「ニャル子、何やってるんだ？」
「何って、見たら分かるじゃないですか、情操教育に役立つコンピュータゲームですよ」
「素直にエロゲって言え。っていうか高校生がエロゲなんてするな」
「いやー、中等部の子と会話が盛り上がっちゃいましてね〜このゲームをどうしても今日中にフルコンプしたくなっちゃったんですよ」
「……ちょっとまて、なんで中等部の子と会話が盛り上がったら、エロゲをフルコンプする事になるんだよ」
「エロゲ好きの女の子は嫌いなんですか、真尋さん」
「エロゲ好きの女の子が嫌いなんじゃなくて、中等部の子と会話してエロゲに結びつくおまえの発想が異常なんだ」
「中等部の子とエロゲの会話で盛り上がっただけですよ真尋さん」
「そっか。妹ものの好きな中等部の子がいたんだな」
「ええ、お兄ちゃん、って呼んでくれるのがとっても可愛いんだそうですよ真尋さん。
そうだ、私もこれから真尋さんのことをお兄ちゃんって呼びましょうか」
「呼ばんでいい。っていうか、単にお兄ちゃんって呼んでほしいだけなら全年齢版をやれよ、なんでエロゲなんてやるんだ」
「全年齢版も１８禁版もやってこそのファンじゃないですか」
「そういう問題じゃないだろ」
「やだなあ真尋さん、マニア心が分かってないですよ」
「分かってないって……ところで、その中等部の子って、誰なんだ」
「弁慶先輩の妹ですよ」
「そっか……って、弁慶先輩の妹？ 妹？」
「そうですよ、どうかしましたか？」
「弁慶先輩の妹って、確かボクシングの世界チャンプじゃなかったっけ？」
「そうとも言ってましたけど、それがどうかしましたか？」
「……イメージが結びつかない……」
「気にしたらいけませんって……っと、ほら真尋さん、エンディングですよ。あと６人攻略したらフルコンプです」
「あと６人いるのかよ。一体何人攻略すればいいんだこのゲーム」
「１２人です」
「１２使徒かよ……」
「これ、続編だと前作主人公が死んじゃうんですよね」
「どんな黒いゲームだよ」
「大丈夫ですよ、ちゃんとエンディングで生まれ変わりますから」
「どんなゲームだよ」
「エロゲだからって突っ込んじゃいけないですよ」
「いや、そういう問題じゃないから」
「……で、このゲームは、弁慶先輩の妹が特に推奨してたのか？」
「そうですよ。いやー、一度はプレイしてたんですけど、フルコンプはしてなかったですからね〜」
「おまえでもフルコンプしてないゲームってあるんだな」
「人をなんだと思ってるんですか。アニメをチェックして普通のゲームをプレイしてエロゲやって真尋さんを守ってたら
時間はいくらあっても足りないんですよ。一人攻略しただけで積んでるゲームだってあるんですってば」
「そっか。少しはおまえのことを見直したよ」
「どういう意味ですか」
「素直に受け取っておいてくれ」
「……なんか納得いかないです」
「さてと、クー子とハス太は居間でゲームやってるみたいだし、晩飯作ってくるかな」
「お願いするですよ」
翌日。
「真尋さん、部活も終わったし、帰るですよ」
「そうだな、ニャル子」
「ニャル子、一緒に帰ろ」
「なんでクー子が待ってるですか。あんたは帰宅部でしょうが」
「真尋くん、お疲れ様」
「ハス太、待ってたんだ」
「図書室で勉強してただけ……」
「クー子はなにしてたですか」
「携帯ゲーム……」
「学校に持ち込むな」
「学校の外でやってた」
「うちは校則ゆるいからなあ。スマホも禁止じゃないし」
「そういう問題じゃないですよ」
「あ、いた、ニャル子、ちょっといいか？」
「弁慶先輩じゃないですか、何事ですか？」
「何事、というほど大事でもないんだが、ちょっと相談事があるんだが、いいか？」
「いいも悪いも聞いてみないとわからないですよ」
「それもそうか。ほかじゃないがうちの妹のことなんだが」
「妹さんって、あのエロゲ好きの妹さんですね」
「ニャル子、その表現はまずいだろ」
「暴力妹と言われるよりある意味ましかもしれないからいい。
ともかく、そいつがヲタクな集まりを開きたいらしいんだよ。
場所は端池さんちの喫茶店でいいと思うんだけど
ほかの段取りとか全然わかんないから、手を貸してほしいんだけど
俺じゃ全然わかんないからさ」
「そういうことならお任せください、銀河中から……」
「銀河中から集めんな！」
「痛いです真尋さん……」
「誰が来るかは決まってるんですか？」
「友達を呼ぶって言ってたからそのあたりは大丈夫なんじゃないかな。
もちろん、そっちで参加したい人がいれば参加してもいいとは思うけど
そこらは妹に聞いてくれ」
「分かりました。ニャル子、そういうわけだから準備を手伝う方向でがんばれよ」
「はーい、真尋さんがそう言うなら……」
そういうわけで、弁慶の妹のオフ会の手伝いをする事になった真尋たちであった。
とはいえ、弁慶の妹の友達に誰が来るのか、それはまだ分からない。