さて、こちらは生徒会と別に対立しているわけではないサバイバルゲーム同好会である。

「さゆりくん、なんだか生徒会が困っているようだな」
「ええ、みねあから相談事を持ちかけられたみたいですけど、誰も助けがないみたいですね」
「助けろと言われても困るだろう。得体のしれなさでは、謎の生物と五十歩百歩ではないか」
「たまには会長もまともな判断をするんですね」
「たまにはは、余計だ。それはともかくさゆりくん。我々とは何か関係がありそうな話かね」
「今のところ、直接には関係ないと思われますが……妖魔や魔女が現れて、学校をおそってくれば話は別ですが」
「そういう事態に陥ることはありそうかね」
「近いうちにそういう事態になると考えるのが妥当でしょう。みねあが助けを他人に求めてるぐらいですから」
「そうか……ふむ。だが、我々にできることは特に何もないな」
「ありませんね」
「だが、願い事をなんでも一つかなえる、ということは、恋愛関係の願いをかなえることも考えられるな」
「それはありそうな話ですね」
「ということは、我々の敵だな」
「そうなりますね、けど、だからといって殺すわけにもいかないでしょう」
「じゃまをすることはかまわんだろう」
「でも、みねあの手助けをしたとしても、やっぱり恋愛成就の願いで契約する人は出てくると思いますが」
「……どっちでも同じか」

結局、何もできない同好会であった。

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「すいません、みねあ様、なんの力にもなれませんで」

ここは、購買部、店を閉めたあとみねあとみあと紅葉の3人が相談中だ。

「ええんよ、相談に乗ってもらっただけでも十分や」
「……え、えと……すいません……無理なことを……聞いて……いただいて……」
「いくらか、心当たりの人には相談してみたんですが、そもそもキュゥべえ様にどんな害があるのか
　はっきりしませんし、かといってみねあ様の宣伝といいましてもどうしていいかはっきりしないところがありますし……」
「まあ、それはうちもわかるわ。コオルみたいな上客がおいそれと見つかるわけやないからな。
　無理いうてすまんかった」
「すいませんでした」
「謝るのはこっちや」
「ところで、みねあ様」
「なんや、改まって」
「キュゥべえ様を放置すると、何が起きるんでしょうか」
「願い事を１つかなえる代わりに、その子は一生戦い続けなければならなくなる運命を背負うことになる。
　終わりのない戦場に行くのと同じや。奇跡を起こす、ちゅうことを、そんな簡単に考えてほしくないんよ」
「ただ、それだけなのですか？　ほかに何か隠してることがあるような……」
「まあ……グリーフシード集めの苦労とか、魔女との戦いの生存率とか、戦いの運命っちゅうてもいろいろあるからな」
「……初陣の生存率ですか。それは私も聞かされました。何人切りの勇者の陰には、初陣で散った何人もの武者がいるのだと」
「そういうことや」
「それは、どうにかならないのですか？」
「先達がいればある程度はフォローできるやろな。経験を積めばそれだけ生存の可能性は上がる」
「そうですか。……けど、そういったことまでキュゥべえ様は手助けしてくださるのでしょうか」
「どうやろな。投げっぱなしかもしれんし、ふぉろーするかもしれへん。うちにはわからんわ」
「ひどい言い様だね」
「なんや、おったんか、キュゥべえ」
「さっき来たんだよ。ボクの営業を妨害しようとしてたみたいだね」
「営業妨害やないわ、うちの営業を手広くやろうとしただけや、うまくいかへんかったけどな」
「ボクの方もさっぱりさ。今のところ、ここじゃ奇跡を必要としてる子はいないみたいだ」
「それなら、よそに行ったらどうや」
「今のところってだけだよ、ちょっと気になる子はいるんだ」
「だれやそれは」
「それは営業上の秘密さ。言ったらみねあが先に契約するかもしれないからね。じゃ」
「いってしまわれましたね」
「みたいやな。……けど、契約とれそうなこと言ってたなぁ」
「誰か目星をつけてるんでしょうか」
「そうかもしれへんなぁ……けど、うちにはどうにも手出しできへん」
「そうですね……」

キュゥべえが見つけた奇跡を望む子が誰なのか、そしてその結果はどうなるのか。
それはまた別のお話になる。