未だに、黒色の衣装をまとった女の子も、赤毛の空飛ぶ狼も現れない。

そんな平穏な日常の中、京介はなのはにお菓子を持ってきていた。

「なのちゃん、今日は黒ごまシュークリームを作ってみたんだ食べてみて。」

「ありがとう、京介さん。ユーノくん、黒ごまシュークリームだって」

『毎日ありがとうございます京介さん。けど、どうして毎日お菓子を盛ってきてくれるんです？

　昨日はクッキー、一昨日は水ようかんでしたよね』

「知らないの？海鳴にある翠屋って言えば雑誌に載るくらい有名な所だよ。ほら、この雑誌にも載ってるでしょう。

　そして、なのちゃんはそのお店のチーフパティシエである桃子さんの娘さんだから、味をみてもらってるんだ。」

「たまに雑誌の取材が来るけど、東京まで知られてるとは思いませんでした」

にこやかに談笑する3人？　それとも2人と1匹というべきか、ともかく高校生と小学生とフェレットの

一方、生徒会で、紅葉から説明を聞いた無月は、次元管理局への疑念を募らせていた。

「そうかもしれません。けど、とりあえず、地球にとって害悪になる組織ではないみたいです」

「話し合いの全権は中立である生徒会が受け持つべきだな……次元管理局と繋がって居ると話す事さえも出来はしない」

「……そうですね。なのは様の話を聞く限り、次元管理局の名前を出しただけで、話を聞いてもらえそうにありませんから」

とはいえ、生徒会としても、フェイトの方で現れてくれなければ、話し合いの糸口さえ

持てないのが実情であった。しかし、無月は精力的に活動していた。

次に話を聞きに行った先は、購買部でアルバイトしている、なのはのところである。

「聞くが高町なのは……お前はその魔法と言う力で何を求めそして何を与えるつもりだ？」

「何を求めるっていうか……私には、魔砲ぐらいしかとりえないし……それで出来ることがあるならって

　思ってるだけ……。何が与えられるか、何が求められるかって聞かれても、まだ私は魔法について

「言っておくが力で出来る事など敵を倒す事や奪う事ぐらいだ……力では”全て”など守れもしないし解り合う事など出来はしない」

「……魔法って、力ずくの話しか、出来ないのかな……」

「力で従わせるのは暴君……いや魔王の所業だ……フェイトと言う少女と話をしたいならまず力を棄てろ話し合いのテーブルは生徒会や俺達がサポートする」

「お前は戦う覚悟はあるのか？最善の為に己の心を殺す覚悟、自身が守ると誓った何かの為にその手を汚す覚悟、そして互いの命を奪い合う覚悟が？……無いなら戦いと言う道や正義を語る組織に属する事など止めておけ……後悔するぞ」

なのはには、難しい話であったようだった。しかし、フェイトと友達になることと

力ずくで言うことを聞かせることとの違いについて、考えるきっかけにはなったようだった。

「ユーノくんは、魔法って、何のための力として、習ったの？」

「発掘って、シールドやバインドも必要なの？」

『発掘現場は安全とは限らないからね、小さな隙間を通れるような魔法、危険を察知する魔法

　崩落から身を守る魔法や崩落が起きないように保持する魔法、発掘物を運び出す魔法……

　覚えなければならない魔法は、たくさんあったよ』

「ユーノくんは、発掘のことが、本当に好きなんだね」

『うん。……なのはは、何のために魔法を覚えてるの？』

「最初は、ユーノくんの手伝いをするため。……だったんだけど、今はわかんない。

　けど、魔法って、本当に暴力にしかならない力なのかな」

「魔法の練習って、大変だけど、やりがいはあるよ」

『なら、それでいいんじゃないかな、今は。まだ魔法を使って何が出来るようになるか

「そうだといいんだけど……フェイトちゃんと出会うまでに、間に合うのかな」

『……次元管理局は、力ずくで捕まえればいいと思ってるみたいだ。だけど、それは

『次元震はとめないといけない。それは最優先事項なんだ』

「……力でなんとかしなきゃ、いけないのかな……」

『そうしないために、ここの生徒会も動いていてくれてる。……少しは、信じてみてもいいんじゃないかな』

『そんなに難しく考えなくても、フェイトはきっとまた現れるよ、話は、そのときにすればいいんじゃないかな』

一月はいぬ、という言葉通り、あっという間に終わろうとしているある日、無月は

「かなりのハイリスクやな。……うちとしては、保険なしではうけられへんで」

「商談成立やな、安うないで、あと、保険の準備が終わるまでは待ってや」

こうして、みねあと無月の間である約束が交わされた。

そのまた翌日、無月は、みあを……いや、その姿はすでに一つの杯へと化していたのだから

聖杯と呼ぶべきかもしれないが……をつれて、一人で、校舎の屋上にいた。

誰もいない状況になれば、……少なくとも、人を巻き込まずにみあを奪える状況が生まれたと見たなら

（唯一つの何かを願いとして生きてるそんな目をしている……危ういな）

「依頼があってな…君と話したい少女が居る君の知っている少女だ」

「俺達は次元管理局とは繋がっていないし君達を売る気も無いし介入を許す気無い……今だって後輩の術とやらで連中の目を誤魔化してる」

「魔力は感知した、だけど、それだけで管理局の目をいつまでもごまかせるとは思わない」

「一人で全て抱え込むより同年代の者と話でもしたらどうだ？

　少しでも気になるならあそこに見える高校に来ればいい勿論強制はしない」

「今、あなたが、それを貸してくれれば、悩む必要はなくなる。……母さんがそれを必要としている」

「知らない。……母さんが必要としてる、それだけで私には十分……」

「フェイト様、話はすべて聞かせていただきました。私は平観月、この高校の1年生で

「神機？……あなたの持っている剣からも、魔力を感じる……これは、ロストロギア級」

「そうでしょう。……ユーノ様から、神機の評価付けについての話は聞きました。

「母さんから言われてるのは、そちらの人が持っているアイテムだけ、神機とかいう

　アイテムには興味もないし、求める必要もない」

「そうですか。……では、その、母さんとお話しなければならないのですね。

「事と次第によっては、お貸ししてもよろしいのですよ」

「私たちは、次元管理局とはつながりがありませんし、神機は私たちが管理している道具です。

　話し合い次第では、次元管理局がどういう態度をとるにせよ、協力することは、出来ます」

「それは、、、帰って母さんに聞いてみないとわからない。だけど、母さんには時間がない。

「フェイト様、力を使えば、、、管理局の介入を招くことになります。それは、お互いにとって

「そうみたいやな。無月と観月とみあから話を聞いたわ。なんでも、母さんが

「母さん、って、フェイトちゃんの母さんって、誰なんだろう」

『それなら次元管理局で調べてみよう。テスタロッサで戸籍を当たれば、何か見つかるはずだ』

「そうだといいんだけど……フェイトちゃんと、私がお話するわけには、いかなかったのかな」

『そういう機会も、また生まれると思うよ。何をしようとしているのか分析するのは

なんにせよ、高町なのはのアルバイトは、まだまだ続きそうであった。

【リアクション５６】友達になりたい