【リアクション４０】真夏の決闘
「基礎体力をつけるには走るのが一番でゴザル、拙者の後をついてくるでゴザルよ。
○−にょ ○−にょ ○にょ メタボの子
ダイエット 失敗 食べ過ぎた♪」
ランニングをしてるのは、何か勘違いしている忍者B.S.Eと
召喚少女５人、そしてコオルにルテジアである。
「なんで僕まで走ることになってるんだろう」
「こっちの方が圧倒的に不利だから、その分鍛えるんじゃない。
ほら、男の子なら弱音はかない」
「卯月は元気だなあ」
「けど、この歌詞はちょっと…」
「おかしい、結と同じように食べてるのになぜ私だけ…」
「あら〜お父さん似と、お母さん似の違いじゃないかしら〜」
「ボーカリストになるには声量も大切よね」
「けど、ちょっとは歌詞変えてよ」
「では、気を取り直して行くでゴザル
○−にょ ○−にょ ○にょ ふくらんだ
まんまる おなかの ････だから何故皆怒るのでござる。」
「怒らないと思ってるあんたの方がおかしいわ。
もういい、まどか、何か歌ってよ」
「え、私が？」
「ボーカリスト志望なんでしょ、何かこう言うときに歌う歌ぐらいしってない？」
「じゃあ…○ぁみこん○ぉーずがでーるーぞー」
「…それも何か違う…」
その翌日。
「忍びの基礎訓練として、墓穴を掘るでゴザル。
具体的には、毎日この穴からジャンプして飛び出すという物でござる。
飛び出す事ができたら少しずつ深くしていくでゴザル。
本来ならば、脱出できなくなったらそこを墓穴とし、埋めるのが忍びの掟でゴザルが
コオル殿達は忍では無いのでそこまではしないでゴザル。」
「だから何の練習だよ」
「ジャンプ力より、この穴に隠れる練習をした方がいいんじゃない？」
「あら〜面白そうじゃない〜やってみましょう」
「体力作りにはなるが、意味があるようには思えない」
「塹壕掘りの練習ですね」
「それもなんかちがう…」
そのまた翌日。
「今日は精神の統一をはかるでゴザル」
「で、なんで正座の上に石を置こうとするかっ」
さすがに今回は卯月のハリセン突っ込みが入った。
「…本当に大丈夫だったのだろうか」
「大丈夫かもなにも、うちの味方は京介とBSEと、会長が
スカウトしてきたあの６人しかないんですからね。
剣道部弓道部連合相手に、どうやって勝つか
作戦は考えてあるんですか?」
「作戦もなにも、サバイバルゲームなら我々の勝ちだよ、さゆりくん」
「その根拠のない自信がどこから湧くのか聞いてみたいです」
「我々も練習を積んでいるではないか」
「あの６人を不意打ちする練習ばっかりじゃないですか」
「サバイバルゲームの極意は、見つからないように撃つ、これに尽きる」
「はいはい…まあ、あたしも乗りかかった船ですし
これも、あの大事件に備えての訓練にはなりそうですから。
そんなこんなで、合宿の当日がやってくる。
「術で非殺にした木刀二振りに……以前使ったスナイパーライフルとゴム弾…後は閃光弾と」
物騒な代物を集めているは、無月である。
確実に会長をやる気のようだ。
「さて、準備はこんなものかな。」
基本装備としてFNブローニング・ハイパワー（ガンナイフ）2丁を装備してるのは
狛呂である。こちらもやる気は満々だ。
「ちょっと待った、普通に木刀って危ないでしょう!
みんなも何普通に始めようとしているの!!
