War to END WARS
【第八章】
〜The Day After〜
「始まったか？」
ここは、『先生』の研究室、部屋の中には先生とＰ−４の二人だけ
「・・・どうやら、そのようですね・・・」
「Ｐ−８はうまくやるだろうか？」
「・・・不安なんですか？・・・」
「私は神様じゃないからね、自信はあるが、確信はないんだよ」
「・・能力的には問題ないでしょう・・・」
「自信があるのか？」
「いえ、確信があるんです…」
「Ｐ−７はどうしている？」
「Ｐ−７なら奥の部屋で眠ってます、先生もご存じでしょう？」
「・・・・ああ、そうだったな・・・」
「・・・おちつかないんですね・・・」
「ああ、・・・・私は、この作戦に私のすべてをそそぎ込んだ
その結果が、これから出る」
「・・・・・能力的にはなにも問題ありません・・
・・それでも、不安なんですか？」
「心配しているのはＰ−８のことばかりじゃない
Ｐ−３も、Ｐ−５も、Ｐ−６も、みんな心配だとも」
「・・・・・先生も、心配性なんですね・・・・」
「当然じゃないか、みんな私の娘達だ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・心配ない、すぐに終わるよ、Ｐ−８の能力を持ってすれば
世界に平和をもたらすのは無理でも
少なくとも、戦争を終わらせるぐらいのことはできる
今までのような、殺しあう戦争を終わらせるぐらいはできるはずだ
・・・・いや、できるとも」
「・・・・・そうだとよいのですが・・・」
「言いたいことはわかっている、私も本当は、」
「言わないでください、辛くなります・・・・
・・・まだ、終わったわけではないのですから・・・・」
「ああ、そうか・・・・これは始まりにすぎないのだな・・・」
Ｊ．Ｂは、傍らの巨大なオーギュメントを起動する
「ケーニヒス・ティーゲルか
よくそんなレトロなものを作る気になるよ」
「Ｊ．Ｂらしいといえば、Ｊ．Ｂらしいかもな」
「軽口たたいてる場合じゃないでしょ」
「・・・・・・・くるよ、みんな」
ケーニヒス・ティーゲル
戦車王国ドイツが生んだ陸の巨獣
一両のみの戦闘力で考えて、第二次世界大戦中最強の戦車を挙げるとすれば
文句なしにケーニヒス・ティーゲルであろう
事実、この「王たる虎」の武勇伝は、すでに伝説の域に達している
どうやってイデア情報をコピーしたのか、また、それをどうやって
コアブレインに組み込んだのか・・・
そんなことを思い悩んでいる場合ではないことだけは確かだった
Ｊ．Ｂが初弾を放つ
『リアクティブ・アーマー』
Ｐ−３がカレイドフェノムでカレイドフェノムを迎撃する
「・・・・・ほお」
「Ｊ．Ｂ、あなたに勝ち目はないよ
あなたに、オリジナルの能力を１００％引き出せるわけがないもの」
「おまえも、まがい物には違いないだろ」
「戦うために生まれてきた私と、オリジナルとを一緒にしないでほしいの」
第２弾が着弾する
続いて、第３弾、第４弾、第５弾・・・・・・
もちろん、十夜達も黙ってみているわけではない
だが十夜達の攻撃はまるで効いていないようなのだ
パチンコで象を攻撃しているような・・・いや
機関銃ででケーニヒス・ティーゲルの前面装甲を射撃しているに
等しい打撃しか与えていない
「どうしたどうした？守っているだけでは勝てないんじゃないのか？」
「・・・Ｐ−３、攻撃にでれないのか？」
「無理よ・・・あんなフェノムの直撃を受けたらオーギュメントごと
存在を消滅させられちゃうもの」
「よくわかってるじゃないか、降参するなら今のうちだぜ」
「まだ戦いは始まっていない！」
「ジョン・ジョーンズ気取ってもしょうがないんだぜ、エンジェル・アイ」
「！貴様」
だが、いくら憤っても力不足は否めない
徐々にＰ−３に疲れが見えてくる
「・・・・どうしたどうした、もう終わりか？」
「・・・・・…」
「・・・Ｐ−３？」
「返事をするのも苦しいのよ」
