さて、いくら校内を捜索しても全然会長の姿が目に入らない。
仕方がないので一旦作戦を練り直すべく何人かが購買部に帰還していた。

 

風峰　狛呂も帰還組である。

 

「情報はほとんど無しか。一度購買部に戻るか。」

 

その購買部には、すでに静と景川美沙に猿渡さゆり
そしてなぜか京介がいたのだった。

 

「おそらくだけど、会長さんが萌えてかつネコミミになってない女の子の所に
　現れるんじゃないかな？

　会長さんは、さゆりちゃんじゃ萌えないって言っていたんだよね？

　たぶん、さゆりちゃんとは全然逆のタイプ女の子の所に現れるんじゃ････
　あの、さゆりちゃん？美沙ちゃん？二人ともなんだか目つきが怖いんだけど。」

 

京介が自分の考えを披露した瞬間、美沙の頭に何かがひらめいたようだった。

 

「それニャ！女の子が現れればいいニャ」
「美沙ニャ、また廉也をおもちゃにするニャ？」
「それはダメニャ。廉也くんは会長も見慣れてるニャ」
「見慣れてるって・・・」
「うふふ〜みたこともない〜美少女が〜いいでしょうね〜」
「萌える必要があるニャ」
「ていうか、萌えないって言われて普通にショックニャ…」
「会長みたいなんがこのみニャ？」
「違うニャ！」
「力説しなくてもいいニャ。とにかく、ネコミミでない萌える女の子を用意するニャ」
「でも、静さんでもすぐばれるんじゃ…」
「…京介ニャ。まず塊より始めよニャ」
「そうですね〜それは〜名案です〜」
「僕も賛成しますよ」

 

狛呂の一言が、がらくだの背をおる最後の藁束になった。
かくして京介はさゆりに羽交い締めにされて美沙の腕によりを掛けた改造の対象になる。

 

「…京介ニャも女の子風だから結構やりやすいニャ。
　ファンデーションをこうやって…髪型はこんなものニャ…
　着替えは最後でいいニャ。やっぱり男のにおいをごまかすのに
　香水は必須ニャ…」
「もう好きにして…」
「さゆりニャと逆だから胸は大きく詰め物をするニャ」
「さっくり喧嘩うってるニャ」
「忍者は胸が小さい方がいいニャ。玲奈ニャはつるぺたニャ」

 

本人がいないから言いたい放題である。

 

「やっぱり黒のロングヘアで少し目元を隠す方がやりやすいニャ。
　ショートヘアは廉也くんでやったことがあるからつまらないニャ」
「完全に目的を忘れてるニャ」
「やるからには徹底的にやるニャ」
「…あ、あの……京介…さん……完全に……目が……死んでます……けど……」
「最後に鏡を見たときに萌えればだいじょうぶニャ」
「なにがどうだいじょうぶなんだろう」
「面倒だからここで着替えさせるニャ。これを着るニャ」
「ええと…スカートも？」
「上からつけて後でズボンを脱げばいいニャ」
「ああ、そうか」

 

というわけで、たちまちさゆりと正反対の
清楚な雰囲気があるロングヘアの女の子が現れた。
いや、京介の妹だってこういう雰囲気とは違うような気がするが…。

 

「……静ニャ？どうしたニャ？」
「うふふ〜いまので〜会長さんがどこへ隠れてるか〜わかっちゃいました〜」
「え？どういうこと？」
「京介さんの姿を見て〜見当が〜ついたんです〜」
「それはどこなんや？うちかて全然わからへんわ」
「うふふ〜どうしていままで〜誰が見ても〜 見つからなかったかって〜ことですよ〜」
「いままで見つからないのはステルスの護符のせいニャ」
「護符〜だけなら〜直接確認すれば〜見える〜はずですよね〜」
「………まさか…校外脱出作戦で、冗談で書いたあれを実行してるニャ？」
「なに、その校外脱出作戦の冗談って」
「………あ、あの……ま、……まさか……会長…さん……も……女装……して
　…どこかへ…… 潜んで…いる…と…いうこと……です…か？……」
「うふふ〜そういう〜ことです〜」
「でも、それだとどうやって調べるんです？」
「……ごくごくごく〜簡単な〜やりかたですよ〜」

 

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確かに、ごくごくごく、簡単なやりかたではあった。
男子生徒を体育館に集め、女子生徒を教室で体操服に
着替えさせるというものだったのだから。

 

