前略

 

「起立！礼！」

 

中略

 

「あー」

 

後略

 

というわけで、気がついたら一学期の期末試験も終わり、終業式も終わり
みんなが待ちに待った夏休みの到来である。
中高一貫校、３年生にとっては、進路を決めるための大事な夏休みのはずであるが
むしろ、高校生活最後の夏休みを力一杯楽しんで、二学期以降、全力で進路のために
がんばるのが、弁慶達が通う高校の流儀である。

 

「それで、紅葉先輩。もちろん今年も合宿をやるんですよね」

 

ねじれた時空なので、高等部一年生の景川美沙が、今年もと言っていても
気にしてはいけない。

 

「そうですね。例年ですと、部活動の合同合宿ということになるんですけれど
　今年は、部活動の枠を外して、自由参加にいたしましょうか」
「けど、それだと九羅香先輩達みたいに、毎日が練習って所は
　参加しにくくなるかも。何か考えた方が良くないですか」
「そうですね・・・こういうときには・・・・・」

 

 

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「…というわけでさ、一つそういう需要も考えて、計画を立てて欲しいんだけど」

 

そういって、美沙が向かった先は言わずとしれた購買部である。
金の絡むことなら、みねあに相談すれば間違いはない。
顧客満足度ナンバーワン（購買部調べ）がみねあの自慢である。

「まかせとき。うちに掛かったらそのくらいのことやるのは朝飯前や」
「………あ、あの………合同合宿にみせかけて……その……遊びに行くのでは………
　…ええと………合宿……に………ならない……のでは……ないでしょう…………か………」
「なにいうてるねん。こういうときには、体育系文化系両方ともが合宿に参加できて
　なおかつ参加者みんなが楽しめる、そういう合宿にするのが常道なんよ」
「……あ、あの……そんな……都合のいい……………合宿…なんて………ある…………
　…ん……で……しょう……か………」
「大丈夫やみあ。それぐらいのこと、このみねあちゃんに掛かったらイチコロや」
「日本語間違ってる気がするけど、とにかくお願いね」
「まかせとき！夏合宿といえばやることはきまってるさかいな」

 

こうして、今年は、生徒会ではなく購買部が主体となった夏合宿が行われることになったのである。
はてさて、どうなりますやら。