「くそっ、ほんとに全然効いてねえのか？」
「・・・効いてないみたいね、本当はいったん後退するしか・・・・」
「後退してどうなる？・・・・・・いや、空木、柊、雲野
おまえ達３人は下がっていろ」
「どうするつもりだ？」
「あたしがおとりになる、その隙にＰ−３はＪ．Ｂを叩け」
「…・・・だめ、それじゃ・・・逃げ切れない」
「・・・万事窮すか・・・・」
「ごめん・・・・こんなとき、Ｐ−７でもいれば・・・・」
Ｊ．Ｂの放つフェノムの打撃が感じられるようになる
「っ・・」
「Ｐ−３の力が落ちてきてるんだわ・・」
「Ｐ−３！もうやめるんだ」
「だめよ・・十夜くん・・・ここで負けたら、みんなＪ．Ｂに消滅させられるの
それに、瞳さんの敵をとるんでしょ」
「でも・・・・」
だが、徐々に、十夜達自身のシールドも削られていく
空木が回復に回っているがじり貧には違いない
「・・・Ｐ−３もうやめろ！俺達はなんとかなっても、おまえは助からない！」
「十夜くん、私のことはいいの
私の代わりはいくらでもいるの
・・・・・そんな言葉は、オリジナルに言ってあげて、
ディゾナントの私じゃなくて」
「くっくっく、三文小説みたいなメロドラマだねぇ」
「Ｊ．Ｂ…」
怒りも、憎しみも、信念も、希望も、友情も、愛も、
すべてはむき出しの力の前に無力なのか
・・・・俺達は、このまま敗れ去るのか？・・・
絶望が答えに思えてきた、そのとき
突如としてＳＣ空間が解除された
気がつくと、Ｊ．Ｂの作り出したオーギュメント
『ケーニヒス・ティーゲル』がスクラップと化していた
Ｊ．Ｂは反動で吹き飛ばされている
「い、いったいなにが起きたんだ？」
「どうやら、間に合ったみたいだな」
「園宗寺さん？」
「危ないところだった、礼を言う」
「まったく、きてくれるんだったらもっと早くきてくれれば良かったのによ」
「誠志郎君、助けてもらってそれはないでしょ」
「気にするな、本当のことだ」
そこにいるのは、園宗寺のように見えた
だが、Ｐ−３だけは、その正体を知っていた
「Ｐ−８・・・・完成したんだ」
「さすがにおまえの目はごまかせないか」
「いくらジ・オーディナンスでもあれだけの威力があるはずないもの」
「その通りだ・・・さて、Ｊ．Ｂはまだ息があるが、どうするおまえ達？」
「決まっている、とどめを刺す」
「それもいいだろう、死体の始末は私がしてやろう」
「・・・まだ・・・終わってないぜ・・・」
「Ｊ．Ｂ!」
Ｊ．Ｂは、クイーン・デッドを杖代わりに立ち上がろうとしていた
・・・・しかし、彼の受けた打撃はそれを許さない
むしろ動けるだけ大した根性である
「・・・安らかに眠れ・・・・永遠に」
佐伯がゆっくりとリボルバーの照準をつける
「まってくれ！」
「雲野、じゃまをするな！」
「・・・Ｊ．Ｂ・・・なにか、言い残すことはないのか？」
「・・・・・十夜・・おまえの・・・・哀れみを・・受けるようじゃ
・・・・・・・俺も・・・・・・・終わりだな・・・・」
「Ｊ．Ｂ、これは哀れみじゃないさ」
「・・・・・・・・殺れ・・エンジェル・アイ・・・・・・・
・・・・・・・本当に・・・・・空虚だったのは・・・・・・・
・・・・・・俺自身・・・・だった・・・・よう・・・だ・・・な・・・・」
「Ｊ．Ｂ・・」
「おい十夜、なにやってるんだよ、こいつが名城を殺したんだぞ！」
議論を断ち切ったのは、銃声だった
佐伯のリボルバーがＪ．Ｂをとらえる
Ｊ．Ｂはうつぶせに倒れた
「・・・・こんどこそ、やったか？」
「ああ、存在波の流れが変わった」
「これで、終わったのね・・・・」
「名城・・・・敵は、討ったぜ」
ただ一人、十夜はＪ．Ｂのそばに行くと、彼を仰向けに寝かせてやった
そして、首に掛けたネックレスを外すと、
十夜はそっとそのネックレスを握らせてやる
「あんた・・・最期までなにもわかってなかったんだな・・・
あんたは空虚でもなければ、ひとりぼっちでもなかったんだよ、備前先生」
