戦い済んで日が暮れて、って、まだ太陽は高い位置にあるの。
私達は、お昼ご飯を済ませてから、管理局と警察の合同聴取を受けてるの。
でも、異世界かの侵入者ということで、聴取の中心になってるのは、時空管理局なの。

「なるほど、被害が最小限で済んでよかった。もし、ユーリ達が閉鎖空間の外に出ていたなら、大変な被害が出ていたろう」
「それで、外では何が起きてたんですか」
「各地でゲリラ的に、放棄された建設機械などの暴走が起きていた。地元警察と我々管理局はその対応に追われていたんだ」
「それは誰がやったことなの？」
「それについては調べがついてる。すべてはキリエの事前準備だったようだね：
「つまり、事前に各地で騒ぎをおこす事で、本命のユーリ復活に管理局や警察が介入してこないようにしたわけなんだ」
「そういうことになる」
「それで、結局あのおじさんの目的はなんだったんですか？　いまいちよくわからないんですけど」
「彼が語ってたとおり、エリトリアにこの世界〜第９７管理外世界、地球の資源をエリトリアに流すことだったようだ。
　ただし、この世界を征服する事で、エリトリアの支配者になることも画策してたようだけどね」
「それ、成功する可能性があったんですか？」
「無理だね、もしこの世界を征服したとしても、エリトリアは管理世界だ。管理外世界への非合法介入の時点で、我々は座視しない」
「それじゃ、あのおじさん、ただの馬鹿なんじゃ……」
「だが、ユーリ、あれは本物のロストロギアだ。もし、ユーリが本気で暴れ出していたら、多分、この世界は壊滅していただろう」
「本人は破壊は好きじゃないって言ってたけど……」
「確かにその通りだ。だが、ユーリに介入したイリスが命じれば、破壊に踏み切ったろう。
　イリス自身が、世界の破壊には乗り気でなくてよかったよ」
「イリスは何者なの？」
「エリトリアの研究所で作られた人工生命体だよ。戦闘機械として生まれてる」
「霰おばちゃんと一緒だね」
「そうかもしれない」
「それで、結局キリエ達はどうなるの？」
「キリエは破壊工作と管理外世界への非合法介入、アミティアは管理外世界への非合法渡航。
　アミティアは動機も動機だし、厳重注意で済むが、キリエは２，３ヶ月の禁固はやむを得ないだろう。
　裁判を見ないとわからないがね。
　ユーリは管理局でしばらく面倒を見る事になる。ロストロギアだが、適切な管理が得られれば危険はないものと考えられる。
　イリスの方は、キリエの教唆と管理外世界への非合法介入でキリエとほぼ同じ犯罪と言っていい。
　動機に情状酌量の余地があるのは、キリエ同様だから、量刑も同じぐらいだろう。
　問題は首謀者だ。ロストロギアの非合法使用、管理外世界の破壊、ないし征服の未遂だから、軽くても数十年の刑は課せられる。
　おそらく一生軌道監獄だな」
「私達は？」
「事情を聞くだけだ。ご苦労様。君たちの活躍が無ければ、大被害になってもおかしくなかった」
「なーなー、なんか褒美でもでないのか？　カツ丼をただで食わせてくれるとか」
「柊、なんでそこでカツ丼が出るのよ」
「ま、感謝状と金一封は出るだろう。それで我慢してくれ」
「へーへー、まあ、ただ働きでなければいいや」
「エリトリアって、異世界を征服しなきゃ行けないほどの世界なんですか？」
「エリトリアは、古い世界で、資源が枯渇してきている。環境も厳しい。
　再生プロジェクトは存在していたが、難航していたようだ。
　管理局として、支援とスペースコロニーへの移住を促していた」
「世界の再生は無理だったんですね」
「ロストロギアでも使わなければね。
「ロストロギア？」
「ユーリの能力は環境の再生が主なようだ、ユーリが支援すれば、あるいはエリトリアの再生も出来るかもしれない」
「じゃ、あの首謀者って、何がしたかったんだろう」
「世界征服だとでも考えなければつじつまは合わないね。まあ、管理世界にうまれて、ロストロギアでの世界征服なんて夢見る時点で、無理筋なんだが」
「管理外世界だったら？」
「誰も見てない管理外世界を征服して、その世界の支配者におさまるつもりなら、少しは可能性があったろう。
　彼もそれを夢見たのかもしれない。だが、無理に無理を重ねた結果だ。これでもできすぎなぐらいだろうね」
「つまり、もうちょっとで、無意味に犠牲が出てたかもしれないってこと？」
「そうなるね。君たちが介入していなければ、より大規模な介入が起きて、戦争なみの被害が生まれてたかもしれなかった。
　その意味では、感謝してる」
「……大変な休日になっちゃったね」
「まあな。ただ、あたしたちにとっても、無駄じゃなかったろう」
「そうかも」
「事情聴取はこれで終わりだ、後はゆっくり休むといい」
「はい、クロノ執務官もお疲れ様」
「僕はまだやることがある」

そういうわけで、私達は警察署を後にするの。
でも、もう何か遊ぶような気力は残ってないの。

「アインハルト、少しは吹っ切れたか？」
「はい、覇王の拳は意味のないものではなかっった。それが確認出来ました」
「さて、カツ丼も出なかったし、なんか喰いにいこうぜ」
「柊、あんたもう若くないんだから、ティーンエイジャーの頃みたいに食べないの。太るわよ」
「そのせいでなんかひもじいんだよな」
「腹八分目に医者いらず。少しはダイエットしなさい」
「へーへー」
「で、これからどうするの」
「今日は帰ってゆっくりするといい、明日からはまた練習するぞ。
　なにしろ、ヴィヴィオにはインターミッドの全国大会が待っているし
　他のメンバーには、Ｕ−１５の大会が待ってる」
「そうだね」
「というわけで、今日は大変だったからゆっくり休め。
　明日からはハードにやるぞ」
「ノーヴェ、お手柔らかに……」
「柔らかにやって勝てるんならな」

こうして、エリトリアを巡る事件は、地球的には終わりを告げたの。
エリトリア再生にユーリとイリス、キリエとアミティアが活動していくのは、また別の物語になるの。

 

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