「ヴィヴィオさん、検索魔法でエミリアの書の位置は特定できないんですか？」
「試してるんだけど、もやがかかったみたいになってて、うまく特定できないんだよ。
　おおむねこのあたり、っていうのは分かるんだけど、きちんと特定しようとすると急に焦点がぼやけちゃう。
　なぜなんだろう。ほかの本を探すときには、そんなことないのに」
「誰かが妨害してるんでしょうか」
「どうなのかな。わからない、ユーノパパも場所の正確な特定が出来なかったって言ってた。
　ごめんね、ミウラちゃん」
「謝られることでもないですよ、ヴィヴィオさん」
「んー、こういうとき、月光ちゃんとか、冬美ちゃんとかいたら、なにかいい考え出してくれるかもしれないんだけど」
「分散したら危険かもっていうことで、今は、はやてさん、ノーヴェさんと一緒なんですよね」
「うん」
「うー、ちまちま一冊ずつ調べるのってめんどくさいよ〜なんでおおざっぱに絞り込んでるのに
　こんなにたくさん本があるんだろう」
「無限書庫の名は伊達じゃないってことですよ。ぼやいたって減りませんよ、頑張りましょうヴィヴィオさん」
「うん……」
「見つけた」
「誰？」
「ミウラ＝リナウディ。ヴィヴィオ＝スクライア＝高町＝テスタロッサ＝ハラオウン……真名認証……吸収」

「！」

ミウラちゃんが、急に姿を消してしまいました。
ていうか、この人、誰だか思い出しました。

「思い出したよ。ルーテシアお姉ちゃんの対戦予定だった魔女さんだよね。
　吸収、って言ってたから、その使い魔の中に吸い込んだってわけ？」
「……頭の回転は遅くないみたいね。でも、ちゃんと真名は唱えたのに、どうして？」
「どうしてって、私の名前は高町ヴィヴィオ、ヴィヴィオ＝スクライア＝高町＝テスタロッサ＝ハラオウン。
　どっちかが本当の名前っていうわけじゃなくて、どっちも真名だよ。唱えるなら、ちゃんと両方唱えなきゃ」
「そう。なら……」
「甘い！　もう覚えた」
「なら……暗黒……」
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
「え？」
「あれは幻影だよ。魔女の割には抜かってるね。シスターシャンテ流韜晦術だよ。
　ライチェントゥークス、魔法使用許可を。
　ヴィヴィオがやる！」
『魔法使用許可をって、すでに魔法はばりばりと使ってますが、我が主』
「まだバリアジャケットは使ってないよぉ」
『分かりました、変身ですね』
「うん」
「させない……」
「雑魚は何匹集まってもざこだよ。はじけろ究極破壊魔法……ヴァニシング＝イクスプロージョン！」
『我が主、いきなり巨大魔法を使っては魔力がすぐ尽きますよ。主の弱点は魔力値が常人並みということなのですから』
「今回はちゃんとカートリッジを持ってきたからね。ライチェントゥークス、カートリッジロード」
『了解です、我が主』
「どういう理由だかわからないけど、悪い子には間違いないみたいだし、ちょっと痛いのいくよ」
「……あまり調子にのらない方がいい……」
「調子に乗ってるのはそっちだよ。術式が普通じゃない魔法が使えるからって、天狗になったら痛い目みるからね」
「聖王の力が使えるからと言って、魔女の力を侮るものでもない……」

ミウラちゃんがああもあっさり、ということは、不意打ちで真名を唱えられたらほかの人たちだって
そう簡単には回避できてないでしょう。ここは、ヴィヴィオのがんばりどころです。

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