むろん、全員分の体操服は購買部もちである。

 

男が混じってるかもしれないとなれば女子生徒の方も
当然真剣にチェックしようとするわけで、こうなると
護符があるから云々ということは全く言えなくなってしまう。
ステルスの護符といえど、姿が見えなくなるわけではない。
いても意識されなくなるとはいえ、22世紀のひみつ道具じゃあるまいし
完全に意識の埒外になるほど高性能な護符がさゆりに作れるわけがないのだ。

 

「なっ…怪奇猫男！？」

 

無月の前に、女生徒に見つからないよう逃げ出した会長が現れた。
ねこみみをつけて女装した状態で見つかったのだから
確かに怪奇ネコ男としかよびようがないだろう。

 

「き、貴様、男子生徒は全員校内放送で体育館ではなかったのか」

 

購買部の特別部隊が校内パトロールをしている、ということまで
校内放送で教えてやる義理はないのである。

 

「そこに居たのか。さぁ観念して大人しく符をはずして投降しろ」

 

修吾もその場に駆けつける。

 

「はっはっは。私が簡単に捕まるとでも思っているのかね」
「いや、簡単に見つかってるし…」
「ふっ。私はいままでの私ではないぞ」

 

そういうなり、会長は窓の外へと飛び降りる
いや、ここは3階だぞ会長さん。

「ただで逃がすと思ってか」

　そういって所持していた球体をぶつける事に成功した

「ただの色だけと思うなよ、臭い付きでしかもその匂いは銀杏と来たもんだ

　これで嫌でも位置がわかるさてあと少しだ一気に行くぞ」

 

確かに、これで位置はわかるようになった。
だが問題は、会長の異様な運動能力である。
玲奈級の移動能力を発揮されると、普通の人間では追い切れない。

 

「ふっ…普通の人間なら、だニャ」

 

校舎からネットバズーカーが発射される。
パワーアップしてもしょせんは会長、あっさりと捕まってしまった。

　「部長さん、今回はさすがにやり過ぎでしたね。これは罰ですので。」

　と、部長の口になぜかあったハバネロジャム（辛さ当社比３倍）を入れる。

 

「うむ、スパイシーでうまい。なかなかのサービス感謝するぞ」
「…人間ですかあんた…」

「にしても、ネットバズーカーを撃ったのは誰だったんだ?」

 

ネットが来た方向を見る。
言うまでもなく、そこには、弓を手にした与一がいた。
バズーカだけではなく、ネットを打ち出すことの出来る矢も開発済みだったのである。

 

あとはみねあが経口の治療用ワクチンを会長の血液から作り出せば解決である。

 

ちょうど放課後になろうという時間に、勇姫の校内放送が流れてくる。

「皆さんの情報のおかげで無事捕獲に成功しましたにゃ……
　猫耳が生えた生徒は購買部で無料でワクチンを渡しますので来てくださいにゃ
　ちゃんとワクチンは足りるので慌てず落ち着いて順番を待ちましょうにゃ」

 

どうやら、開発にも成功したらしい。

 

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「さて、ワクチン配りはみあがやってることだし…さてと…

　さゆり、みねあさん、今回の件、二人にも責任あるって判っているよな

　ふふふ…責任取ったもらおうかな。後逃げるなよ三人とも…」
「一番悪いのは泥棒に入った会長やろ…ちゅうか…」
「やっぱり〜みねあさんも〜でないと〜全校生徒の〜おさまりが〜つかないかと〜」
「あんたがいうことじゃないでしょっ！」

 

かくして、購買部ではこれから一週間、ネコミミメイドがバイトすることになったのであった。

 

「…あ、…あの……なんで……こんな…格好……なんです…か……」
「やかましわ。参考例がなぜかねこみみレオタードのポスターやったんや」
「ねこみみにレオタードでも、やっぱり、さゆりくんでは萌えないな」
「だれのせいだと思っているんですか、だれの」

 

一応言っておくと、会長だけはレオタードの上にスカートだけはつけてある。

 

「そのせいで変に萌えるキャラになってますね」
「美沙が妙に気合いを入れて作ったさかいな」
「自分でやったときには、正直鏡をみていて気持ち悪かったぞ」
「だったら下らない変装しなけりゃよかったじゃないですか」
「ていうか反省しろよ」
「……あ、あの……弁慶さん……いらっしゃい……ませ………」
「…かくなる上は、今度こそ自力で…」
「いいかげんにしてください！」