
『Yes,my lord』
「ライチェントゥークス、レイジングハート…
聖王の名において、ヴィヴィオが命ずる、自己制御系制限プログラム、停止」
『…かしこまりました、我が主、自己制御系制限プログラムを停止、自立行動可能状態に入ります』
『Yes,my lord,me too』
「はやて、今のヴィヴィオの言葉って一体？」
「聞いての通り、聖王の能力の一つや。ユーノがイプシロン仮説で
可能性があることとして上げてたことや」
「イプシロン仮説？それは一体どういうこと？」
「…この試験が終わったら、ユーノ本人が説明してくれると思うわ。
それとも…いや、無駄話は後回しや。
…５人とも、みんな用意はええか？せやたら、ヴィヴィオの入隊試験
Ready…GO!」
「おおっと、シグナムはいきなりシュランゲフォルムを発生、どうやら
ヴィヴィオちゃんの逃げ道を完全にふさぐ事を狙ってるようです。
さらにヴィータちゃんはグラーフアイゼンのギガントフォーム。
直撃すれば確実にヴィヴィオちゃんを墜とせるでしょう。
ヴィヴィオちゃんの方は、まだ動く気配すら見せません」
「ていうか、ヴィヴィオって戦闘が始まってるの理解してんのかよ？
全然動いてないじゃねーか。変身すらしてないぜ」
「ヴィヴィオちゃんも変身はしてるよ。あのバトルジャケットは見たことがある。
確か、なのはさんが、小学生の頃に使ってたのと同じだ」
「なのはおばちゃんが小学生の頃って…なのはおばちゃんって
今のヴィヴィオぐらいの頃には、もうスバルさんみたいな仕事をしてたんですか」
「うん、そういうことになるね」
「……ていうか、ヴィヴィオ逃げろよ！」
「…なあ、シグナム、あたし、すっごく気がすすまねーんだけどよ。
どうするのがいいと思う」
「アギト、あえてユニゾンして、４人がかりにしている主の考えを理解しろ。
聖王の鎧が発動すれば、それであきらめろということの意味を」
「…わかんねーよ」
「全力を用いて、一撃で落としてやれ。それがヴィヴィオのためだ」
「…わーった。長々やってつかれさせるのも、悪いよな。
よし、ちゃんと合わせろよシグナム」
「当然だ…ヴィータ、策は今伝えたとおり」
「いいぜ、ちゃんと連携するぜ」
「はいですぅ…ヴィータちゃん、いきますよ」
「レヴァンティン！」
「アイゼン！ギガントフォーム」
シグナムがシュランゲフォルムでヴィヴィオの逃げ道をふさぐ。
逃げろ、というより、逃げ道そのものが完全にふさがれている。
ユニゾンシグナムのシュランゲフォルム＝蛇の剣の射程は、下手な射撃魔法より長い。
その、逃げ道のない状況の、真上に、ヴィータのギガントフォームが振り下ろされる。
まるで釘打ちだ。完全に逃げ場のないところへハンマーを振り下ろすのだから…。
「手応えなし？！」
「高速移動で逃げたわけではない、ということは…最初から幻術か」
「なんだって、…ヴィヴィオの奴、いつ幻術を覚えたんだよ」
危ないところでした。ライチェントゥークスがあらかじめ
幻術発生用プログラムをクロスミラージュから受け取っていなければ
一撃で落とされていたところです。
今は、姿を消して様子を見ていますが、長くは持ちません。
ここから、なんとか、ヴィータおねえちゃんか、シグナムお姉ちゃんの
隙を作って、反撃する必要があります。
そのためには…まず、数的劣勢を、数的優位にかえる技が、必要です。
自己制御システムの力、見せるときです。
「おおっと、ここで、空中に４筋の光が走ると
その先からヴィヴィオちゃんが４人現れました。
まるで分身魔法です。さらにここからアクセルシュート…４人の
ヴィヴィオちゃんがそのままアクセルシュートを発射です。
一体どんな魔法を使ったんでしょう？」
「あの、魔法少女なんだから、魔法少女使うのは当たり前じゃ」
「ティアの幻術だったら、魔法弾を撃つところまでは再現できるけど
当たっても威力がないから、無視していいんだ」
「どれか一つが本命っていうことですか、スバルさん？」
「バリアで防いだ？…全部本物？一体なにをやったんだろう」
「おおっと、ここでシグナムもヴィータも反撃開始
一方４人のヴィヴィオが逃げます、フラッシュムーブで逃げて…消えた。
攻撃を受ける前に消えました。…４人とも消えたと思ったら…ああっ！
