「なにぃ。床を引っぺがして持ち上げただとぉ」
「いっきますよぉ、番長！」

あいつ、なんて馬鹿力なんだ、床を引きはがして持ち上げやがった。
くそっ。こっちはバインドブレイクが終わってなくてまだ回避するってわけにいかねえ。
けど、腕は動く、ならやることは一つしかねえわな。

……引きつけて、叩く。

「パイルバンカー！」

固体プラズマ砲だ。普通の砲撃じゃばらけた岩塊が溶けてこっちにやってくるなんて冗談みたいな展開になるからよ。
固体プラズマ砲の運動エネルギーを使って打ち返して吹っ飛ばしてやらねえとな。

「なにげに高等技術をつかってきますね」

「！」

声が後ろからする、ってことは今のは目つぶしかよ。
お子様って思って油断したってのか？　このあたしが。

「虎心掌！」

まともに掌底を食らった、けど、その反動でバインドは完全に破壊した。
ついでにリオに向き直る、体勢を整え……る暇がねえ、ここは奴の間合いだ。
砲撃で間合いを取り直さないと……遅いか。

「絶招……紅蓮吼牙！」

至近距離からの火炎砲撃魔法だ。防御魔法を入れたとはいえまともに食った。
まともに吹っ飛ばされる。これが春光拳って奴か。
なかなかやるな。……けど、これが天なら、そこまでだぜ、リオ・ウェズレー。

「ダウンしないんですね、番長」
「まあな、このくらいで倒れてちゃ、世界にいけないからよ。……さてと、こっからは、あたしのターンだ。
　行くぜ相棒」
「ヒートチェーンですか。……すごい熱気ですね」
「まあな、けど、この程度でびびってるようじゃ、この先思いやられるぜ」
「びびりはしませんよ……ソル」
「Yes」

向こうも剣を装備か。拳だけが武器ってわけじゃないんだな。
が、まあ、相手がどう出ようとこっちのペースでやるだけだ。

「行くぜ！　レッドホーク！」

ヒートチェーンを矢のように打ち出してリオの奴に向かわせる。
リオは剣でこれをはじくが、まあそんな奴ならなんども対戦したことはある。
はじくだけはじかせて、動きを制限していけばいい。
動きが止まったなら、一気に決めてやる。

どうやら、向こうもそれはわかってるみたいだった。
動きが止まった瞬間、猛然と突進してくる。
何か切り札でもあるってのか？

「雷光拳！」
「ヘッドバッド！」
「つぅ……」
「悪いな、たかピーお嬢対策で電撃じゃ倒れないように訓練しておいたんだ。
　才能はすごいが……あたしもここで負けてやるわけにはいかないんだよ。
　てか、動きが止まった、な」
「！」
「遅いっ！」

まともに突きが入った。
リオの奴の体勢が崩れる。

「うあ」
「相棒、行くぜ！」

ヒートチェーンをリオに巻き付ける。
そして、一気に振り上げ、床にたたきつける。
……きまらねぇか、けど、ダウンはとった。

『カウント１，２，３……』

「立つんじゃねぇぞちびっ子……あんまガキいじめる趣味はなくってよ」

『…７，８』
「そうは行かないですよ番長。まだ、やれることは残ってますから」
「そっか、やっぱそうだよな。因果なもんだぜ競技選手ってのは。
　どんなにぼろぼろになっても、たてる体力、気力が残ってたら、立っちまうんだよな。
　相手が誰でも負けて泣きたくないからよ……けど、立ったからにはちびっ子じゃねぇ。
　れっきとした競技選手だ。競技選手として扱うからよ。なくんじゃねえぞ」
「もちろんです、泣きません、いえ、この勝負、勝って泣きます」
「よく言った、行くぜガンブレイズフルバースト！」
「双破龍神翔！」

砲撃合戦で勝つつもりか。いい度胸だぜ。

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