九羅香ちゃんも部長さんなんだから注意しないとダメじゃない。
みんな、他に危ない物持っていない。」
突っ込みを入れたのは京介である。
「大丈夫、うちは全員に防具とゴーグルをつけさせてるよ」
「弓道部の方も、防具にゴーグルは装着してる、問題無い」
「そういう問題じゃない。サバイバルゲームは怪我をさせないのが約束なのだよ」
「会長、たまには正論を言うんですね」
「たまには、は、よけいだ、さゆりくん」
「はいはい、で、木刀はどうするの？」
「んー、木刀持ってもいいんじゃない？」
「ちょっと卯月、何を言い出すの」
「だって、まどかの槍とか晶の刀とかのほうがよっぽど危ないし」
「うーん、それもそうよね…モンスター相手にするような
魔法を使ったらそれこそ大事だし」
「じゃあ、木刀を禁止するかわりに、まどか達の魔法も封印するよ。
僕の補助魔法しか使わないってことで、みんないいかな？」
「なら、無月には、剣道部から同じ長さの竹刀を渡すよ。
それでいいかな？」
全員、異義はないようであった。
お互い、陣地を占めあって、ゲームの開始である。
「ちょっと待ってください」
「どうしたの紅葉」
「橘様より提供された装置について、橘様からの説明があります」
「装置って…このイヤホンのこと？」
「そうです、九羅香様」
「さて、今回の装置について説明をする
まず、双方に渡したイヤホンは、それぞれのチームと本部に繋がっていています
またこのフラット装置にも繋がっていて取られた瞬間勝利放送が流れるようになっています
最後に首に付いている装備で通話が可能ですので、以上説明を終了します」
さて、お互い自分の陣地について、ゲーム開始である。
「えと･･･コオル君がなってまどかちゃん達の指揮官になって相手の基地を攻撃して旗を取る
僕とルテジアさんが、コオル君達が旗を取り終わるまでこちらの陣地を守って、
B.S.Eさんが攻めてくる人を隠れて攻撃、会長さんとさゆりちゃんは、独自の判断で僕たちとは別行動で動く･･･
で、良かったよね。」
「どんな作戦でもかまわん。だが、陣地防衛が２人で大丈夫か？」
「陣地まで攻め込まれたら終わりって考えみたいね。
それはそれで正しいと思うわ。
B.S.Eくんが近接防護だから、私たちは遊撃で時間を稼ぐことになるわね」
「よかろう、…人数は少ないが、相手の主力は剣道部、飛び道具のある
敵は３人しかいない、これは我々の方に分があるな」
「その根拠のない強気は…まあ、いいです。…こちらの準備は完了
剣道部弓道部連合の方は？」
「準備はできてるそうです、猿渡さま」
「じゃあ、始めるわよ」
「あいつ等はどう動くかだな、さすがに今回は相手に分があるか。」
つぶやきながら移動しているのは、狛呂である。
「狙うとすれば不完全な連携のところをつくかぐらいか。」
そういいながら、木の陰に隠れつつ、慎重に前進する。
基本的には単独行動だ。
「さすがにステルスみたいな魔法はないと思いたいな。」
確かにステルスみたいな魔法はない。
だが…
「…みんな、こっちを通ろう」
「どうして？」
「人の気配を感じるんだ、こっちには人がいないよ」
「気配が読めるって…」
「召喚師は異世界の存在を感じ取るのが仕事だからね。
僕にとってはまどか達同様この世界の人は異世界人みたいな
ものだから、呼吸を整えると気配が読めるんだ」
「なら〜相手の陣地までは〜一直線ですね〜」
「そういうこと」
ステルスみたいな魔法はないが、レーダーみたいな魔法は
コオルが身につけているようであった。
召喚少女達は、容易に陣地へ近づけるようである。
「源九朗少し良いかな?面白いものがあるんだが……」
そういって、陣地の裏手で源九郎に何かを渡してるのは
ヘッドセットを提供した修吾である。
陣地に迫る相手を、長距離狙撃で阻止する構えのようだ。
もっとも、陣地の中は弓道部員で一杯である。
クロスレンジに飛び込まれさえしなければ、よほどの
事がない限り、まず弓道部員の放つ弓で射すくめられるだろう。
一体、コオル達にはどんな勝算があるのだろうか？
一方、こちらは地道に前進する剣道部員達である。
「防具つけて山道っていうのも大変だよな」
「弁慶、弱音を吐くな」
