【シナリオ６６】ワルプルギスの夜
ここは、弁慶達が通う学校の高等部の一年生の教室。
そこで占いの結果を待ってるのは、巴まみと暁美ほむら、そして鹿目まどかの３人だ。
「……巨大な何かが近いうちに現れます。はっきりと出てますね」
「巨大な何かが現れる……間違いないのかしら、平先輩」
「間違いありません。心配なら、楓さんにも占ってもらうといいでしょう」
「えと……まみさん、顔色変わってますけど、そんな重要なことなんですか？」
「重要なことなのよ」
「よう、マミ、さっき楓って奴に、獲物がないか占ってもらったんだけどよ、なんか、来るらしいな、あれ」
「ええ、来るらしいわね……ワルプルギスの夜が」
「ワルプルギスの夜？」
ワルプルギスの夜。魔法少女の中で伝説化している魔女。
その姿を見たものは誰もいないとされる。遭遇すれば命はないからだ。
つまり、それだけ強大な魔女だと言うこと。これほど強力ならもはや結界の奥に潜む必要すらない。
現実空間にその影響を及ぼしてつきすすんでくる。
「とまあ、ワルプルギスの夜についてボクが知ってるのはこれぐらいだね」
「キュゥべえでも知ってるのはこれぐらいのことかぁ。なにかもっと知らないの？ 弱点とか、苦手なものとか」
「そんなものがワルプルギスの夜にあるかどうかさえボクは知らないよ」
「そうなんだ。それで、ワルプルギスの夜が現れたらどうなるの？」
「大規模な自然災害が起きたように人が死ぬことは確実よ。原因不明の自殺や、失踪事件が魔女の仕業だとするなら
大規模な自然災害がワルプルギスの夜の起こす災厄だから」
「そんなものと戦わなければならないんですか？」
「それも魔法少女の戦うべき敵の一つなのよ」
「やるしか、ないよね」
「そうね、やるしか、ないわね」
「いつ、どこに現れるか、占いには出てるんですか」
「そこまでは占いにも出てなかったわ。近いうちにこの町に現れる、ということしかわからなかったみたい」
「ま、今回は協力してやるよ。別個に戦って各個撃破っていうんじゃ格好つかないもんな」
「よろしく頼むわ。杏子さん」
「ま、任せときな」
「さて、さゆりくん、ワルプルギスの夜なる魔女が現れるそうじゃないか」
「そうですね。どう考えてもカップルとは無関係みたいですけど」
「……その通りだな。我々とは無関係な存在のようだ。倒せば恋愛成就という
便利な機能もなさそうだし」
「それでも、自然災害を引き起こす凶悪な存在ですよ、見過ごすんですか？」
「それ以前に、私に何かできると思うかね」
「思いません」
「言い切ったな」
「事実ですから」
「……まあ、事実ではあるのだが……」
「なら、おとなしくしておいてください」
今回、どう考えても会長に出番はないのであった。
「っていうわけでさ、あたしらにも出番はあると思うんだよ」
「そうだな、俺たちの街を守るのに、魔法少女だけに任せてはおけないだろうし、俺たちもきっと戦えるだろう」
「そうだね、弁慶」
「私たちは足手まといにならずに済むのでしょうか」
「そこは、まず魔法少女達にきいてみてからでしょ、紅葉」
「足手まといに〜ならないよう〜がんばるんですよ〜」
「珍しく静さんが精神論ですね」
「ふふ、そうですね」
「我々も普段から鍛えている。足手まといにはならぬさ、きっと」
弁慶達は意気軒昂である。
からんからん。
「こんにちは」
「来たか、コオル」
「おじゃましてるよ」
「……いらっしゃい……ませ……」
「いらっしゃい〜コオルちゃん」
「早速本題で悪いんだけど、私たちも、ワルプルギスの夜対策で手伝えることないかな」
「ワルプルギスの夜対策？ 危険だよ、わかってる？」
「わかってる、だけど、じっとしていても危険」
「うーん、魔法少女達に相談してみるぐらいのことはできると思うけど……」
「決まりね」
召喚少女達の話は早かった
ワルプルギスの夜、魔法少女の中で伝説になるほどの強さを持つ魔女。
それが現れればきっとこの町もただでは済まない。
それを聞いて、有志も集まりつつあった。