「今年もクリスマスの季節やなあ」
「…あ、はい……そ…そうですね………」
「クリスマス、今年はなにをしようかなぁ。障害物競走とかいろいろやったけどなあ。
　せや、みあ、なんぞいいアイディアあらへんか？」
「え、えと……その……アイディアと………言われましても……ええと……あの……」
「悪かった。アイディア出せなんていわれても、みあには、あんまクリスマスでやりたいことも
　なかったやろからな」
「……え、ええと………」
「けど、クリスマスはかき入れ時やからなぁ。なんか今年もイベントやって
　お客集めて、がっちりもうけなあかん。ここでかせげへんかったら、来年一年
　厳しい年になってしまうわ」
「あ…あの……そういう……時…には……その………いつも……通り……その……
　………生徒会の……みなさんに………頼んで……みては……どうでしょう……」
「それも悪い考えやないんやけどな。けど、生徒会にはいつも通りパーティ頼むことにしてるし
　そのパーティのための手伝いとかも生徒会で集めてもらわなあかんし、アイディアまで
　向こうに頼むと、こっちの仕掛けを生徒会にもおしえてやらなあかんし、あんまおもしろないねん。
　やっぱり、こういう出し物は、あっと驚きがあってなんぼやろ。
　……まてよ。今年はあいつら来てるんやな。せやたら、普段よりたくさん行けるやろ。
　これやこれ、ロマンチックあげるよや」
「……あ、あの……みねあさん……ええと……一体……何を………始める……つもり……なんですか…」
「いつものことや。ロマンチックな夜を作るのがクリスマス商戦のこつやからな。
　ホワイトクリスマス。やっぱこれは定番やろ。そうと決まればすぐに交渉開始や。
　みあ、生徒会に連絡いれてや。うちは、ちょっとよってから生徒会室いくからな」
「は、はい……わかり………ました……」

「伝説の木のそばでホワイトクリスマス・イヴに女の子の告白で生まれたカップルは以下略」
「みねあ様、また伝説の木の話をされるのですか？」
「そういうことやな。毎年恒例やけど、こういうのは基本、定番はずさへんほうがええやろ」
「ですが、ホワイトクリスマスと言われましても、そう都合良く雪が降るとも限りません」
「その通りや。せやから、今年は人工的に雪を降らせるつもりなんよ」
「人工的に…ですか？」
「そうや。…神機つかえたらええんやけど、そういうわけにもいかんから
　普通に魔力あつめる必要があるわけや。で…その、魔力を集めるための手助けを
　ちょっと生徒会の方でてつどうてくれたららな、ちゅうて思うんや」
「魔力…ですか？ですが、私たちにも、魔力の集め方となると…」
「魔法陣組めばええんや。それはわかってるんよ。せやから、その魔力を集めるための
　魔法陣作りの人手を集めて欲しいんや。
　もちろん、クリスマスパーティ要員も頼む」
「そうですね。パーティの準備のほうもお願いします、みねあ様」
「もちろんや、せやたら紅葉、生徒会の方は頼むで」
「はい、九羅香様達にもお願いしてみます」

「なんとすばらしい。ホワイトクリスマスを阻止すればよいのだな」
「また何かやるつもりなんですか？」
「当たり前ではないかさゆりくん。クリスマスこそ、わがサバイバル同好会
　最大の見せ場ではないか。しかも、今回はホワイトクリスマスを阻止すればいいのだよ。
　いつぞやみたいに、あらぬ疑いを掛けられる心配もないのだ。すばらしいではないか」
「はいはい良かったですね。今年は私を巻き込まないでくださいね」
「君も部員なのだから手伝いたまえ」
「同好会でしょうが」
「じゃ、会員」
「はいはいわかりましたよ………だんだん何の監視してるんだかわからなくなってきた…」

「それで、おまえはどうするつもりなのだ、エイミィ？」
「…断る理由もないけど、手伝う理由もない」
「ほーほっほっほ。雪を降らすなど無駄無駄無駄。
　祭りは炎と昔から決まっておりますわ。
　巨大な炎で、この街全体を焼き尽くしてしまいましょう」
「それは不合理ですアレクサンドラ。
　ここは、彼らに協力するのが合理的でしょう」
「どういう事だ、リンクス」
「バロー様、彼らが本当に魔力を集める能力があるのだとすれば
　その方法を知ることにより、我々の世界に帰るための魔法を発動させる
　魔力を集める方法を知ることが出来るかもしれません。
　それが無理だとしても、少なくとも、我々はこの世界ではよそ者です。
　無益に敵を増やすより、利用できるものは利用できるようにするのが合理的です」
「…なるほどな。この世界についての知識を増やすことが、我々が
　リドラスヘイドへ帰還するための、ステップになるという訳か」
「そういうことです、バロー様」
「よかろう。リンクス、エイミィ、そういう方向で対応に入れ」
「わかりました」

【シナリオ３４】ホワイトクリスマス大作戦！