ここは、いつもの生徒会室。

「あんまりいつも、って場所じゃないよね」
「いつも九羅香様と相談する場所はアパートですものね」
「そだね。けど、５月だし、新入生とかも落ち着いてくる頃だし、そろそろ生徒会でもなにかイベントを
　やってもいいころじゃないかと思うんだけど」
「４月にお花見をやったばかりだと思いますけど……」
「それはそれ、これはこれ」
「この学校、学校行事が手薄だから生徒会でイベントを企画しないといけないもんな」
「玲奈様、どこから現れてるんですか？」
「ん？　４階の窓からだろ、きにすんなよ。上から数えりゃ２階だぜ。たいしたことないじゃないか」
「上から数える物じゃないと思うけどなあ……」
「ま、剣道部も協力するし、なにかイベントやろうよ。どうせ６月になったら雨降りで外に出かけるなんてこと
　できなくなっちゃうんだしさ」
「それもその通りなのですけど……そういえば、遠足はどうでしょうか」
「遠足かぁ……それもいいね」
「小学生みたいないいかただな」
「まあまあ、遠足っていう言い方が気に入らなかったら、ハイキングでもいいよ。どこか出かけようよ」
「そりゃいいぜ。みんな誘って出かけようぜ。けど、どこいくんだよ」
「それは今から決めればいいじゃない。どこでもいいよ。山なら」
「ま、あんまり危なくない山にしようぜ。近場で安全なとこ」
「それは当然ですね」
「はい、決まり。じゃ先生との折衝はよろしくね、紅葉」
「わかりました、九羅香様」

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さて、こちらはいつも通りのサバイバルゲーム同好会である。

「そんなことが決まったみたいですが、会長は参加するんですか」
「サバイバルゲーム同好会としては、山登りに参加せんでどうする」
「一応まじめにサバゲーやる気はあるんですね」
「山岳戦はサバゲーの基本だからな。たまには他流試合もやってはいるのだ」
「一人で参戦してどうするんですか」
「まあ、気にするな」
「戦績はどうなんです」
「なおのこと気にするな」
「勝ってないんですね」
「そんなことはないぞ。これを見ろ」
「参加賞じゃないですか……って、まさか……」
「能あるたかは爪を隠すのだよ」
「この学校のメンバーが化け物揃いなんですね……」
「というわけで、我々もハイキングに参加するぞ。そしてもちろんカップルに天誅を食らわせるのだ」
「いい加減それあきらめません？」
「それをやめたら我々の存在意義がなくなってしまう」
「いい加減私を巻き込むのやめてください」
「神機の監視のついでだ。てつだいたまえ」
「あーもう、神機をつけねらう相手はしばらく現れてないってのに、なんでこうなるんだろう……」

忘れた頃に現れることがあるかもしれない、という理由で残留しているさゆりなので、選択の余地はないのだった。

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さて、安全という理由で先生が登山ガイドで選んだ山であるが、その後で楓が占ったところ……

「なんかやな卦が出てるのよね」
「楓、それは本当ですか？」
「楓様もそうなのですか」
「観月もそうなの？　あたしもだわ」
「では、今からでも別な山に予定を変更してもらいましょうか」
「……ううん、事故が起きるとか、そういうんじゃないみたい。
　どうやら、妖魔とか、魔女とか、そういう系統の物の怪が取りついてるみたいね。
　むしろ、私たちの出番よ。行きましょう。久しぶりの化け物退治よ」

こうして、楽しいはずのハイキングは、一転化け物退治の山登りへと姿を変えたのだった。
果たして、生徒会は、生徒達全員をつれて無事に帰ってくることが出来るのだろうか。