「おい十夜、なにやってるんだ？」
「いや、ちょっと・・・な」
「十夜、おまえお人好しも度が過ぎるぜ
こいつさえいなければ、名城は死なずにすんだんだ！」
「・・・・・・・・・・」
「よせ柊、すべては終わったんだ」
「・・・・・・・・そうね、すべては終わったのね・・・」
「まだすべてが終わったわけではない
空木、これをオリジナルに着せてやってくれ
たぶんオリジナルはまだ動けないはずだ
佐伯、オリジナルを運んでくれ
Ｐ−３・・・先生が待っている、帰るぞ」
「うん・・・・そうだね
十夜くん、誠志郎くん、空木さん、佐伯さん、・・・それに、瞳さん・・・
今までありがとう、楽しかった
・・・もう会うこともないだろうけど…元気でね」
「・・・元気でな、Ｐ−３」
「ありがと、誠志郎くん」
「ほんと、あなたがいて助かったわ」
「そうでしょ、空木さん」
「・・・・・じゃあな」
「じゃあね、佐伯さん」
「・・・・Ｐ−３、帰るって・・どこへ帰るんだ？」
「もちろん、先生の所へ
オリジナルが帰ってきたら、私はいちゃいけないでしょ」
「帰ったら、なにをするつもりなんだ？」
「我々には仕事がある
戦争を終わらせる戦争を戦わなければならない
おまえ達には迷惑をかけた、だが、私が来たからには大丈夫だ
もう、おまえ達に迷惑をかけることもない」
「園宗寺さん、あんたなに考えている？」
「私は園宗寺ではない、プロトタイプナンバー８、略してＰ−８
私は戦争を終わらせるために、そのために戦うべく生まれた」
「どういうことだ？」
「・・・・・・ねえ、説明していいかな？」
「・・そうだな、おまえから説明してくれ、Ｐ−３
たぶんその方が分かりやすいはずだ」
「そうだね、・・・・、あのね、先生が戦闘向きのディゾナントを
作っているって言う話はしたよね、十夜くん」
「？そうだったかな？」
「あ〜、ひっど〜い、忘れてるんだ
しょうがないから最初から話して上げるね
先生は戦争を終わらせるための戦争を戦うために
究極の兵器、究極のディゾナントを作っていたの
私もその研究の途中で生まれたわけ
それでね、Ｐ−８っていうのが、その研究の集大成になるはずなの
その戦闘力はさっき見た通りなの
・・・わたしが想像していたより、もっとすごかったんだけどね」
確かに、圧倒的な戦闘力だった
限界まで強化されたオーギュメントの攻撃をまるで受け付けなかった
Ｊ．Ｂを一撃で倒すほどの戦闘力を持っていたのだ
Ｊ．Ｂは彼のオーギュメントで世界を破壊する予定だった
ではそれを一撃で粉砕するＰ−８の戦闘力はどれほどになるのだろう
想像するだに恐ろしい戦闘力になることは確かだった
「あんた、戦争を終わらせるって・・どうやって戦争を終わらせる
つもりなんだ？Ｐ−８」
「そうだな、・・これから私は他の仲間達と共に
全世界に対して、戦争を始める
その戦争のなかで、世界は私に勝てぬ事を悟ることになるだろう
そして、そのときこそ、戦争は永久になくなるのだ」
「なんだって！」
「園宗寺・・・私のオリジナルは、一つ、間違いを犯した
DICEの力で、バランスを保ちさえすれば、戦争が終わると思ったのだ
だが常に卑怯者や裏切り者は存在する
彼らに対処する唯一の方法は、裏切りそのものが生じないように
絶対的な力で支配するしかないのだ
私には、それが出来る
そして、それが私の使命なのだ
そのために私が作られたのだからな」
「・・・なあ、Ｐ−８、Ｐ−３も、一緒に戦わせるのか」
「当然だ、Ｐ−３もそのために作られたのだ」
「・・・そうね、十夜くん・・・わたし、十夜くんのこと忘れない
十夜くんは、ただ、見ててくれればいいの
・・・ううん、見てくれなくていい
ただ、私は忘れない、十夜くんと一緒に過ごした日々を
・・・オリジナルがそんな日常を送れるように
二度と、瞳さんみたいな事が起きないようにするために・・・
だから、私は、戦いに行くの
