私の名前は雲野霧子、小学三年生。ここ一週間は寝不足で学校の授業中に居眠りしては先生に怒られてるの。
これは友達の柊泪も一緒、二人とも、朝早くと夜遅くには、オーギュメントを使った飛行戦闘の特訓をしてるの。
昨日は泪と一緒に特訓を受けました。まだまだパパや誠志郎おじちゃんには及びませんが、そろそろ実力も付いてきたと
パパからは言われたの。

「ほら、また居眠りしてる。睡眠時間削ってやってることがあるのは分かるけど、授業もちゃんと聞かなきゃダメだからね」
「はい、先生」
「返事が良くても、居眠りしたらダメよ」
「はーい」

うちの担任は、壬生由佳里先生なの。。
知られている中では最強の能力者。だから隠し事をしてもすぐばれるの。
別に隠すことでもないので、パパ達との特訓は話しをしてあるの。。
由佳里先生は、するなとは言わなかったの。

でも、やっぱり眠たいの。
昼休憩はお昼寝タイムなの。

そしてやってくる放課後。私達は、オーパス探しはやっぱり毎日やってるの。
P-3も一緒なの。オーギュメントとして使えるのは十夜パパだけだけど
独立したデバイスとしての能力もあるから、手伝ってくれてるの。

「でも、最近野良ディゾナントも見つからなくなったね」
「私もそう思うの。だけど、東京に全部落ちたらしいっていうのは
　霰おばちゃんも言ってたし、本当の事だと思うの」
「東京も広いよね」
「せめて品川区だけに落ちてくれれば良かったと思うの」

ぼやいてても始まらないの。
それで、今日も電車に乗って遠出するの。

「神奈川や千葉まで行かないとダメかな」
「東京を探して、それでダメならそうかもしれないの」
「まずは、東京探しだよね」
「そうなの」
「二人とも、反応を見つけたの」
「本当？　P-3」
「かなり大規模なSC空間を見つけたの。あの子達とは違うかもしれないけど、
　その可能性はかなり高いと思うの」
「じゃ、すぐに行くの
「でも、電車じゃSC空間の中に入れないよ」
「オーギュメントを使って突入するの。
　空を飛んでいけば、P-3の表示を見る限り、そう時間はかからないはずなの」
「分かった、霧子」

