ロンギヌス・スピアのチャージ時間は2分ちょっとなの。
完全に休養してチャージすればもっと短くできるの。
でも、戦いながらチャージするんだと、どうしてもこのくらいの時間になるの。
それでも、練習して短くしたの、でも、チャージしてる分パワーは当然チャージしてない時より落ちるの。

ヴィヴィオもそれは知ってるの。だから、チャージ完了までがヴィヴィオの時間なの。

最初の2分近くは、ヴィヴィオは魔法弾放ちながら間合いを保ってたの。
でも、チャージ完了が近づいてくるとヴィヴィオは作戦を変えたの。

それは一瞬。
私がチャージ完了に近づいたのを確信して間合いを詰める動きから、間合いを開く動きに変えたその瞬間。

ヴィヴィオは前に出てきたの。
私はこれをロンギヌス・スピアで迎え打つけど、ヴィヴィオはそれをシールドで直撃しないようかわすの。

間合いに入られる！
できることは2つに一つ、間合いを開き直すか、それとも……

私の決断は反射的だったの。
ロンギヌススピアに頼った戦いから、格闘戦へと切り替えるの。
間合いはまた開くことがあるかもしれない。でも、スピアに頼って連打を受けたら持たないの。

ヴィヴィオはちょっと意外そうな顔をするの。
きっと、私が間合いを開くと思ってたんだろうと思うの。
けど、ヴィヴィオに迷いは無いの。自分の間合いに入ったと考えて、クロスレンジからの連打が始まるの。
この間合いだと、ヴィヴィオの方が私より一日の長があるの。
私は間合いを開け直す方が有利なのは分かってるの。
だけど、ここはヴィヴィオの考えの裏をかく！

ガードを固めてヴィヴィオの動きを見きりにかかるの。
ヴィヴィオもガードの上から無駄な打撃は加えず自分の間合いを維持しつつこちらの反撃を封じるジャブを繰り出してくるの。

だけど、ヴィヴィオには一撃必殺の攻撃は無いの。手数で埋め合わせないと無理なの。
だから、私は一撃受けることを前提でさらにヴィヴィオの、前に出るの。

ヴィヴィオは私の動きに気づいてカウンターを放とうとするの。
普通の攻撃が目的なら、ヴィヴィオのカウンターは決まったはずなの。

でも、私の狙いは殴ることでも、蹴りでもないの。
まず体当たりでヴィヴィオの体勢を崩すの。
それから大きく下がって間合いを開き直すの。

ロンギヌス・スピアのチャージは完了済み。
そして、開きなおしたこの間合いなら撃てるの！

「ゴッドスレイヤー！」

ロンギヌス・スピアからチャージした一撃がヴィヴィオを襲うの。
これは確実にヴィヴィオを捕らえたの。
ヴィヴィオへのLPダメージは、でも、大して無かったの。
ヴィヴィオもこれは見えてたみたいで、セイクリッド・ディフェンスがきれいに決まったようなの。

ヴィヴィオは、死角からの攻撃には打たれ弱いけど、見えていればセイクリッド・ディフェンスで攻撃を撃ち返せるの。
私の攻撃は死角からの一撃にはならなかったみたいなの。

残り時間1分。
もちろん、チャージしている暇は無いの。
だから、ここからは普通の戦い。ロンギヌス・スピアで間合いを保ちつつ、なんとかヴィヴィオの死角から攻撃を入れることを考えるの。
あるいは……

ここでゴングが鳴るの。
第一ラウンド終了なの。

「惜しかったね、だが、狙いはあれでいいよ。
　4ラウンドあれば、ヴィヴィオの魔力を削りきる事も不可能じゃ無いはずからね」
「分かったの。
　毎ラウンド、一撃は入れるの」
「よし、この調子でやればいいよ
「分かったの」

ヴィヴィオもノーヴェから助言を受けてるみたいなの。
どんな助言かは分からないの。
でも、私の戦い方はノーヴェも知ってるはずなの。
その対策は、考えても始まらないの。

第二ラウンドのゴングが鳴るの。

私はまたチャージにかかるの。
ヴィヴィオはこんどは無駄に魔法弾を撃たないの。
どうやら、魔力を温存してるようなの。

お客さんからは失望したようなため息が漏れてるの。
でも、今はお互い力を温存している時なの。
私は、チャージのために。ヴィヴィオは、多分セイクリッド・ディフェンスからのカウンターのために。

私は、誘うのは最終第四ラウンドに回して、セイクリッド・ディフェンスの上から覚悟でロンギヌス・スピアのチャージをぶちかますの。
ヴィヴィオはセイクリッド・ディフェンスでこれを迎撃、そこまでは私の予測通りなの。
でも、その次が私の予測を超えてたの。

ヴィヴィオの前に光球が現れるの。
それも、だんだん魔力を吸収して大きくなるの。
これは一体なんなの？

間合いを開くか、詰めるか。
撃たれる前に詰める！

「迷った分だけ遅れた！
　貫け星の輝きをもって、スターライト・ブレイカー！」

これは講義で習ったことがあるの。集束魔法なの。
分散している魔力を集めて放つ、相手の放った魔力も使う大技なの。
でも、それをヴィヴィオが身につけてるのは初耳なの。

突っ込んでいる分かわしきれないの。
だから、私はバリアでこれを受け止めようとするの。
だけど、あっという間にバリアが砕けるの。
どうやら、この魔法はバリアブレイクの能力もあるみたいなの。

ヴィヴィオの言うのが正解。迷わず前に出なければこれは詰んでた。

LPが0になるまで削られるの。
勝負あり。今日も私はヴィヴィオに負けたの。

 

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