雲野霧子の留学
【第一章】
〜異世界へのお誘い〜

 
私の名前は雲野霧子。もうすぐ小学4年生。新学期を待つ身なの。
そんなある日、品川第2小学校へ、お客さんが来たの。

「泪、泪も呼ばれたの?
「そうなんだよね。一体何事なんだろう」
「わかんない。遠くからのお客さんだって聞いてるの」
「どのくらい遠くなのかな」
「会ってみれば分かると思うの」
「それを言ったら全部だって。まあ、取って食われはしないんじゃないかな」
「食われたら人食い人種なの」

そんな会話をしながら、学校の応接室に行くの。
応接室に招かれてるなんて、なかなかハイレベルなお客さんみたいなの。

「こんにちは、お久しぶりです」
「こんにちは、お久しぶりね」
「クロノ執務官、リンディ提督、お久しぶりです」

お客さんは、クロノ執務官に、リンディ提督だったの。
二人は異世界、ミッドチルダの住人なの。
だけど、一体二人がわざわざ私達になんの用事なのかは分からないの。

「早速だけど、要件を話したい」
「かまわないの」
「雲野霧子、柊泪、二人をミッドチルダに一年間留学させたいと思ってる。
 交換留学生として、フェイト=テスタロッサと、ユーノ=スクライアを一年間
 この学校に留学生として送る」
「フェイトとユーノ君が来るのは確定事項なの?」
「ほぼ、確定事項ね。あなたたちのご両親には、あなたたちと話をした後に
 説明するつもりなのよ」
「それはいいんですけど、一体なんでまた留学なんて話になったんです?」
「それは僕から説明する。
 現在、第97管理外世界、ここの言葉で地球は、魔法文化レベルCということになっている。
 本来なら管理局が交流するのは魔法文化レベルBの、次元転移能力を持っている世界なんだが
 第97管理外世界は、すでに我々との接触を果たしてしまった。
 それで、時空管理局評議会は、第97管理外世界の魔法文化を向上させ
 魔法文化レベルBへと引き上げることを決定した。
 そのことについては、第97管理外世界を構成する主要機関とも調整済みだ」
「調整済みなら、いろんな国の人を留学させればいいと思うの」
「いきなりそれは危険だ。予期せぬ問題を引き起こす可能性もある。
 それで、すでに我々と接触している、君たち二人を交換留学の先鞭として受け入れたい
 君たちなら、魔法についてもまごつくことはないだろう」
「魔法って言われても、ぴんとこないんだけどな」
「それもそうね。だけど、それも含めて見聞するのが留学じゃないかしら」
「事情は分かったの。フェイトとユーノ君がこっちに留学するのも
 私達と接触した経験があるからだと思うの。
 だけど、向こうの生活はどうなるの?」
「それについては心配いらない。魔法文化レベルについては大きな差がこの世界と
 ミッドチルダには認められるが、生活文化のレベルは大差がない。
 こちらで暮らすのと大差なく、向こうでも生活できるはずだ」
「レクチャーとか受けられる?」
「それについても心配はない。君たちの安全については、管理局が保証する」
「保証されても何が起きるか分からないと思うけどな。
 でも、楽しそうじゃあるよね、霧子」
「そうは思うの。だけど、パパやママの許可が得られるかどうかは分からないの」
「それについては、あなたたちが心配しなくても大丈夫よ。
 私達の方でちゃんとお話しします。
 1年間ずっと向こう側っていう訳じゃなくて、ちゃんと途中里帰りもできるよう
 スケジュールはできているから、そういうことも心配しなくて大丈夫よ」
「分かりました、リンディ提督」
「では、僕たちはこれで失礼する」
「では、良ければまた明日会いましょうね」
「明日?」
「私達もあまり長く滞在できないから、片付けられることはできるだけ早く片付けたいのよ」
「分かったの」

リンディ提督とクロノ執務官は、これで学校を後にしたの。
これから、二人はパパやママや泪のパパやママに話をするの。

「留学か、霧子は行くの?」
「まだ分からないの。だけど、フェイトと交換だと、やっぱり会えないなって思うの」
「そうだね。だけど、向こうに行けばまた別な出会いがあるよ。
 それに、フェイトちゃんと会えないってこともないだろうし」
「里帰りが交換って決まったわけじゃないの。だから、会う事もあると思うの」
「決まり、じゃ、親の許可が取れたら行くってことでいいかな」
「いいかなって、泪はもう行くつもりなの?」
「何事も経験だよ、霧子」
「それはそうなの」
「だから、経験してみようよ、異世界っていうのを」
「だけど、異世界に行ってもここと生活文化が変わらないなら、刺激は少ないかもしれないの」
「あはは、まあ、生活文化は何かしら違いがあるよ。行ってみないと分からないよ」
「そうは思うの。行ってみないと分からないことはたくさんあると思うの」

こうして、私達は4月から、留学生としてミッドチルダに行くことになったの。
ミッドチルダでは、全寮制の学校に通うことになってるし、寮は泪と同じ部屋だから
そういう意味では心配はないの。

「だけど、まずは3学期をこなさないとね」
「そうなの。終業式が来たら、向こうに出かける準備なの」

向こう側、ミッドチルダでの新生活は、次の章の話になるの。
 

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