元気でね、十夜くん、そして・・・オリジナルのことをよろしく」
そういうと、Ｐ−３はエレベーターを起動した
「まだお別れを言うには早い、Ｐ−３、みんな同じ場所に行くのだ」
「そういえば、そうだったね」
「エレベーターがあるのか？」
「当然だ、あんな大きな物が階段から運べると思うのか？」
そういって、Ｐ−８は『ケーニヒス・ティーゲル』の残骸を指す
確かにあんな物が階段で運べるわけはない
「確かにそうね、ところで、もう罠はないんでしょ」
「ああ、私が確認した」
「なら大丈夫なんだろ」
みな、無言でエレベーターに乗る
エレベーターが１階につけば、そこでみんな分かれるはずだ
十夜達は、再び、いつもの日常へと
そして、Ｐ−３達は新たな戦場へと
エレベーターが一階にたどり着く
扉が開いたとき、一階には、誰もいなかった
「あれ？壬生さん達は？」
「ああ、彼らは一時的に２階に移動してもらった」
「移動してもらったって？」
「オリジナルのふりをしただけだ
彼らに私の正体を教える必要はないのでな」
「なるほどね、で、いつ降りて来るんだ？」
「我々が帰ったら、連絡を入れるようにしてある
帰りは外地会のメンバーに送ってもらうといい」
「そうね、もう夜も遅いわね」
「そうそう、夜道には狼が出るからなぁ・・・・って
まあ、理子ちゃんなら逆に襲いかねないけど」
「誠志郎君、それってどういう意味よ」
「あたしは送ってもらう必要はない」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ、今度こそお別れだね、十夜くん・・・・そして、みんな」
「じゃあな、また会おうぜ、Ｐ−３」
「さようなら、縁があったらまた会いましょ」
「May the Goddess be with you」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
（おい、十夜、何か言ってやれよ・・Ｐ−３も待ってるみたいだぜ）
（ああ・・・分かってる）
Ｐ−３は、まだ帰ろうとはしない、
みんなの挨拶に答えようともしていない
ただ、十夜の言葉を待っていた
十夜も、みんなと同じように、笑って送り出してやるつもりだった
いや、送り出してやるつもりなのだと思っていた
しかし、今、ここでＰ−３と分かれたなら、おそらく二度と会うことはないだろう
そう思ったとき、十夜は思わず、一言、口に出してしまった
「Ｐ−３、行くんじゃない」
「え？」
「おい、十夜、どうしたんだ？」
「Ｐ−３、もう十分だ・・・やめてくれ、行かないでくれ、・・・頼む」
「・・・・十夜くん・・・・」
「雲野、それは無理な相談だな
Ｐ−３をおまえ達の元に残すとして、ではオリジナルはどうするのだ？」
「それは・・・・」
「それみろ、おまえはオリジナルの、カスミ・アインハルトの事を考えていればいい
我々の存在は忘れてしまえ、ただの夢、悪夢だったのだと考えろ
いまこの瞬間が過ぎ去ってしまえばいつもの日常が帰ってくる
おまえ達と我々とが再び会うこともない
おまえの元にはオリジナルがいる、おまえはそれ以上なにを望むというのだ？」
・・・・・・・オリジナルがいる、か・・・・オリジナル？
Ｐ−３・・・彼女は、ただの、コピー・・・だって？？？
コピーなら・・・コピーなら、死んでもいいのか？
「違う、Ｐ−３はカスミのコピーなんかじゃない」
「十夜くん、私はカスミのコピーなの
・・・・カスミのコピーとして作られたの・・・・」
「そうじゃない、Ｐ−３・・・おまえは・・・
おまえはカスミのコピー以上の何かがあるんだ
行くな！Ｐ−３・・・・頼むから、行かないでくれ・・・
もう、もうこれ以上誰も死んで欲しくない・・・・・」
「私は死なないよ、ただ、消え去るだけ
ディゾナントが死ぬはずないの・・・ただ、壊れるだけなの
必要なら何度でも作り直せばいいの・・・・何度でも」
