ここは、生徒会室である。
義経軍団こと、生徒会メンバー勢揃いに加えて、狛呂と修吾が加わっている。

 

    「要するに会長を捕まえないと始まんないということか。」

 

狛呂が結論を述べた。確かに、会長を捕らえなければ話にならない。

 

「あの会長をおびき出し方なんだが一つ方法があるんだが…」

 

修吾が、何か作戦を思いついたようだ。

 

「性格を利用しようと思い…この中でカップルを作りそれを囮にするとはどうだろうか?」
「いい考えだとは思うぜ。けど、この中のカップルじゃ会長もひっかからないだろう」
「弁慶の言うのもわかる」
「いい考えがあるぜ」

 

玲奈が、いたずらっぽく笑いながら言った。

 

「狛呂か、修吾、どっちかと誰かがカップルになったように見せればいいんだよ」
「そりゃ名案だが、どっちが誰とカップルってことにする？」
「両方でいいんじゃないか？俺と九羅香以外だったら、適当に組めるだろ」
「それもそうか」
「多数決で拒否権はないからな」

 

かくして、狛呂と修吾を囮にしての、会長捜索作戦が始まったのだった。

 

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「こちら狛呂、現在魔族がいた公園、会長姿なし。」
「こちら本部の観月です。会長の姿なし了解」

「他に捜してないところは？」
「他は…そうですね、一通り廻ったみたいなので、一時学校に戻ってきてください」

 

狛呂の方は、収穫なしのようだった。

 

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一方の修吾である。

 

「これはこれはどうもご苦労様です…ですが出来ることなら下って頂き
　観戦にしただけれ良いのですが、いいえと言うのなら…」
「ですが、魔道兵となると話は別ですよ。あれは、今の微妙なバランスを崩壊させかねない」
「…エイミィも同意見…生徒会が持つことさえ危険…」

 

宝玉を探している、エイミィとリンクスの方に遭遇したのだ。
両者とも、どうやら、引くつもりはないらしい。

「少し、手合せ頂いてもらいましょうか」

　そう言って得物を構えて彼らと対峙した。
そのとき

 

「待ってくれ」
「待ちなさい」

 

突然、二人の男女が現れる。

 

「今まで密かに捜索はしていたが、こんなところで争うべきではない」
「そうよ、あなたたちの利害は、決して相反してるわけではないわ」
「あなた方は一体？」
「私は、アデルバート・リアロ。百年に一度の天才召喚術師だ」
「私は綾子リアロ。この人の妻になります」
「リアロ？…もしかして、コオルの知り合いか？」
「コオルを知っているのか？」
「コオルを知っているの？」
「あなた方は、コオル・リアロの一体なんなんですか？」
「私たちは、コオルの親なんです」

 

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場面は変わって生徒会室である。

ここには、召喚少女〜まどか、卯月、マキ、晶、結〜達と
生徒会メンバー、それに、綾子とアデルバートにみねあが揃っていた。

 

「おかあさん、会いたかったよおかあさーん」
「おいおい、俺は無視かよ」
「それにしても、なんでコオルを置いて失踪なんてしたのよ。
　綾子だけじゃなくて、アデルまでさ」
「それについては済まないと思っている、ルテジア」
「この人が説明すると長くなるから、かんたんに説明するわ。
　この人…アデルバート・リアロは、本当に１００年の天才でね。
　この人がコオルぐらいの年の頃には、既に知られている召喚魔法の
　大半を習得しおえてたのよ。

　それで、こんどはだれも考えたこともないような、すごい召喚を
　行おうとした。その結果・・・グレート・ボイド…空の裂け目の
　向こう側から呼び寄せる召喚術を発見。そして召喚されたのが私だったのよ。
　それから、まあ、いろいろあって、結婚してコオルが生まれたんだけど
　どう、こういう話、つまらない？」
「いえ、続けてください」
「いや、ここから先は俺が言おう。俺の召喚術にも欠点があった。
　俺は召喚術だと思って開発したんだが、実際には空間転移の一種だったんだ。
　本当の意味での召喚だったら、今コオルが携帯電話で彼女達〜まどか達〜を
　呼び出すように、その世界にあった姿と能力を身につけて呼ばれるはずだ。
　ところが、俺の術はそうじゃなかった。
　それで、たまには里帰りしたい、っていう綾子の言葉に簡単に乗って
　そのまま、綾子を呼び出す手段を失ってしまった。
　…いや、正確にはそうじゃない。綾子をこちらの世界に召喚するためには
　グレートボイドを両側から安定させる必要がある事がわかった。
　それで、俺は５年間グレートボイドの両側を安定させる魔法の開発を実施
　そして、ついに綾子の所へ転移して…大失敗に気がついた」
「何が失敗だったんです？」
「この世界には、ボイドそのものがなかったんだ。
　俺の魔法でボイドに穴を空けて転移させてた。
　ところが、この世界には魔法がない、綾子にはさんざん怒られたよ」
「だけど、私たちは普通に召喚されてるよね」
「うん。その魔法を使えば、どうにかできるんじゃない？」

 

そんな会話をしている最中にみねあが一言言った。

 

「そのときの裂け目のおかげで、うちがこういう商売できるようになったんよ。
　普通の召喚魔法なら、十分な魔力さえあれば実行可能やからな」
「それで、結局宝玉はだれの手にあるんです」
「ああ、それなら、俺が持ってる」

 

そういうと、アデルバートはポケットの中から赤い玉を取りだした。

 

「それにこれを調べれば元の世界に戻れる方法が分かると思いますけど。」

 

狛呂がそう発言する。

 

「俺もそれを期待した」

 

アデルが残念な事を口にした。

 

「この宝玉は、悪しき力を呼ぶんだ。
　そして、グレート・ボイドには、何か邪悪な力が潜んでいる。
　 この宝玉を使えば、確かにリドラスヘイドへの扉は開かれるかもしれない。
　だが、そのときには、この世界にも、何か災いがもたらされる可能性がある」
「…協力はするぜ、なあみんな」

「私たちの力が必要なら、いつでも声を掛けてくれ」
「ま、こいつが卒業できないと、私たちの願いも…っと」
「とにかく、今は魔族と王国軍とで争ってる場合じゃない。
　俺の予測が正しければ、ボイドの悪しき力が、こっちの世界にまで
　影響を及ぼしかねないんだからな」

 

宝玉を巡る問題は、ひとまず、最大中立のみねあが預かることで決着が付いた。
そして、コオルは念願の両親との再会を果たした。

だが、それは新しい危険を呼ぶ何か、でもあった。