私達は、P-3を持って、特訓で身につけた飛行でP-3の示す場所へ突入したの。
そこで見た物は、私達の想像を超えてたの。

「何しに来た」
「何しにって、SC空間を見つけたから来たの」

SC空間の中では、すでにフェイトって子と、アルフってお姉さんとが、
時空管理局執務官を名乗ったクロノって人と戦闘状態にあったの。

「もう君たちの出る幕じゃない。時空管理局はこの件について、第97管理外世界と協定を結んだ。
　ロストロギア、ジュエルシードについては、第97管理外世界と、時空管理局とで共同管理することになった。
　もう、君たちは休んでいいんだ」
「フェイト達はどうなるの？」
「彼女達は管理世界の住人だ、管理局の法に従ってもらう」
「それも協定したの？」
「協定するまでもない話だ」
「つまり、協定はまだできてないって事だよね」
「だったら、どうするつもりなんだ？」
「フェイト、あなたはどうしてジュエルシードを集めてるか、ママから聞いたの？」
「聞いたけど教えてくれない。だけど、かあさんが必要としてるなら、私は、そうする」
「ジュエルシードは次元振を起こす危険なロストロギアだ。次元振の恐ろしさは
　管理世界の住人なら分かるだろう」
「かあさんは、だからこそ必要だって言ってた。
　新しい次元エンジンに必要なパワーを与えてくれるのは、ジュエルシードだけだって」
「次元エンジンって、何？」
「あなたたちには関係ない」
「次元エンジンだって！　まさか……」
「クロノ、まさか、どうしたの？」
「次元振を使えば、時空世界以外の世界に跳躍できるという話を聞いたことがある。
　まさか、プレシア＝テスタロッサは、それを実現しようとしてるのか？」
「知らない。だけど、かあさんは次元エンジンを作ってるって教えてくれた。
　なんのために次元エンジンを作ってるかは分からないけど……」
「それが肝心だと思うの。次元エンジンで何をするつもりか教えてくれなかったの？」
「教えてくれなかった。だけど、かあさんはそれにすべてを賭けてるって言った。
　だから、私はジュエルシードを集める」
「その、かあさんはどこに居るの？」
「教えられない。どのみち、あなたたちにはたどり着ける場所じゃない」
「だけど、時空航行船に行けない場所じゃないはずだ。
　ロストロギアの不正使用をもくろんでるのなら、管理局はそれを阻止する義務がある」
「かあさんは、不正に使うわけじゃない。かあさんは安全に使用出来るって言ってた」
「時空管理局がロストロギアに指定したんだ。許可無く使えばそれだけで不正使用だ」
「許可はいずれ下りるってかあさんは言ってた。許可なしで使うつもりはかあさんにも無いはず」
「今集めるのだって……」
「問答無用」
「フェイト、待って欲しいの。次元エンジンで何をするか本当に知らないの？
　知ってるなら教えて欲しいの。事情次第じゃアインハルト先生や空木教授だって貸してくれないとは言わないかもしれないの」
「話し合う必要なんてないよフェイト。っていうか、もう逃げようよ。あの人からも、時空管理局からも。
　前ジュエルシードを持ち帰ったときだってあの人は……」
「かあさんの事、悪く言ったら、アルフでも許さない」
「だけど、あの人がフェイトにやってることは、虐待じゃないか！」
「アルフ、プレシアがフェイトに何をしたっていうの」
「泪、別になんでもない」
「なんでもないことないよ。あの人はフェイトを憎んでるとしか思えない。
　あの人は……」
「かあさんは不器用なんだよ。それに、ジュエルシードを全部集めれば……」
「それは管理局が許さない」
「管理局と地球とで協定したのは、共同管理のはずなの。
　管理局だけが勝手に決めていい事じゃないの」
「とにかく、ここにあるジュエルシードは全部持って帰る。かあさんは21個全部を求めてる」
「一つも渡すわけにはいかない。これはロストロギアなんだ」
「フェイト、ママから何をされたの？　アルフがああまで言うのなら、何かあったんでしょ」
「私の頑張りが足りないから、お仕置きされただけ。
　たいしたことじゃない」
「お仕置きってなんなの。　夕飯抜き？」
「足腰立たなくなるまで、むち打つのはお仕置きなんてものじゃないよ、フェイト。
　あの人と一緒に居たら、フェイトはいつか殺されちゃうよ」
「私がジュエルシードを集めて持って帰れば、かあさんも笑ってくれるはず」
「だから、それを渡すわけにはいかないんだ。
　それは危険なものだし、その次元エンジンだって、事故を起こすかもしれない。
　第一プレシア＝テスタロッサがエンジン会社を退職したのだって、不具合のある魔道炉を会社が強引に動かしたからだ」
「！……」
「フェイト、どうしたの？」
「ごめん、アルフ、ちょっとめまいがしただけ」
「それ、どういうことなの？」
「フェイト、君は本当にプレシア＝テスタロッサの子どもなのか？」
「そうだよ。かあさんがそう言ってる」
「だとすると、計算が合わないんだ。
　プレシアが事故を起こしたのは5年前。
　フェイトは見た目10歳前後に見える。
　だけど、5年前にフェイトなんて娘はプレシアにいない。
　5年前に4歳の娘はいた」
「それなら計算は合うはず」
「合わないんだ、そのときいた娘の名前はアリシア。アリシア＝テスタロッサ。
　そして、アリシアはプレシアの一人娘だった。フェイトという娘は5年前にはいないんだ」
「そんなの関係ない、私にとってプレシアかあさんはただ一人の肉親。
　第一、私が5年前にいなかったとしたら、私は一体どこからきたことになるの？」
「分からない。だけど、5年前、プレシアの一人娘はアリシアだし、フェイトが本当にプレシアの実の娘なら
　5歳以下でなければ計算が合わない」
「私は……」
「フェイト、逃げるよ」
「逃がさない。フェイトもアルフもここで捕まえる」
「捕まえてどうするの？」
「プレシアの居場所を教えてもらう。
　プレシアがやってることは、控えめに言っても危険だ」
「控えめに言わなければ？」
「世界をまとめていくつも吹き飛ばしかねない行為だ。
　時空管理局は、それを看過できない」
「まって」
「僕を邪魔するのか」
「……フェイト、アルフ、行って」
「だけど、まだジュエルシードが、管理局の手に……」
「そんなこと言ってる場合じゃない。今は執務官が一人で来てるけど
　すぐに武装隊がやってくるよ。
　そうなる前に逃げないと」
「……分かった、アルフ」
「逃がさない」
「クロノ、今は逃がしてあげて欲しいの」
「断る」
「じゃあ、腕ずくでも」
「泪、君は……」
「私も同じなの」

フェイトとアルフはSC空間を脱出して跳躍したの。

「なんてことをしてくれたんだ君たちは」
「でも、プレシアの居所を知りたいんでしょ、クロノは」
「それはそうだ。だからこそ、あの二人を捕まえる必要がある」
「だから逃がしたんだよ。
　ジュエルシードがある限り、あの二人はかならずまた現れる」
「それは憶測に過ぎない」
「それ以前に、フェイト達の拠点って、どこにあると思うの？」
「分からない。分からないからこそ、捕まえる」
「だからこそ、逃がしたんだよ。
　P-3、あの二人がどこに行ったか分かる？」
「泪、それなら追跡中なの。
　もうあの二人の存在波は覚えたの。
　あの二人が、こちらを調べようとすれば、かならず見つけられるの」
「存在波を……ああ、魔力波動を君たちの世界ではそう呼ぶのか」
「魔力波動がどんなものか分からないから答えられないの」
「魔力波動なら僕たちでも把握してる。それと君たちが逃がしたことの意味が……」
「存在波で一度むすび合わされた物は、離れていても存在波同士でむすび合わされるの。
　そして、私なら、トーヤ君が援護してくれる限り、存在波でむすび合わされたものの
　反対側まで見通すことができる」
「それが何を意味する？」
「簡単なことなの。プレシアがどこに居るかは分からなくても、あの二人がどこにいるかなら
　トーヤ君が教えてくれる。
　私のサポートがあれば、トーヤ君は見つけることができる」
「その、トーヤ君というのは？」
「私のパパなの」
「……今すぐ、あの二人を見つけて欲しい。
　リンディ提督にいって、アースラスタッフ全員で二人を拘束する」
「それはできない相談なの。
　あの二人はこちらで身柄を預かるつもりなの」
「それについては、また協定する。いずれにせよ、ロストロギアの違法蒐集を放置はできない。
　あの二人は、かならず捕まえる」
「分かったの。捕まえてから、身柄のことはまた話すの」
「いいだろう」

クロノもまた、跳躍して消えたの。
私達も急いで帰らないといけないの。
どうやら、フェイト達を捕まえるための戦いは、否応なしに始まったみたいなの。

 

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