私の名前は雲野霧子、今サンクト・ヒルデ魔法学院に留学中なの。
友達の柊泪も一緒なの。そして、私達はインターミッドっていう格闘技のトーナメント大会に参加してるの。

今回、苦戦らしい苦戦をしたのは泪だけで、ヴィヴィオもリオもコロナも1ラウンドでK.O.勝ちしたの。
私も、シード選手のエリス・タミスンさん相手に勝てたの。

その翌日の話なの。
いつも通りに学校での勉強が終わった後は、インターミッドのための練習なの。
練習と言っても、練習場所は体育館でなければ公園なの。
だけど、今日は師匠のノーヴェが場所を変えるって言ってたの。

「いつもの体育館とも公園とも違う場所なの」
「っていうか、これ町中じゃない、こんな所に体育館があったっけ」
「とにかく、ノーヴェが言う場所に行ってみようよ。もしかしたら、ここからまたどこかへ出稽古かもしれないよ」
「ヴィヴィオの言うのはもっともだけど、出稽古といっても、誰とやるんだよ」
「誰かは分からないよリオちゃん、だけど、地図を見る限り、この辺であってるはず……」
「よう、遅かったじゃないか」

ノーヴェが声を掛けてきたの。
どうやら、待ち合わせの場所にたどり着いたみたいなの。
だけど、待ち合わせ場所にいたのはノーヴェだけじゃないの。

「ヴィヴィオさん、皆さん、こんにちは」
「こんにちは、これからまたお世話になります」
「アインハルトさんにミウラさんなの」
「こんにちは、アインハルトさん。ミウラちゃん、またノーヴェと一緒に練習？」
「そういうことです。ザフィーラ師匠から、八神道場より、ノーヴェさんと一緒に練習する方が
　いいだろうと言われたんです」
「けど、練習施設が整ってないってことなら、ノーヴェの所も一緒だよ。
　ザッフィーと一緒でもいいんじゃないかな」
「そうとも言えないんだよなあ」
「ノーヴェ、何かあるの？」
「まあ、これを見てくれ」

そう言うと、ノーヴェは後ろを指さします。
指さした先は、スポーツジムのように見えます。

「スポーツジムなの」
「いや、他じゃないが、ここはフロンティアジムが所有してた一般向けのスポーツジムなんだよ。
　それを先週一般向けとは別に、選手用の設備を入れて、おまえらの練習にも使えるように改装したんだ」
「改装したって、フロンティアジムがですか？」
「まあ、そういう言い方をすればそうなんだが、フロンティアジムからあたしがここを譲り受けたんだ。
　借家は借家なんだが、フロンティアジムとは独立してる」
「へー、で、誰がオーナーなんです？」
「あたし」
「ノーヴェが？　一体どうして？」
「ヴィクター・ダールグリュンって覚えてるか？」
「覚えてるの。ノーヴェが歩く戦艦って呼んだ人なの」
「それがフロンティアジム所属なんだが、ダールグリュン家はフロンティアジムのオーナーでもある。
　そのヴィクターがおまえらの為にっていうんで、ジムを一つ用意してくれたんだよ」
「でも、それならフロンティアジムのままで良かったですよね。
　わざわざ貸してくれるっていうのは、どういう事情なんですか？」
「コロナは鋭いな。けど、そんな難しい話じゃない。あたしんとこで芽が出てるんだから
　あたしが面倒を見ればいいっていう話にしてもらったんだよ。
　ま、あたしは組織人にはむかないからさ」
「それだけの理由で貸してくれたんですか？」
「ん、まあ、賃料はちゃんと取られるから客商売はしなきゃいけないんだけどな。
　そこらは最初フロンティアジム時代のお客さんがそれなりに残ってくれるから問題ない。
　あたしの方は忙しくなるが、それはまあ、仕方ないことさ。
　そんなことより練習に入るぞ。おまえらは次のインターミッドの試合に向けての練習。
　アインハルトは、来るU-15の大会に向けての再調整だ」
「U-15の大会？」
「まあ、そういうのもあるんだよ。20歳未満の大会がインターミッドだけど、15歳未満の大会もある。
　こっちは今から参加できるから、そっちにアインハルトは出て、結果を出せるように練習だ。
　と、そろそろいいだろう、練習に入るぞ」
「はい」

そういうわけで、私達はノーヴェのジムの中に入るの。

「いらっしゃい」
「こんにちは、こちらは？」
「うちのアルバイトのユミナだ。
　アインハルトが見つけてきてくれたんだけどな」
「ユミナです、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
「じゃ、早速練習に入ろう。
　今まで基礎体力作りにトレーニング器具は大して使えてなかったけど
　これからはちゃんとしたトレーニング器具が使えるからな。
　トレーニングは効率が上がるはずだ。
　ひとまず、メニューを昨日作ってあるから、その通りにやってくれ。
　実戦練習はその後だな」
「分かったの」
「うん、その間ノーヴェは？」
「お客さんの練習を見ないといけないから、そこらは独自に頼む。
　器具の使い方は、アインハルトが詳しいから聞いてくれ」
「はーい」

こうして、新しい練習場所での練習が始まるの。
アインハルトさんは新しい目標に向けて、私達は今までの目標に向けて。
インターミッドで勝ち進むことが出来れば、世界大会に出場できるの。
そしたら、次元世界のいろんな人と出会えるのかな。

 

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