海面すれすれの場所にヴィヴィオです。カートリッジロード…」
「いくよ、レイジングハート、ディバインバスター」
『Yes,my lord』
「シュート！」
ヴィータおねえちゃんを狙ってディバインバスターを発射します。
距離がある程度離れているので、遠距離戦モード、高速弾ですが
アクセルシュートの防御で、シグナムお姉ちゃんとヴィータお姉ちゃんが
ガードに入っている時間で、チャージを完了しました。
これが当たれば、ヴィータお姉ちゃんに一撃入れて入隊試験合格です。
「水面すれすれからのディバインバスターですが、さすがはヴィータ教導官
直撃コースを外してからバリアで防御、無傷でやりすごします。
その隙に、ボーゲンフォルムでシグナムが反撃、これをフラッシュムーブで
ヴィヴィオちゃんがかわすと、再び幻術で姿を消します」
「スバルさん、幻術で姿を消すって、一体どういうことをやってるんですか？」
「これはティアが得意なんだけど、背後の景色と同じ幻影を自分の前に作り出すんだ。
普通の幻影より作りにくいけど、デバイスの援護があれば、結構見分けがつかないように出来るよ」
「カメレオンの保護色みたいなものなんですね」
「カメレオンって知らないけど、まあ、背景と同じ色になる生き物と同じっていえば、その通り」
「さて、お互い初手の攻撃をかわされあったようですが、ここからどういう戦法を採用するのでしょうか」
「こう幻術で姿消されると、すぐに落とすってわけにいかねーな」
「そうだな。時間を掛ければ、いずれ魔力を使い果たして姿を現すだろうが
それまで待つというのでは、おそらく、スカリエッティ一味が相手では、対抗できないだろう」
「…そういう事も含めて対処しなきゃならねーってことかよ。
確かに、ヴィヴィオの幻術に手こずってるんじゃ、クアットロの幻術には対抗出来ないもんな。
けど、一体なに始めるつもりなんだ」
「魔力をバーストさせる、それで、ヴィヴィオをとらえる」
「了解、頼むぜシグナム」
「ああ、任せろ…アギト、pingを打つ、合わせろ」
「いわれなくてもきっちり合わせてやるよ」
「おおっと、ここでヴォルケンコンビ、幻術対策の基本技で対処するつもりのようです」
「スバルさん。幻術対策の基本技ってなんですか？」
「魔力の衝撃波を作って、衝撃波の跳ね返りをとらえるんだ。
五感をごまかす、普通の幻術が相手だったら、これを使うとほぼ見破れる。
見た目は同じでも、幻影と魔力を持つ実体とでは、反射能が全然違うからね。
もっと強力な魔力衝撃波を使えば、幻影を破壊しつつ、相手をとらえる事も出来るよ」
「シグナムおばちゃんには、出来るんですか？」
「たぶん、それが出来るぐらいの魔力を打ち込むんじゃないかな」
魔力バーストによるPINGです。幻影を見破られたのがわかります。
その瞬間、ヴィータお姉ちゃんのラケーテンハンマーが襲いかかります。
逃げてる暇がない…
『Round Shield』
レイジングハートがラウンドシールドでラケーテンハンマーを防ぎます。
ヴィヴィオは、今、次にどうするべきか迷ってます。
幻影をああ簡単に見破られると、普通に幻術を使っても隠れ切れそうにありません。
でも、…と、ここで追い打ちを掛けるように、シュランゲフォルムが襲いかかってきます。
素早くフラッシュムーブで回避します。
これでもう一度幻術発動で姿を消して…まだまだヴィヴィオはがんばる必要がありそうです。
「ヴィータちゃんのラケーテンハンマーをシールドで防いだヴィヴィオちゃん。
素早く追い打ちをかけてきた、シュランゲフォルムの攻撃をフラッシュムーブで
回避すると、すぐにまた幻影を発生させて姿を消します。
しかし、魔力バーストで見破られるとわかった今、どうやって
シグナム達の攻撃から逃れるつもりなのでしょうか、目が離せません」
「ていうか、ヴィヴィオの奴にあの二人のバリアを撃ち抜くなんて芸当できるのかよ。
ヴィヴィオのバリアだって、あんな凶悪そうなハンマーの攻撃を防いだんだぜ」
「…むしろ、そっちにびっくりしてるんだ。ヴィータさん、全然手加減なしで
ラケーテンハンマーを打ち込んだから、普通のシールドだったら、一撃で吹き飛んでたはずなのに。
いくら、なのはさんのレイジングハートだからって、B級魔導師のヴィヴィオちゃんが
使っているんだから、あんな攻撃を防ぎきるなんて出来ないはず」
