お客様番号：０２２　ルーティ・ワイエス

　とことこ
　「うー、ルシードどってばぁ」
　とことことこ
　「ちょっとぐらいつきあってくれてもいいじゃない」
　とことことことことこ
　「大体が、誰が『フラットボディ』だってぇ！」

　道を行くのは、第四部隊ブルーフェザーの一員
　ルーティ・ワイエス
　今日も今日とてブルーフェザーのメンバーは忙しい
　これがほぼ全員私用で忙しいのであって公務で忙しいわけでは
　少しもないあたりが、ブルーフェザーのブルーフェザーたる所以である
　結果、ルーティは一人で街をぶらつくことになる
　・・・・・なんとなく、勤務時間内の様な気もするが
　後で勤務日誌にはしないパトロールと書いておくので心配ない

　「あの、これ、どうぞ」

　ふと気がつくと、ルーティ同様にフラットな・・・・

　「うさぎき〜っく！」

　　　　　　　　　　　　　　☆★☆どげしっ！☆★☆

　い、いたい・・・・・
　「もう、いつもの紹介と違うじゃない」
　すまんすまん、ついキーボードが滑った
　しかし・・・・・今、本気で蹴ったろ
　「だから、足が滑ったんだよ（はあと）」
　笑顔で恐ろしいことを語らないでくれ・・・・

　閑話休題

　ふと、ルーティが気がつくと、目の前に、ピンクの髪とその中から飛び出した
　うさみみが印象的な少女がいた

　「なに、これ？」

　ルーティが受け取ったチラシには、次のように書かれてあった

  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

                           ちょっとした悩みがあるとき
                         ほんの少しの手助けが必要なとき
                   そんなとき、私たちのことを思い出して下さい

    Ｍｙｓｔｉｃａｌ　Ｍｉｒａｃｌｏｕｓ　Ｍａｇｉｃｉａｎｓ　Ｃｏｍｐａｎｙ

             ・・・・・・・いつでも、あなたのそばに・・・・・・・・

  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　「・・・別に悩みなんて無いんだけど」
　「でも、暇なんでしょ？」
　「それは、別に暇なんだけど」
　「だったらお店に行ってよ」
　「・・・う〜ん、暇だし、ま、いっか」

　結局ノリの軽いルーティであった

　というわけで、ここはＭＭＭＣ魔法商会

　（からんからん）

　「いらっしゃいませ、どのようなご用件でしょうか」

　いつものように営業用スマイルのみねあが応対に出る

　「別にする事無いんだけど、暇だったから顔見せただけ」
　「なんやそうかいな？
　　うち所はいろいろと面白いマジックアイテムをそろえてるさかい
　　見ていってやってや」
　「ふ〜ん・・・たとえば、どんなのがあるの？」
　「そうやなぁ・・・これなんかどうやろ
　　『いちころり』ちゅうクスリやけどな」
　「なにそれ、猫いらずの仲間？」
　「ちゃうわ、惚れ薬の一種や
　　これを料理に混ぜて出すと、料理を作った人にいちころ、っちゅう
　　すばらしい効き目の惚れ薬やで」
　「すごいじゃない、それ」
　「ただ、このクスリは持続時間が食事中だけなのがささいな欠点やな」
　「・・・・それ、全然意味ないじゃない」
　「そうやろか・・・せや、お客さん試してみいへん？」
　「・・・・やめとく」
　「そうか・・残念やなぁ
　　せやたらまじめに悩み事相談でもしよか
　　うちらは魔法の何でも屋で、魔法で悩みを解決するのが仕事なんよ」
　「でも、別に悩みっていうほどのものはないよ」
　「そうか・・・珍しいなあ、悩みがないのにここに来るなんて」

　悩みを抱えてここに来る方がよっぽど恐ろしいと思う

　「ねえねえ、まりあ☆また新しい魔法を覚え・・・って、いらっしゃいませっ」
　「うわ〜、かわいい・・・こんにちは」
　「ぶう☆まりあ子供じゃないもん」
　「子供じゃないって・・年いくつ？」
　「う〜・・・まりあもう１７なのに」
　「ええええええええええ、絶対にあたしより年下だと思ったのに」
　「なによぉ☆まりあのほうが絶対にスタイルいいのに」
　「なによっ！」

☆どっか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん☆
　抜く手も見せずにカードが飛ぶ
　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
　「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
　クロスカウンターが炸裂して、まりあとルーティは互いに伸びてしまった

　え？順番逆じゃないかって？
　いえいえこれでいいんです、なぜなら・・・・

　”ハッピンパラリコズンパラリン”

