色々とあった３ヶ月があっという間に過ぎ去ったの。
世界へと挑戦するチャンスは失われたけど、こっちの魔法のこととかの勉強はそれなりに出来るようになってきたの。
そして、今日は一学期の終業式があったの。

「霧子、成績はどうだった？」
「まあまあなの、泪はどうなの？」
「まあまあかな、良すぎはしないよ」
「存在波理論による体系とは違ってるから、なんだか勝手が違うの」
「あはは、まあね。でも、こっちの魔法はこっちの魔法で楽しいかな」
「霧子、泪、夏休みだね」
「だね、ヴィヴィオ。ヴィヴィオの夏休みの計画は？」
「とりあえず７月中に宿題を終わらせて、８月は目一杯遊ぶ予定だよ」
「目一杯遊ぶっていっても、ヴィヴィオはインターミッドの試合が待ってるよ」
「うん。それはそれだけど、遊べる時間は目一杯遊ばないと」
「私もそう思うの」
「私達は８月になったら東京に一旦戻るけど、ヴィヴィオも来る？」
「東京？」
「地球……っていうか、第９７管理外世界って言わないとヴィヴィオには通じないか」
「なのはママの故郷なんだよ、一度行ってみたいと思ってたんだけど、なのはママが許してくれるかなあ」
「なのはママ……って、地球人なの」
「日本の海鳴市から来たって聞いてるよ」
「世界は狭いね」
「そう思うの。だけど、どうやって日本からここに移り住む事になったの」
「それは聞いたことないよ。この世界の魔法使いに会って事件を解決してから
　管理局勤めになったってことぐらい」
「この世界の魔法使いって、クロノくん達以外にも来たことあるんだ」
「まあ、そこらはなのはママに会って詳しく聞いたらいいんじゃないかな」
「ヴィヴィオちゃん、泪ちゃん、霧子ちゃん、お話中？」
「なにかしこまってるんだよコロナ、普通に混じればいいだろ」
「んー、なんか地球のお話してるみたいだったから」
「コロナ、リオ、こんにちは、成績はどうだったの？」
「思ったほどは良くなかったかな。体育は満点級だったけど」
「私はそれなりだったと思う」
「みんな謙遜してるなあ、思い切って全員見せ合おうよ」
「えー、私のはなのはママが持って帰ってるから見せられないよ」
「あ、そうなんだ」
「うん、インターミッドを頑張った割には出来たかな、って程度だったけど」
「ヴィヴィオの出来たかな、は満点に近いから」
「満点じゃないよぉ、やっぱり所々間違えてるし……」
「実技は素晴らしい出来なの、ヴィヴィオは」
「実技はコロナ並かな」
「コロナの実技は首席か次席かってレベルなの」
「あはは、まあ、成績の話はそれくらいにして、そろそろ夏休みの計画を立てよう」
「賛成」
「そういえば、霧子と泪も来る？　ノーヴェが合宿やるって言ってるけど」
「いつなの？」
「７月の終わり頃」
「それなら地球に行く前だから大丈夫なの」
「インターミッドと、U-15に向けての合宿だって。
　ルーちゃんところの世界でやるから、気兼ねはないよ」
「ルーちゃん？」
「ルーテシアちゃんだよ。ルーテシア・アルピーノ。
　インターミッドで会ったよね」
「ルーテシアさんなら覚えてるよ。
　惜しかったよね、相手も悪かったけど」
「あはは、それは私もだよ。
　順番が違ってたら私が出場できない所だったかも」
「まあ、運も実力のうちっていうし」
「どんな所なの？」
「風光明媚な無人世界だよ。ルーちゃんと、そのお母さんだけが住んでる世界」
「それってすごくない？　世界まるごと手に入れるってどんなお金持ち？」
「んー、まあ、それにも色々と事情があるけど、まあ、そこらは本人が話さないなら
　プライベートなんだよ」
「色々あるんだね」
「それで、コロナとリオはもちろん参加でしょ」
「もちろん」
「家に言って許可がもらえたら」
「アインハルトさんと、ミウラさんは？」
「そこらも含めて、一旦ジムに行こうよ。
　ノーヴェから詳しい説明があると思うから」
「賛成！」

そういう訳で、私達はノーヴェが経営するジムへ向かうの。
ジムでは、一般のお客さんが汗を流してるの。

「よぉ、待ちかねたぞ、アインハルトとミウラはもう来てる」
「ノーヴェ、私達、遅くなりすぎた？」
「遅すぎる、ってほど遅くはないが、早いとは言いがたいな。
　まあ、遅めかもしれん。
　それはいいから、着替えて練習場に集合。
　夏休みに入るからって、練習を休むとそれだけ後戻りしてしまうぞ」
「はい」

着替えて練習場に集合したら、もうアインハルトさんとミウラさんはアップも終わってたの。

「じゃ、軽くアップしたら、合宿についての話をするぞ」
「はい」

アップは軽めにといっても、柔軟もしっかりするの。

「よし、全員そろったな。
　来週から一週間お嬢んとこで合宿する。
　ここのメンバーは全員参加予定って向こうには言ってあるからな。
　参加できない事情が出来たら、早めに言ってくれ。
　向こうにも準備があるから」
「ノーヴェ、合宿では何をやるの？」
「まあ、普通にお嬢も交えて練習をするんだが
　遊べる自然環境は一杯だから、練習が終わったらしっかり遊べるぞ。
　お嬢の蔵書も充実してるから、本を読みたければそれもよしだ」
「分かったの」
「どこでやる、とか聞かないんだな」
「それはヴィヴィオから聞いたから」
「そっか、コロナとリオは、あそこへ遊びに行くのは初めてじゃないからともかく
　アインハルト、ミウラ、霧子、泪は初めてだよな。
　まあ、期待して良いぞ、期待以上のいい世界だ」
「はい」
「よし、合宿の話はここまで、今日の練習開始だ。
　とはいえ、今日は早めにきりあげるぞ。
　夏休みに入ったばっかりだから、気分も盛り上がってるだろうし
　宿題もしっかり出てるだろうからな」
「宿題は出てるの」
「よし、じゃあ今日は早めに切り上げて宿題にとりかかれるようにしような」
「はい」

普段より短くても、強度はいつも通りの練習があったの。
練習が終わったら、寮に帰って宿題なの。

「ヴィヴィオは家で宿題？」
「早めに帰らないと、今日はなのはママが待ってるから」
「分かった、じゃ、また明日」
「また明日なの」
「コロナとリオは？」
「私達も家に帰らないといけないから」
「ま、終業式当日だし」
「そうだね。じゃ、また明日」

宿題は面倒でも、しっかりやらないと、二学期頭になく目に遭うの。
こっちの世界の宿題は、パパやママに手伝ってもらえないし
当然、自分達の力でやらなきゃいけないの。

「できるだけ早く終わらせて、合宿に持ち込まないようにしよう」
「さすがにそれは無理だと思うの」
「最後の一週間にぶっどおしでやる人もいるんだから、最初の一週間に
　気合い入れてやることも出来るはずだよ」
「あはは、そうかもしれないの」

先苦後楽か、先楽後苦か、面倒なことは先に済ませておいた方がいいの。
少なくとも、宿題は先に終わらせても増えないの。


　

 

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