私の名前は雲野霧子、小学４年生。今は魔法文化の中心ミッドチルダの首都クラナガンの留学生なの。

　ウィンターカップは紆余曲折あって、結局アインハルトさんが優勝して幕を閉じたの。
さすが初戦でウィンターカップ出場のチャンピオンを倒しただけのことはあるの。

　私の方は負傷リタイア、リンネさんとの試合には勝ったけど、怪我がひどくてドクターストップが掛かったの。

　そして、ウィンターカップが終了する頃、もう一つの、もっと大きな大会が終わったの。
インターミッド、次元世界全部の１０歳から１９歳までの格闘家、魔法使いが戦う大会なの。
私が参加したミッドチルダ予選は、ジークさんとファビアさん、そしてヴィヴィオが突破して本選出場を果たしたの。

　その、ヴィヴィオ達がミッドチルダに帰還したの。

「災難に遭ったんだって、霧子」
「別に災難っていうほどじゃないの。怪我も一週間で治ったの」
「でも、無理して勝負したんでしょ、何があったの？」
「話せば長いことになるの」
「じゃ、手短に頼むの」
「負けられない、お話ししたい人がいたの」
「そうなんだ。お話出来た？」
「うん、分かってもらえなかったみたいだけど、お話は出来たの」
「それはよかった。わかり合うには時間が掛かるけど、まずはお話出来ないとね」
「私もそう思うの。ところで、ヴィヴィオの戦績はどうなの？」
「うん、勉強だってノーヴェに言われたから、ジークさんに最後までつきあったけど、割と早い段階で負けたの」
「ヴィヴィオを負かすなんてすごい相手なの。誰だったの？」
「ジークさん」
「……連敗なの」
「そう、くじ運が悪くて早い段階で当たっちゃった」
「残念な話なの」
「そうでもないよ、今から上を目指す意欲が強くなったし」
「それは良かったの」
「ところでヴィヴィオ、優勝は誰だった？」
「もちろん、ジークさんだよ、泪」
「そうなんだ。２年前に続き連勝だね」
「今回はエレミアの神髄を使わずに本選を勝ち進めたって喜んでたよ」
「ますます強くなってるだな」
「そうだよ」
「ところで、ノーヴェから聞いてない？」
「え？　なにを？」
「ウィンターカップが終わったら、今年度はもう大きな大会はないって」
「あ、それは聞いたの」
「留学は今年度一杯だよね」
「そうだね」
「なんだか、終わりが近づくとさみしいな」
「それは私達もなの」
「そうだ、アインハルトさんはチャンピオンからチャンピオンの座を賭けて挑戦されてるって聞いた？」
「聞いたよ。アインハルトさんがウィンターカップ優勝したんだってね」
「そうなの。ウィンターカップの初戦でチャンピオンと当たって、アインハルトさんが勝ったの」
「チャンピオンに勝つってほんと凄いね」
「私もそう思うの」
「で、チャンピオンとの対戦はいつ？」
「まだアインハルトさんはランクが低くて、チャンピオンへの挑戦権がないってノーヴェが言ってたよ」
「そうなんだ、チャンピオンでも、誰とでも戦うって訳にいかないんだね」
「そうなの」
「それで、アインハルトさんは、今からランクを上げるために毎週のように試合をするって」
「毎週試合って大変だよ。次の試合は誰となの」
「ランク８位のキャリーさんだって」
「そうなんだ」
「それが終わったら、ランク１位のリンネさんと対戦。それで両方に勝ったら、ランクが上がってチャンピオンへの挑戦権が得られる」
「そうなんだ」
「ここまでも何戦かしてるんの。あと残りが２試合、それが終わったら一ヶ月後にチャンピオンとの対戦なの」
「私達も負けてられないね」
「そう思うの」
「さて、雑談はそれぐらいでいいだろう、練習に入るぞ」
「はい」

　ノーヴェの指示で雑談の時間は終わりなの。練習の時間がやってくるの。

「ヴィヴィオ、どのくらい強くなった？」
「あはは、それはわかんないよ。やってみないと」
「いずれお手合わせを」
「いいよ、泪」
「あ、ずるい、私も手合わせしたいの」
「でも、まずは基礎練習からだよね」
「そうだな、ヴィヴィオ」

　ノーヴェの作った練習メニューをこなしていったら、あっという間に時間が過ぎていくの。

「よし、体作りはこれで終わり、スパーリングやってみるか。まずは泪と霧子で」
「はい」
「ウィンターカップでどれくらい成長したか、見せてもらうね」
「いいよ」
「分かったの」
「よし、スパー開始！」

　ノーヴェの指示でスパーリングを始めるの。泪との対戦はいつもやってることだけど、ヴィヴィオが見てると思うと、気合いが入るの。

「よし、そこまで。二人とも悪くなかったぞ」
「はい」
「よし、次はヴィヴィオとリオだ」
「はい」
「ヴィヴィオ、どんだけ強くなったか見せてね」
「いいよ、全力で行っちゃうからね」
「こっちもそのつもりだよ」
「おいおい、あくまでスパーだ、忘れるな」
「はーい」

　こうして、リオとヴィヴィオのスパーリングが始まるの。
リオは春光拳の構え、対するヴィヴィオは普通に構えるの。

「じゃ、いっくよー」

　ヴィヴィオが先に仕掛けていくの。リオもそれに合わせて前に出て行くの。
そして、親しいたたき合いが始まるの。

「ヴィヴィオ、ますます目が良くなってるな」
「そうかな、でも、まだリオに有効打が入ってないよ」
「こっちはかすりもしてないけどな」
「そりゃ、少しは成長してるんだよ」
「それはこっちも同じ」

　私が思ってる以上に、リオもヴィヴィオも強くなってるの。
私も強くなってないと、いつまでもヴィヴィオには追いつけないの。

「よし、そこまで。積極的に前に出ても有効打を受けない。良く出来てたぞ」
「ありがとうございます」
「さて、次はコロナとミウラだな」
「はい」

　コロナとミウラさんのスパーが始まるの。コロナは守りから入る構え。対するミウラさんは積極的に前に出て行くの。

「近づいて……斬る！」
「近づかせません！」

　コロナも小柄な方だけど、ミウラさんはさらにリーチは短いの。
その分ミウラさんは積極的に前に出て行ってコロナを仕留めようとするの。
対するコロナは間合いを開けながらアウトレンジ戦を仕掛けてるの。

「よし、そこまで、ミウラ、ちょっと踏み込みが甘かったな」
「反省してます」
「まあ、実戦じゃないから、抜剣が使えなかったのはあるだろうが、それなしでもおまえのパワーは十分ある。
　よく見て懐に飛び込むインファイトがおまえの持ち味なんだから、もっと磨きを掛けないとな」
「はい」
「コロナはその調子だ。ゴーレム創成が主体とはいえ、格闘で落とされないようにするのは大事だぞ」
「はい」
「さて、今日はこれくらいにするか、冬休みの宿題もあるだろうから、おろそかにしないようにな」
「はい」

　こうして、今日の練習は終わったの。

「ヴィヴィオ、一緒に宿題やろ。コロナもリオも一緒に」
「うん、私もそうしたいの」
「いいよ、その方が捗るもんね」
「私もご一緒します」
「こっちも大丈夫だよ」

　ライバルが帰ってきて、なんとなくいつもの日常が帰ってきたような気がするの。
だけど、留学期間はもうすぐ終わり。それまでに、私達はヴィヴィオを超えられるの？


 

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