ここは、弁慶の通う高校。
さすがに、生徒と教師が行方不明になれば
学校としても放置するわけにはいかない。

 

当然、警察に捜索届けは出してあるが、なにぶん
専門に捜索しているわけではないので、見つかる期待は薄い。
第一、学校には他に仕事があるのだ。

 

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話は変わるが、もうすぐゴールデンウィークである。

 

「…あ、あの……ゴールデン……ウィークになったら……その……
　お仕事のほうは……」
「仕事いうても、部活やる連中はおるやろ、休みなしや」
「…や、やっぱり……そう……です……よね…………」
「まあ、せやけど、普通の土日程度には暇になるんちゃうか？」
「……あ、はい……その程度…には…」

 

ここは、購買部。授業時間中なので、みねあとみあが無駄話をしている最中だ。

 

「せやけど、アルバイトもみんな休むんやろうなあ。
　案外、みあの仕事は増えるかもわからんで」
「…あ、その……それは…かまわない……です……けど……」
「ああ、言い忘れてたことがあるわ」
「…な、なんでしょう……」
「京都でなんか大会があらへんか？しらべてくれへん？」
「あ、あの……大会……です…か？……」
「せや、大会や、なんでもええから、ゴールデンウィーク中にある大会をさがしたって」
「……あ、はい……わ、わかり……まし…た……」

 

みあは早速電波の受信に取りかかる。

 

「あんなみあ」
「…あ、なんで…しょう……」
「普通に、ケータイつこうて、web検索すればええわ」
「で、でも…その……パケット代が……」
「うちもそこまでいわへん」
「……その…あの……雪が…降ります……」
「ふらへんふらへん、みあの携帯代は、必要経費で
　学校にはろうてもらってるさかい」
「…そういう…こと……なんです…か……」
「当然や」

 

断言するみねあであった。

 

「………みねあさん…その……」
「みつかったんか？みせてみ？・・・・
　なるほどなあ。まあ、一応は全国大会や、これでええやろ」
「あの……ひ、ひとつ……訪ねて……いいですか……」
「なんやの？」
「……一体……何のために……これを……調べる……んですか……」
「その説明なら、生徒会室の情景が今から現れるから
　それを見ればすぐにわかるで」

 

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というわけで、ここは生徒会室である。
副会長の紅葉以下、主要なメンバーは揃っている。

 

「購買部の協力を得て、京都で開催される、全国高校生
　 もったいない創作料理大会に参加することになりました」
「ちょっと紅葉、どうして私たちがそんな大会に出なきゃならないの」
「九羅香殿、ここで重要なことは、京都で開催される、ということであろう」
「はい、その通りです与一様」
「京都観光が出来るね」
「美沙様、遊びに行くわけではありません」
「自由行動の時間に、長野先生達をさがそうってんだろ。
　まあ、京都ならある程度土地勘があるから大丈夫だぜ」
「玲奈さ〜ん。８００年も経ってるんですよ〜」
「ま、まあ、京都だからそれほど変わってないんじゃないか？」
「油断は禁物ね。京都といっても広いわよ」
「それに、長野先生達が、京都にとどまってる保証もないしな」
「だが、手をこまねいているわけにもいくまい」
「はい、その通りです。幸い、この学校には何もないことがわかりましたので
　安心して、学校を離れることが出来ます」
「言われてみればそうか。学校自体に、何か現れる不安があったら
　学校を離れることができないもんな」
「そういうこと」
「鎌田様、鈴も一緒に参ります」
「え？もしかして、俺も員数に入ってるのか？」
「当たり前だ。鎌田が最後に長野先生や鈴木を見たんだぞ」
「はいはい、九羅香さん、わかりましたからにらまないでください」
「鎌田様、鈴が一緒です」
「立場逆だし…」
「とにかく、来るべき大型連休を使えば、ある程度逗留して探せるはずだ」
「でも、せっかく大会に出るんだから、勝とうよ、みんな」
「そうですね。長野先生捜ししかしなかった、とは、言われないようにしましょう。
　生徒会の予算を使うのですし、学校からも特別に費用をいくらか
　負担していただけるように交渉するのですから」
「うん、そうだね。大会も、先生捜しもがんばろう」