ここは、弁慶達が通う学校の生徒会室。

ここでは、公園に見つかった歪み対策のために

アデルバートとその妻綾子、コオルに５人の召喚少女に

生徒会を代表して紅葉が、魔族軍を代表してバローが、そして

王国軍からは、ヒルダ参謀が参加していた。

 

「お父さん、つまり、公園に歪みの中心があるってこと？」

「そういうことだコオル、リドラスヘイドへの帰還も、あの公園を使うのが

　一番早いだろうな」

「私たちが帰ってくる場所も、あの公園の事がおおいわね、ね、卯月」

「そうだね、まどか」

「あの公園には〜何かあるんでしょうか〜」

「マキ、何かあるかどうかは、この際関係ない」

「…あ、あの…お姉ちゃん…何かがあるから中心…という可能性も…」

「結さん、俺もその可能性は考えた。けど、あそこが中心になったのは

　ある意味偶然みたいだな」

「けど、放置すると危険なんですよね」

「そうだな、紅葉さん」

「あなた、それで、これからどうするつもりなんです」

「そうだな、我々としても、アデルバート殿の手は借りたい」

「将軍は、今でも魔族軍との共同作戦には不満を持っているようです。

　ですが、将軍も理性の声を聞けない訳ではありません。

　理性的に考えれば、我々は共同して、共通の脅威に対抗する必要があります」

「そういうこと。あの歪みは大きすぎるし、邪悪に充ちている。

　何らかの形で浄化しなければ、いずれ、また魔物を送り出してくるだろうな。

　一応の手は打ってあるが、それ以上のことはできない」

「公園を使用禁止にしてもらえるよう、なんとか手は打てない物なんでしょうか」

「難しいわね。”空間が歪んでいるから危ないです”なんて、とても

　信用してもらえないでしょうし」

「実力で排除するわけにはいかないかしら？」

「この世界の住人すべてを敵に回すつもりか、ヒルデガード参謀」

「言ってみただけですよ。バローさん」

「ある意味最大の難題だな。あの公園を管理してるのは、市役所なんだろう？」

「ええ、そうですよ」

「なんとか、あの公園の危険さを知ってもらって、俺達が自由に行動

　出来るように説得しないとならない。さもなければ、遅かれ早かれ

　犠牲者が出ることは避けられない」

「私たちだけでは荷が重い、ということですね、ではいつものように」

「手助けが得られるだろうか」

「この学校の人たちを信じてもいいとおもいます」

 

そう、ある意味では、歪みそのものと対峙するよりも大きな問題があった。

空間の歪みのために危険な公園。それと対峙するためには、まず公園から

普通の人に去ってもらう必要があるのだ。

そのための交渉、その材料作り、それは、天才アデルバートや

名参謀ヒルデガード、あるいは魔族の長バローの手だけは、実現出来ないことだったのだ。