ここは、弁慶達が通う高校である。

 

「さて、さゆりくん」
「なんですか会長」
「我々が一年で、もっとも輝くべき日がやってくるのだよ」
「なんかの大会でもあるんですか？」
「馬鹿なことを言うな。我々がもっとも輝くべき日といえば
　クリスマスに決まっているではないか」
「それはスティディのいるカップルの話でしょう。
　我々とは正反対の生き物ですよ」
「馬鹿なことを言うな。今でこそ…会員も少なくなってしまったが
　クリスマスだけは、きっと、必ず退役した会員達も帰ってくる」
「馬鹿な期待はしないでください。今年は私も手伝いませんからね」
「そういうなさゆりくん。恋は妨害が多い方が燃えるというではないか」
「一体あなたは誰の味方なんですか」
「面白いことの味方だ」
「………本気で、それが面白いとでも思ってるんですか？」
「世の中の人が、心の中でやりたいと思っていても出来ないことを
　実行する。こんな楽しいことがあるか」
「べつにカップルの妨害したって楽しくともなんともないでしょう」
「今回は、多少趣向を凝らしてみたのだ。購買部の協力も得てある」
「もはや原型とどめてないですね」
「いったい何の原型かね？」
「しっと団じゃなかったんですか、本来は」
「本来はそうだったのだが、なにぶん、実力と人手が足りないので
　購買部のイベントと強調することにしたのだよ。
　これこそ、敵の力を使って敵を倒す、柔の道」
「サバイバルゲーム同好会でしょうが」
「まあ、細かいことは気にするな。さあ、制圧と侵攻を開始しよう」
「いまさら何みてんですか…」

 

とまあ、こうして、今年もまた、クリスマスがやってきた。
一体今回はどういう趣向で来るつもりなのだろうか。

 

ともかく、購買部が今年も「伝説の木」を用意したことだけは、間違いないのである。