防ぎきれるなんて出来ないなんて言われても、実際に防ぎきったんだから
防げると言ってくれなければ困ります。
でも、ヴィヴィオとしては、隠れてばかりではじり貧です。
試験内容は、逃げ切れ、ではありません。あくまで、ヴィータお姉ちゃんか
シグナムお姉ちゃんに、一撃加えなければならないんです。
待っていたら、PING打たれて直後に連係攻撃です。あんなの何度も
防げる気がしません。
「ライチェントゥークス。ヴィータお姉ちゃんやシグナムお姉ちゃんの
バリアを撃ち抜くのに、どれくらいの魔力が必要かな」
『少なくともカートリッジ２個分の魔力打撃が必要かと、我が主』
「やっぱり、ライチェントゥークスもそう思う？
それじゃ、今RHに装填してあるカートリッジって…ええーっ！予備マガジン持ってくるの忘れたぁ」
『ドジっ娘ですか我が主、いまさら中止して予備マガジンを持ってくるなんて出来ないんですよ
あるものでなんとか工夫しなければなりません。
我々も、自己制御制限を外していただいたおかげで、自立行動は出来るようになりましたが
私たちを指揮するのは、あくまで、主です』
「わかってるよライチェントゥークス。レイジングハートと一緒に
かならず、目の前の戦いに勝たないとね」
『はい、そうですね、我が主』
『Alert,my lord』
「フラッシュムーブで回避！」
『誘導弾です、我が主。』
「なら高速飛行で引きつける！」
『ボーゲンフォルムの追い打ち！』
「ええっとー」
「再び魔力バーストでヴィヴィオちゃんの位置を見つけたシグナム、こんどは
自ら高速で近づいて斬ろうと突進します。さらに回避したヴィヴィオちゃんに
ヴィータちゃんの誘導弾が放たれます。高速飛行で振り切ろうとする
ヴィヴィオちゃんに、こんどはシュトゥルムファルケンでシグナムが追い打ち。
誘導弾、シュトゥルムファルケンともに命中するも、これは幻影。
どうやら、途中で幻影と入れ替わって攻撃を誘導したようです。
ヴィヴィオちゃんの姿が、再び４人現れます。こんどは一体なにを始めるつもりか。
あっと、普通に距離を詰めてきます。これに対して
シグナム、ヴィータ両者とも逆に自分から近づいて切り捨てにかかる！
ああっと、分身しているヴィヴィオちゃんが、どちらもシールドを張って攻撃を防いだ。
さらに背後にいるヴィヴィオちゃんが背後に回り込んで殴ろうとする。
両者とも素早く回避だ！
再びヴィヴィオちゃんが間合いをとりなおします。
さて、一体この中の誰が本物のヴィヴィオちゃんなんでしょう」
「全部幻影ってことはないの？」
「幻影だったら、シールドを発生させることは出来ないはずだよ」
「じゃ、本物のヴィヴィオが二人ってことですか？スバルさん」
「…そんなはずもない。一体どういうこと？」
「ちっ。ヴィヴィオの奴、ブラスタービットを使いこなしてやがる」
「エクシードモードでブラスタービットをコントロールか。
なのはでも出来るかどうかわからない大技だな」
「ていうか、ブラスタービットはブラスターモード専用だろ。
しかも、幻影を重ねてるってわけか」
「これでは、PINGを打っても、すべて脅威として帰ってくる。
本物を見破るのも難しいな」
「………ちぇ。すぐに片付けるつもりだったのによ」
「２対１で、いい勝負か」
「あたいも人数にいれろよ」
「リィンもいますよぉ」
「４人がかりで、１人がまだ捕まらないってこったろ。
たく、幻術使って隠れられてるってのを計算にいれても
ひどいもんだぜ」
「仕方ないな」
「なにがだ？」
「PINGを打って襲撃を繰り返し、魔力不足に陥らせてから決着をつける」
「わーった。仕方ないな。魔力差でごり押しするか。
負けられないのは、あたしらも一緒だもんな」
何かすごく物騒な会話があったような気がします。
魔力を温存して一撃を考えてるヴィヴィオには、こういう消耗戦が一番堪えます。
『我が主、魔力供給なら、他にもあてがあるではありませんか』
「うん、それはわかるけど、反則にならないかなあ？」
『A rule that isn't written is no rule,my lord』
「…うん、出来る限り、やってみようか」
「あれ？」
「どうしたんですか、スバルさん」
「今、マッハキャリバーがカートリッジロードしたような気がする。一体どうしたんだろう？」