　「やっぱりぃめりっちゃがいないと何もできないって感じかなぁ」
　「ちゅうか、店長毎回毎回おいしいところだけ持っていってへんか？」
　「それが店長の特権〜みたいなぁ」
　「なによぉ☆まりあを厄介者みたいに」
　「あ、お客さん堪忍なぁ・・・ちょっとした間違いやさかい」
　「ちょっとした間違いで爆裂魔法が炸裂するわけ」
　「まあ、そこらあたりがちょっとした間違いやな」

　全然説明になってないぞ

　「それで、本当はどんな魔法を使うつもりだった？」
　「えっとね☆成長する魔法なんだけど」
　「そんなのあたしいらないよ」
　「ぶぅ☆」
　「まあまあまりあ、こらえときや
　　相手はお客さんや」

　お客さんでなければやっていいのか？

　「それはそうと、失礼なこと聞くんやけど体型気にしてるんか？」
　「べ、別に・・・」

　全部表情に出てしまうところがルーティのルーティたる所以である

　「そうなの☆だったらやっぱりまりあの魔法で・・・」
　「やめときや、話が前にすすまへんわ」
　「そうそう、大体そんな都合のいい魔法があったら自分に使ってるよね」
（ぶち）
　「なんぞいうたか？」
　「え？何か気にさわること言ったかな？」

　悪気がないのがルーティのルーティたる所以である

　「やっぱりぃめりっちゃと違ってみねあはぁまだこどもだしぃ」
　「万年１６歳の店長には言われたないわ」
　「二人とも喧嘩することないじゃない☆前回だってまりあが一番だったんだし」

　確かに、去年の夏の３サイズ対決ではまりあが若干勝っていたのである

　「う〜・・・そこまで言うならやってやるわ」

　やってやるって・・・みねあ、何を始めるつもりだ・・・・って
　みねあ、それ生きているロープ・・・に採寸用のメジャー・・・・

　「じっとしとれや、うちが今からサイズ計ったるわ」
　「ちょ、ちょっと、なんであたしの方に向かってくるのよ」
　「そんなん決まってるやないか、３サイズわからんのがお客さんだけやからや」
　「め、目が据わってる・・・」
　「やかましいわぁとっととはからせんかい！」

　や、やめんかみねあ、相手はお客さん・・・・
　・・・・って、全然耳に入ってない・・・

　「う〜☆人には魔法使うなっていってたのに・・・
　　必ず殺すと書いて、必殺魔法！」

　うん、まりあ、今回だけは許す

　☆どご〜〜ん☆

　まりあの放つ必殺魔法がみねあとルーティを巻き込んで炸裂する
　誤爆魔法の方がはるかに威力があったような気がするが
　それは全然気のせいではないので気にしないことにしよう

　「いたたたたた・・・まりあ、なにすんねん」
　「なんであたしまで巻き込むんだよ」
　「だって☆やるまえから勝負見えてるもん」
　「・・・・いうてくれるやないか
　　せやたらうちも本気でいくで」
　「そんなのってぇ本気も何もないっていうかぁ」
　「ふっ、みねあちゃんの真の実力をみせたるわ」

　そういうなり、みねあはポケットからカードを取り出すと
　呪文を完成させていく・・・・

　ぼむ☆

　みねあの姿が一瞬煙に包まれると、中からオレンジのロングヘアーを持つ
　長身のスレンダー系おねえさんが現れたのであった

　言うまでもなく、vol.4に登場したみねあ・きゃんべる２１歳バージョンである

　「まあ、うちが本気を出せばこんなもんや」
　「魔法ありならぁめりっちゃも負けてないっていうかぁ」

　”ハッピンパラリコズンパラリン”

　めりっちゃが魔法のステッキを一振りすると
　めりっちゃの姿がいかにも魔法少女！から
　胸元を強調したシルクのドレスへと変身する

　「だったらまりあも☆」

☆どっか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん☆

　やっぱりまりあはお約束通りであった
　結果、まりあの上着はぼろぼろになってしまったのである

　「う〜・・・なんでまりあばっかり」

　言うまでもなく未熟だからである

　「うわぁ面白そう、あたしにも教えてよ」
　「別にええけど、うちらも商売やからなぁ
　　ただ言うわけにいかんのよ」
　「だったらぁ、めりっちゃの魔法のステッキだったら
　　５００Ｇでいいってかんじかなぁ？」
　「あ、じゃそれちょうだい」
　「毎度ありっ」
　「で、これどうつかうの？」
　「これはぁ、こう構えてぇ・・・・”ハッピンパラリコズンパラリン”って
　　唱えれば、内蔵されてるぅ７種類の服装がランダムに出てくるっていうかぁ」
　「うわぁ、ありがとう」

（からんからん）

　こうして、ルーティは新しいおもちゃを手に入れた
　ただ、ルーティはまだ知らない
　内蔵されている７種類の服装が、全部魔法少女にしか見えない物だということを

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい