ここは、いつもの通りのつぶれ荘

「もう突っ込むのにも疲れた……」
「九羅香様、いちいちつっこもうとするから疲れるのでは」
「紅葉、フォローありがと」
「それで、お姉様、今日はなんのお話ですか」
「今日はって、4月だよ楓」
「4月ですねお姉様。新入生が入ってくる季節ですわね」
「4月と言えばお花見じゃない」
「あら〜九羅香さんは〜はなより団子だと思ってました〜」
「あー、ひどい静ってば〜私だって風流な気分になることだってあるんだよ〜」
「本音はどうなのだ、九羅香殿」
「花見と言えば宴会じゃない、やっぱり」
「結局団子なのだな」
「あはは、ま、そうかも」
「花見をすると決まれば、場所取りとかしなければなりませんね」
「廉也殿はまずそういうことを考えるのだな」
「下働きが長かったですからね、廉也は」
「観月ちゃんさらっとひどい……」
「学校の桜並木を使いますから、場所取りの問題はないでしょう」
「別な問題が発生しそうだけどな」
「別な問題って？」
「ほら、あいつら」
「あいつらって……ああ、あいつらか。でも、今回はカップル関係ないから問題ないんじゃない？」
「無理矢理カップルに結びつけるのがあいつらだろ」
「そうかなあ……じゃあ、こっちも無理矢理カップルに結びつけようか」
「お姉様、そんな煙のないところに火をおこすまねをしなくてもいいじゃないですか」
「いいのいいの、その方がおもしろいし。ていうか楓がメインだし」
「え？　なんで？」
「そうですね。楓が主になった方がいいかもしれませんね」
「なんであたしが主になるのよ紅葉ってば」
「あら〜そういうことですか〜それなら観月さんにも〜一肌脱いでもらわないといけないですね〜」
「わかりました、私にできることでしたら協力いたしましょう」
「え？　なんで観月まで？」
「まだわかってないのだな、楓殿は」
「わかんないわよ。ていうかなんで当事者無視して話が前に進んでるのよ」
「願掛けは〜巫女さんの〜お仕事ですよ〜」
「あ、そういうことね。わかったわ。そういう仕事ならまかせておいて」
「けど、これで確実に妨害は来るわね」
「来るね。けど、普通に花見してても来かねない相手なんだから、少しでも心づもりできてる方がましだよ」
「そんな物かしらね」
「そんな物だって」

こうして、花見会をやることが決まったのであった。
さて、来るに決まってると言われた某同好会の方はというと……。

「などという言われようをしてましたが、会長はどうするんですか」
「そういうことなら、期待に応えねばなるまいが……何をどう妨害すればいいのかわからんではないか。
　カップルができてればともかく、願掛けを妨害しても意味がないぞ」
「言われてみればそうですね」
「しっと団の敵はあくまでカップルであって、片思いはどうでもよいのだよ」
「では、今回は華麗にスルーですか」
「しかし、期待には応えねばなるまい。カップルができれば妨害に行こう」
「カップルができれば、ですか。そううまくいくものですかね」
「わからんが、霊験あらたかならできることもあるのではないかな」
「そううまくいくとも思いませんけどね」
「そのときには普通に花見に参加しておけばいい。そんはせんだろう」
「普通に花見に参加するんですか」
「そうでなければ、カップルがいるかどうかもわからんではないか」
「はいはい、わかりましたよ、まあ、向こうがどう出るか、お手並み拝見ってことで」

こうして、トラブルメーカー達は、普通に花見に参加することになったのであった。
何事もなく過ぎるかどうか、それはまだわからない。