「吐きたくもなるって、大体飛び道具相手に
どうやって竹刀で勝負できるっていうんだよ」
「こういう時こそ、神経を研ぎ澄ます練習になる。
さあ…あ、あそこ」
「あそこ？」
「はーはっはっは、掛かったな剣道部員ども」
「全力で行くわよっ」
BB弾の十字射撃が、密集した剣道部員を襲う。
「うわ、助けて〜」
「ひ、ひえ、ひえ〜」
「鞍馬流奥義明鏡止水」
「竹刀でBB弾を受けるなんて器用なことができるのは
九羅香だけだって、…うあ」
「さすがに今牛若、十字射撃じゃ通用しないか…
なら、ここは接近戦を挑むまで」
「さゆりなら相手にとって不足はないよ、いざ尋常に勝負！」
さゆりの武器は、短い竹刀の二刀流、まるで玲奈である。
一方の九羅香は、普通に剣道で使う竹刀一振り。
「弁慶、手出しはするな、これは…」
「手出ししたくても無理だよ、弾が当たった」
「さゆり君、私は他のメンバーを阻止に行く、剣道部員はまかせたぞ」
「了解。じゃあ、遠慮無く楽しませてもらいますよ、九羅香さん」
「こっちこそ、さゆり」
そうはいっても、お互い隙が見つけられずに動きを止める。
２人は、千日戦争の構えに入ったようだった。
「うわ、運ないな自分。」
陣地まで後一歩の所まで近づいた狛呂は、B.S.Eと遭遇していた。
とっさにハンドガン狙撃するが、B.S.Eは姿を隠す。
右手の銃で牽制しつつ、左手の銃を不測の事態に備えて
待機させる。
わずかな息づかいも捕らえようと、神経を研ぎ澄ます。
だが、相手は勘違い忍者だ。
何か、動きがあるはず…
「よし、そこだっ！」
左手の銃を真上に向かって連射する。
「なぜわかったでござるか」
忍者なら真上から奇襲するだろうと読んだ狛呂の読み勝ちであった。
「新手が来る前に消えるか。」
姿を消そうとしたその瞬間、陣地からの集中射撃を受けてしまう。
そう、B.S.Eに集中しすぎて、京介とルテジアの存在を
忘れてしまっていたのだ。
「あちゃ〜、当たっちまったか。これでリタイヤか。」
とはいえ、B.S.Eもリタイアである、これで
陣地を守るのは、基本的に戦闘要員ではない
ルテジアと、京介だけになってしまったのだ。
一方の、コオル達は、弓道部員で埋め尽くされた
防御陣地を前に、手をこまねいていた。
「どうやってあれを襲えばいいんだろう？」
「空から行く…といっても、限度がありますよね」
「背後からは回れないの?」
「背後には狙撃兵が潜んでるよ。ちょっと無理じゃないかな、卯月」
「姿を消す魔法はないのか」
「そんな便利な魔法があったらとっくに使ってるよ晶」
「全員突撃したら〜全員射すくめられますね〜」
「はう、どうしたらいいんでしょう」
「本当に、どうしたらいいんだろう？」
一方、会長を追っていた無月は、体調不良で一旦救護室に向かっていた。
「クシュン」
「無月ちゃん……もっ…もしかして風邪？」
と勇姫は恐る恐る無月に問いかける
「そうだな」
その言葉を聞き勇姫は固まる
「……来る……来るよ…無月ちゃんから鬼リーダーになっちゃうよ」
鬼リーダーになってどうなるかは、すぐに明らかになる。
「コオォールゥーーー歯ぁ喰いしばれーーー！！」
物陰に隠れていたコオルを、いきなり無月は殴りとばした。
もはや敵味方関係なくなっている。
「いいか！！自分を信じるな！！もっとあいつ等（召喚獣）を信じろ！！」
「自分を信じるなって…」
「お前を信じる……あいつ等を信じろ！！」
「………わかった、やってみる」
無月は会長を追って姿を消した。
どうやら、無月にとって、主敵は会長であるらしい。
「作戦を説明する、やっぱり、まどかが空から旗を奪取するのを基本にする。
それを妨害するスナイパーを阻止するために、卯月はそのまた背後に回って欲しいんだ。
晶は陽動、相手に一撃撃たせるためにわざと目の前にでて。
マキさんと、結は、晶の援護射撃を。
僕は魔法で向こうの目つぶしをやるから」
「はい、わかりました」
「O.K.まどか、失敗したら承知しないからね」
「うん、卯月も気をつけてね」
「囮作戦はゲームでも基本」
「おねえちゃん…」
「おねーさんにまかせなさい」
召喚少女達が行動を開始する。
「…１人で来るか、何を考えている？」
つぶやくのは与一である。