「おおっと、ここでギャラリーのカートリッジが使用されたようだ。
一体何が起きたんでしょうか？」
「？バルデッシュ…カートリッジがロードされた？一体何が」
「…ヴィヴィオやな。
ヴィヴィオが魔力を集めてるんや」
「魔力を集めるって…でも、人のデバイスを勝手に使って集めるなんて
そんなことが出来るはずがない」
「普通はできへん。けど、聖王に何が出来て何ができへんか、わたしら
なんもしらんのよ。
フェイトちゃんに聞いてみたいんやけど、無意識に宙に浮いてたなんて
経験、一度だってあるか？」
「無意識に魔法を使って空中に浮いてた経験？そんなものあるわけない」
「そうやろな。なのはちゃんにも、そんな経験なさそうやし
フェイトちゃんより魔力値高いわたしかて、そんな経験なんて一度もしたことない。
けど、ヴィヴィオは、しょっちゅう空中に浮いてたんやで。
それも、ヴィヴィオの魔力を封じるために作られた、ライチェントゥークスの魔力負荷があってや」
「けど、ヴィヴィオの魔力値は、低くはないってだけで、普通の魔導師と同等だったはず」
「そうや。魔力値はな。けど、魔力値が低めなのは、普段の時だけで
いざというときには、魔力をどんどん吸収して、オーバーS級の魔力が
発揮できるんかもしれへんよ。
なにしろ、わたしら、聖王の能力については、なんもしらんのやから」
「ヴィヴィオちゃんをPINGを使って追い回すシグナム、ヴィータ組にたいし
ひたすら幻術で逃げ回るヴィヴィオちゃん。しかし、このままでは
教育的指導でヴィヴィオちゃんの負けになるかもしれません。
ヴィヴィオちゃんに何か反撃の工夫が欲しいところですが…おおっと。
ここで、４人いたヴィヴィオちゃんが姿を消しました。
空中にヴィヴィオちゃんが浮かんでます。
逃げるのを辞めたのでしょうか。
対するシグナム、ヴィータ組は、ヴィヴィオちゃんをはさむ形で待ち受けます。
おおっと、ここでウィングロード発生です。しかし、飛行魔導師ヴィヴィオちゃんに
ウィングロードが一体何の役に立つのか。
ここでひたすらシグナムに向かって走ります。走るヴィヴィオ、そこへめがけて
ヴィータちゃんの誘導弾が襲いかかります。このままは知っていると当たるよヴィヴィオちゃん。
当たる当たる…ああっと、こけました。空中でこけましたヴィヴィオちゃん。
怪我の功名か、こけたことで誘導弾の間合いがくるって外れました、ウィングロードに当たって
爆発します。立ち上がりました。立ち上がりましたヴィヴィオちゃん。
涙目になりながらも走ります。走りますヴィヴィオちゃん。
走って…おおっと、ここでシュランゲフォルムが襲いかかります。どう対処するつもりでしょうか
ヴィヴィオちゃん…ああっ、ウィングロードをシュランゲフォルムに対応するよう螺旋に変えます。
ウィングロードをシールドとして使うことで攻撃に回る予定のようです。
これは発想の転換だ。しかし、逆に言えば逃げ道がないということ、シグナムがウィングロード内に
突入してヴィヴィオを迎撃する。ヴィータちゃんはブラスタービットが隠れてないかどうか
警戒を怠らない、さすがは教導隊です。…ええっ！
フラッシュムーブからのストラグルバインドです。ストラグルバインドがヴィータちゃんに決まった。
しかしこれに気づいたシグナムがウィングロードを切り裂いてヴィータちゃんの援護に…」
「勝負あり！。…バインドも有効な攻撃の一種や。
きっちりストラグルバインドが入ってるんやから
ヴィヴィオの勝ちでええな、シグナム、ヴィータ」
「なんか狐につままれたような気がするけどよ…けど、バインドされただけでも
あたしの油断には間違いないよな。…よくやったぜ、ヴィヴィオ」
「…すまんな、ヴィータ。わたしの力が足りなかったようだ」
「シグナムの責任じゃねーだろ」
「リィンがもっとしっかり見張ってればこんなことにはなってないですぅ」
「ていうか、ヴィヴィオの奴、カートリッジ打ち尽くしてるじゃねーか。
この先どうするつもりだったんだよ」
「えとえとえと…バインドしたら、スターライトブレーカーで決着つけるつもりだったんだけど…
バインドが解ける前に装填がおわったらいいなあ…って」
ぱちぱちぱちぱちぱち・・・
「誰だっ！」
「だれだとはご挨拶だねえ。…君たちが探している当人だよ」