「違う！カスミのイデアをコピーすることは何度でも出来るかもしれない
だけど・・・だけど、Ｐ−３は一人だけ、一人だけなんだ
頼む、行かないでくれ、Ｐ−３・・・これ以上、俺を亡くさせないでくれ」
「大丈夫よ十夜くん、戦いに行くからって、死ぬって・・・ううん
私が壊れると決まった訳じゃないよ」
「・・・・・・・そうだな、死ぬと決まった訳じゃない
名城だって・・・名城だって、死ぬと決まっていたわけじゃない」
「！…もしかして、十夜くん・・・怒ってる？」
「どういう意味だ？」
「・・・私がぼんやりしてなければ、瞳さんは助かってたはずなの」
「Ｐ−３、それは間違いなくおまえの落ち度だ」
「Ｐ−８、それは違う、Ｐ−３・・・・そんなんじゃない
名城を見て、俺は初めて分かった
戦いって言うのは、戦争って言うのは、人が死ぬんだって
だから・・・俺は、おまえを戦わせたくない、戦争に行かせたくないんだ」
「・・・十夜くん・・・私だって、怖いよ、戦うのは・・
でも・・・・でも、いま世界中に戦争があるの
私が行けば、それを止めることが出来るかもしれないの
・・・・だから、だから、・・・・逃げちゃだめだよね」
「雲野、・・・・戦争がどんなものかは分かってるはずだ
誰かが犠牲にならなければならないのなら、人間ではなく
ディゾナントの我々が犠牲になればいい
誰かが犠牲にならなければ・・・戦争は決して無くならない
・・・・・・もういいだろう、ゆくぞ、Ｐ−３」
「うん・・・・じゃあね、十夜くん、・・・ありがとう、引き留めてくれて
・・・・・・うれしかったよ」
「だったら、なぜ行くんだ、Ｐ−３！」
「・・・・だから・・・・・だから行くの
十夜くんが、二度と戦わなくてもいいように・・・・」
「Ｐ−３、無理をする必要はありません
あなたは無理に戦う必要はないわ
行きたくないなら、戦いたくないなら、・・・・
・・・十夜くんと一緒にいたいなら、そうしなさい
誰もあなたを止める権利はもってないわ」
「Ｐ−６、どういう意味なの？」
「おいおい、一体なにが起きてるんだ？？？？」
十夜達にはまるで理解できなかったろう
カスミのそっくりさんがさらにもう一人現れたのだ
どうやら、Ｐ−６と言う名前らしい
彼女は、外見はカスミのそっくりさんである
だが、その物腰と服装から、Ｐ−３より・・・そして、
もちろんオリジナルのカスミより大人びて見える
「Ｐ−６、先生に従わないつもりか？」
「先生が必要としているのはＰ−８、あなただけのはずよ
これからあなたを量産して、そして世界から戦争をなくす
そのために、Ｐ−３は必要ないでしょう？」
「・・・・・私にそれを決める事は出来ない
いずれにせよ、一度は帰らなければならない」
「そうね、一度は帰らなければならないわね
でも、この子達を一緒に送っていってもいいんじゃないかしら」
「なぜ、送ってやる必要がある？」
「だって帰る場所は一緒じゃない」
「Ｐ−６、それは・・・・」
「・・・Ｐ−８、あなたがどう思おうと、私は
この子達に先生の居場所を教えるわ
それに、この子達には真実を知る権利があるんじゃないかしら？」
「・・・・・・いいだろう、真実を知れば
我々がなぜ戦わなければならないか理解できるだろう
だが、知らない方がいい真実というのもある」
「好ましきは真実のみです」
「で、どうやって帰るつもりだ？
私の車は５人乗りだが？」
「外地会の人を運んできたライトバンがあるわよ
それなら詰めれば９人乗れるわ」
「そうだな、ならそれを使うとしよう」
「いいのか？Ｐ−８」
「Ｐ−６は一度決めた事を変えるとは思えない
・・・・それに、私は、・・・カスミには逆らえないのだ」
「どういうことだ？」
「そのように作られているということだ
まあ、・・・先生に会えば分かる」
Ｐ−８の運転する車は一路先生の居所へと進んでいた
『先生』
戦争を終わらせる戦争を始めた張本人
Ｐ−３の生みの親と、もうすぐ十夜達は対面することになる
つづく