「構え…撃て」
一斉に弓道部員が弓を放とうとするが…
「きゃ」
「うわっ」
「え？」
「な、これは…妖術！」
「おねえちゃんを守ります」
「おねーさんを甘く見ないで」
草むらから次々と弾が飛んでくる。
実戦をくぐってない弓道部員は混乱した。
「落ち着け。こう言うときには、心の目で射ろ」
言われても弓道部員だって困る。
流れ弾が何人かの部員に当たってリタイヤ組がでる。
だが…。
「さて始まったな…ならばうちは狙い打つだけだ」
落ちついているのは、修吾である。
卯月が近づいてるのに、こんなに落ち着き払っていていいのだろうか？
だが、修吾は落ちついて晶を撃つ。
「むっ！」
一発目は晶が気づいてかわす。
だが、次の瞬間。
「無想の一矢」
「無念…」
与一の矢が晶を捕らえた。
これで晶はリタイアだ。
しかし、囮の役割は十分に果たしたと言えそうだ。
なぜなら…
「はーっ」
修吾が思っていたよりはやく卯月は山を駆け上がっていた。
訓練のたまものだろうか。
振り向きざまに撃つほどの時間の余裕がない。
修吾もリタイアだ。
だが…。
「えーなんで、誰に撃たれた…て、源九郎？！」
「ん源九朗に渡したのは、リボルバー式のショットガンだよ、
背中に背負って、加えたボタンで撃てる様にしてあるんだ」
「な、なによそれ…」
「だが、少し卑怯だったかな」
「いや、それ少しじゃないから…」
とはいえ、源九郎は他になにかするつもりもないようだった。
何かするには、手遅れだったともいう。
「おねーさんにおまかせ」
「そこだ、金剛の三矢」
「あらら、残念」
晶が倒れたことで、マキさんが飛び出すが
与一に撃たれて即リタイアである。
だが、これで詰んだ。
「はーっ」
急降下でまどかが陣地の旗を奪う。
「やった、これで私たちの勝ちね」
「…悔しいが、負けを認めないわけにはいかないな」
「みんな、ありがとう。…なんだか、自信がついたよ」
「おれいなら…無月さんに…いわないと」
「うん、あれで目がさめたよ」
戦い済んで日が暮れて、今は温泉でゆっくりと
戦いの疲れを癒す両チームであった。
「あそこであんな戦法で来るとは思わなかったな。」
狛呂がコオルに話しかける。
「防御を捨てて全部攻撃に回してたからね」
「これはこれで、いい経験になったか･･･」
なんとなく納得している狛呂であった。
一方、勝利したはずの会長はといえば…￥
「うう…痛い」
「会長さん、結局やられちゃったんだな」
「やられたんじゃない、相打ちだ」
「相打ちでも、えらく赤くなってるじゃないか」
「仕方ないではないか、ボディアーマーを簡略化して
その分動きを楽にしたのだ。
裏目に出てしまったがな」
「人には防具をつけさせといてそれかよ」
「有利になると思ったのだ…いてててて」
「木刀禁止でよかったな、ほんとうに…」
一方、女湯で何がおきてたかというと…
「んっ……生き返るぅ〜」
温泉に浸かるのは非戦闘員の勇姫だ 九羅香達に関わる少女達が本当に非戦闘員かは激しく疑問だが
「あっ紅葉ちゃん」
と次々と義経御一行（-弁慶＆廉也）と召喚少女達が薄い布地で体を隠し疲れを癒すべく温泉へ入って来る
「良い湯だね」
じーーーーーーーーーーー
静と紅葉と与一と勇姫の胸を直視する視線を感じる
「えっと何かな……玲奈ちゃんと楓ちゃん？」
「なぁ……触って良いか？」
「えっ？ちょっと……」
同意を得ずに玲奈の手は勇姫の豊かな胸に触る……力を込めて
「きゃーーーーーーーー！？」
持てる者は待たざる者（まな板）の心は知らず
さて、男湯に話を戻す。
「…さゆりくん、そっちの声が聞こえてるというのはわかってるのか？」
「知ってますよ、天井がつながってるんですから。
会長、くれぐれものぞかないでくださいよ」
「安心したまえ。私はカップルの不幸にしか興味はない。
特にさゆり君のはだかになど興味はない」
「！…会長、あとでゆーっくり話があります」
「？…のぞかないといっているのに、なぜ怒る」
「怒ってませんっ！」
こうして、合宿は、平穏に（？）終わりを告げようとしていた。
だが、帰ったなら、今度こそは、公園の歪みと、真っ直ぐに
向き合わねばならない、…その意味では、執行猶予のような
休息でもあった。