「へとへとなの」
「疲れた〜」
「そりゃあんだけ水中で運動すればな。
　回復力は高いかもしれんが、限度をわきまえることは必要だぞ……
　って、まあ、何事もこうやって限度を覚えていくんだけどな」

私達は、体を引きずるようにして宿泊場所へと帰っていったの。

「あー疲れた〜今日はもうゆっくり休みたい〜」
「でも、食事を取らないと体力は回復しないよ」
「ルーテシアさんの言うのももっともだけど、今は食欲も湧かない〜」
「じゃ、先にお風呂にする？　うちの自慢の温泉が湧いてるよ」
「温泉があるの？」
「うん、割と広い温泉だから、全員一緒に入れるよ。
　一応、男湯と女湯に分けてあるし、仕切りは取り外し出来ないように作ってるけど
　片方だけで十分広いから全員ゆったりと入れるよ」
「うん、じゃ、ゆっくり温泉で休む……」
「ごゆっくり、でも、温泉に入る前に水分だけは補給しておいてね」
「はーい」

着替えるのも面倒なぐらい疲れてるの。
でも、温泉に入ってゆっくりしたら、また体力が回復するかな、って思ったりもするの。

「んー、もう少し早めに切り上げた方が良かったかな」
「楽しかったからいいよ、疲れたけど」
「若いんだからそう疲れたを連呼するなよ。ま、温泉にしばらくつかってれば食欲も戻るさ」
「そんなものなんでしょうか」
「そんなもんだ」

そんなものかどうかはわからないの。でも、とりあえず服を脱いで温泉に入るの。

「あー、暖かい水〜」
「温かい湯って言わない？　普通」
「おんなじだよ」
「でも、本当に広いね、この温泉」
「そう思うの」
「その気になれば泳げるぐらい広いね」
「まあ、泳がないけど」
「泳ぎたくなる気分はわかるが、泳ぐなよ」
「……そんな気になれるほど元気がない……」
「みんなへばってるな、そういうときは無理に体をマッサージしようとするなよ。
　温泉に入ってまずはゆっくり体を温めろ。
　マッサージとかは、湯から上がった後ゆっくりとな」
「はーい」

私達は湯の中でぐてっとしてるの。
温かい湯が私達を温めてくれるの。
冷たい水で冷えたからだがだんだん温まってくると、少しは元気も出てくるの。

「なんだか元気が出たら、おなかがすいてきたんだよ」
「すごいねヴィヴィオ、私はまだ元気が出ないよ」
「泪は水切りに人一番力を入れてたもんね」
「なかなかうまくいかなかったからね」
「私も上手には出来なかったの」
「初めてであれだけ出来れば上出来だよ。
　ボクが道場で練習したときには、みんなのように早くは習得できなかたんだから」
「打撃ではない力ですか、どちらも力には変わらない気がしてましたが
　力の伝え方が違うと、力の出方も違ってくるものなんですね」
「そうだな、まあ、剄を鍛えると、拳一個の間合いで相手を吹き飛ばすなんて事も出来るようになる」
「拳一個の間合いで？」
「そうさ、エネルギーを打撃ではない形で伝えれば、相手の態勢を崩すのに使える。
　まあ、他にも剄の使い道はあるんだが、それは追々学んでいけば良い」
「はい」
「さて、だいぶ元気が出てきたか？」
「もう少し休みたい……」
「そっか、まあ、夕食は逃げないからゆっくり休むと良い。
　でも、このままバタンキューって言わないだけ、元気は出てきたみたいだな。
「うん、そうなの」
「それならだんだん元気が出てくるさ」
「うん……」

私達はゆっくりと湯につかってるの。
だけど、いい加減には体も洗わないといけないの。

「そろそろ体を洗う……」
「体を洗う元気が出てきたか、上々だな」
「そういう気分にはなれないの」

それでも、ゆっくりと体と髪を洗うの。

「なんか体が痛い……」
「明日は午前中はゆっくり休みにするか。
　午後からはまた新しく合宿らしい練習するぞ」
「はーい」
「なんだ、まだ十分元気が出てないか？」
「まだなの」
「そっか、でも、夕食が待ってるぞ、メガーヌさんもお嬢も料理は上手だから期待して良いぞ」
「今晩はなんなの？」
「今晩は普通に焼肉とサラダだな。当然主食はあるが」
「焼肉ですか」
「アスリートならタンパク質をしっかりとらないとな。
　筋肉に打撃を受けてる分、修復にはタンパク質が必要だぞ」
「そうですね」

私達は温泉から上がって、一足先に寝間着に着替えるの。
夕食は寝間着で食べるの。

「ま、洗濯は明日やればいいから気にするな」
「手洗いなの？」
「ここにも洗濯機ぐらいあるさ」
「良かった」
「無人世界ったって、文明の利器はちゃんとそろってる、そこらは心配しなくて良いぞ。
　ちゃんと電気も通ってるぐらいだからな」
「……発電所ってどこにあるの？」
「自家発電だな。だから、通ってるっていうのは変だったかもな」
「発電設備なんて見なかったの」
「地下にあるってメガーヌさんは言ってたな。ま、あたしも見たことはないんだが」
「そうなの」
「燃料がちゃんと必要で、定期的に運んできてるっていう点、おまえらのK-unitより性能は落ちるんだけどな。
　あれはどんな原理なんだ？　魔法にしてもすごすぎるだろ」
「イデア理論によって質量を任意のエネルギーに転換してるんだっておじいちゃんは言っての。
　細かい原理はしらないの」
「ま、学者じゃないんだから細かい原理は知らなくて当然だ。
　でも、おまえ達のデバイスはそれで動いてるんだろう？」
「オーギュメントはまた別なの」
「そっか、おまえ達の世界にもいろんな道具があるんだな」
「そうなの」
「さて、っと、そろそろ寝るようにしようか。
　明日は早くないが、疲れてるだろう。
　あたしは、明日の練習メニューを考えておく」
「はい」
「よし、元気が出てきたみたいだな」
「うん、食べたら少し元気が出てきたよ」
「それはよかった、じゃ、元気が出てきたところで早めに寝るんだぞ。
　明日も楽な練習にはしないからな」
「はい」

こうして、合宿の一日目が過ぎていったの。
私は目をつむったら、すぐに眠りに落ちてたの。

明日は練習って言ってたけど、どんな練習になるんだろう。

　

 

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