なんと、Dr.スカリエッティの方から、こちらに連絡を入れてきました。
一体なにを企んでるんでしょうか。
「中々楽しいものを見せてもらったよ。お礼に、明日、私たちも
楽しいものを見せてあげるとしよう」
「スカリエッティ、おまえに明日などない！」
「Dr.スカリエッティ、今投降するなら、弁明の機会が与えられますよ」
「残念だが、私は弁明する趣味はないのでね。弁明の機会なんてどうでもいいことさ。
それより、私からの、他のお礼の方を見てもらいたいね」
「他のお礼？」
「ヴィヴィオ、大丈夫？怪我してない？」
「うん、なのはママ、ヴィヴィオは大丈夫だよ。
それよりなのはママの方こそ大丈夫？ピーマンとか食べされられてない？」
「うん、なのはママは大丈夫」
「なのはちゃん。一体どうしてスカリエッティに捕まってるんや」
「えーと、まあ、ちょっと事情があって…ごめん、はやてちゃん、フェイトちゃん。
心配掛けて」
「心配掛けてっていうか…なのは、いますぐ助けに行くから」
「ヴィヴィオもいく〜」
「まあまあ、一晩ぐらいは私にも猶予をくれてもいいだろう？
何しろ、三年もずっと管理局の固いベッドの上で寝てたんだよ。
たまには柔らかい布団でぐっすりと眠りたいね。
なにしろ、明日は、旅立ちの朝なんだからねえ」
「旅立ちの朝いうて、なに始めるつもりなんや」
「…それは、明日になればわかるさ、なあ、エミー」
「…うん、パパ。明日、私は聖王にふさわしいことを証明する。
それでいいのね、ママ」
「そうよ。…私の姉妹と一緒にね」
「あー、あいつ、いつかの偽婦警！」
「ヴィヴィオちゃんがさらえなかったからって、なのはおばさんをさらったんだ」
「さらったとは人聞きが悪いわねえ」
「クアットロにセッテにトーレにウーノにドゥーエ。脱獄ナンバーズそろい踏みやな」
「うふふ〜、本物の聖王の力は、こんなものじゃないわよ。
明日になったら楽しい銀幕芝居、見せてあげるわ」
「だから明日などおまえ達にはない！」
「フェイトお嬢様。どうか自重ください。…私たちも、決して手荒なまねは望むところではないのです」
「…旅立ちの準備のための時間を得るために、高町教導官を客人として招かせていただきました。
ですが、ご安心ください。私は、エミーお嬢様のご友人の母を傷つけるつもりはありません。
ドクターは、命を愛するものです。無益な殺生は行いません」
「勝手なことばかり言うなっ！」
「さてと、ウーノ。挨拶はこれぐらいでいいだろう。明日の準備を整えたら
ゆっくりと眠ろうじゃないか。彼らが妨害するほど無粋でないことを祈ろう。
では、おやすみ」
…
「通信が切れたわね」
「みたいやな。…半ば予測してたとはいえ、現実になると辛いなあ」
「はやておねえちゃん。なのはママ、大丈夫かな」
「人質にとられてる、っちゅうことは、大丈夫っちゅうことや。
危害を加えたら人質としての値打ちがおちてまうし
人体実験の材料にされるんでなければ、べつに危ないこともないやろ。
ほんまいうたら、すぐに魔法の場所特定して、救出にいきたいところなんやけど
アースラでも、場所の特定は出来へんやろなあ」
「エミーが一緒なら、エミーの家じゃないのか？」
「そうかもしれへんけど、そうでないかもしれへん。
空振りした時が怖いわ。………それに、スカリエッティは、明日になれば
有利になる思うてるかもしれんけど、こっちも明日の朝までには
切り札が用意出来るはずなんよ。
…手に乗ったふりするのも、わるうないわ。
明日の朝には、すべて、決着つけるで。
せやから、今日はこっちもゆっくりやすもか。
…グリフィス君。聞こえてるやろ。私らは
一晩こっちがわで休むわ。…アースラ組は
地上の走査を続けてて欲しいんよ。
動きがあったら、私らも、すぐに対応するさかい、連絡は密にな」
なのはママは、スカリエッティに捕まってました。
そして、エミーちゃんも、はやておねえちゃんの推理通り
スカリエッティの切り札でした。
二人とも、ヴィヴィオにとって、大切な人です。
だから、二人とも、かならず、助けたいと、思います。
はやておねえちゃん達が、きっとなんとかしてくれるはずです。
でも、ヴィヴィオも、はやてお姉ちゃん達の一員です。
予想通り、悪いことが起きてましたけど、ヴィヴィオは、勇気が友達だから、元気です。