夏期休業 in ’９９

　「あ〜、退屈やぁ」
　お〜い、のっけからそれかい
　「だって☆どこにも出かけてないんだもん」
　そういってくれるな、まりあ
　「やっぱりぃ、管理人に任せたのが間違いだって言うかぁ」
　やかまあしいわい、こっちにだって予定っつうんがあったんだよぉ（泣）
　「あ〜あ、泣かしちゃったね」

　そう、実は今回の夏期休業は広島夏ＯＦＦの宣伝と下見を兼ねて
　包ヶ浦（安芸の宮島にある海水浴場）あたりを舞台にやるつもりだったのである
　やるつもりだったのであるが・・・

　「まあ、こういうことはよくあることや」
　そりゃそうだけどさぁ・・・ま、不幸中の幸いは
　会場を確保してなかったって事だけだね
　「それって、全然幸いじゃないよ（はあと）」
　しくしくしく・・・
　・・・と、泣いていても始まらないから気を取り直して
　続きに取りかかろう

　ここは、ＭＭＭＣ魔法商会本店
　今は夏期休業なので店を締めて店員４人がぼけっとしているのである

　「好きこのんでやってるわけやないわ」
　そりゃそうだ
　「ねえねえ☆沖縄って所につれて行ってよ」
　あのな、沖縄がどこへあるか知ってるのか？
　「なによぉ☆めろでぃが知っているぐらいだからそんなに遠くないんでしょ」
　遠い遠い、海の向こうだ
　「でもぉ、ヒューガハートから比べればよっぽど近い〜みたいなぁ」
　・・・・・・・ま、そりゃそうだけどさぁ・・・
　「なら☆問題ないじゃない」
　問題だらけなんだよ、大体が沖縄に行くだけのゆとりがあれば
　わざわざＭＭＭＣの本店で休暇を過ごしたりせんわ
　「でも、なんで管理人さんがここにいるの？」
　「確かに、それはうちも聞いてみたいわ」
　・・・・・だからさぁ、予定としてはだな、広島ＯＦＦの下見に
　つれていくつもりだったの
　結局ＯＦＦが流れちゃって、ついでに下見の予定も流れちゃったわけ
　それでも予定は予定として組んじゃってるから、いまさら変更効かないんだよぉ
　「なんか、どこかの国のお役人並に融通がきかん予定やなぁ」
　そういってくれるなよ・・・・こっちだって、もう少し楽しいお話がしたいんだよぉ
　「だったら☆まりあ新作の魔法があるんだよ」
　却下！
　「せやせや、新作の魔法ならうちも試してみたいんよ」
　「めりっちゃもぉ、魔法ならいくらでも開発してるって言うかぁ」
　そりゃ実験台に向かってやれぇ！
　こっちは管理人であって被験者じゃない
　「せやたら、なしてここにおるねん」
　だから、予定としておまえらどこかへつれていくことにしてたんだけど
　行くところがなくなっちゃったんだわ、これが
　んで、仕方ないからここでお茶してるわけだけど
　「ちゅうか、これＳＳやのうて、ただの近況報告やけどええんか？」
　いいの、おまえらと話してると絶対に何か起こるから
　「だったら、やっぱりまりあの魔法で・・・」
　まてい、なんの魔法を使うつもりだ？
　「えっとねぇ・・・空間転移で沖縄へ行こうと思うんだけど☆」
　やめなさいっての、確かにこの本店次元の狭間にあるとしか思えないけど
　せいぜい幸せ屋程度の空間転移なんだから
　「そういう問題なんか？せやたらうちが一つ魔法薬を作ってみたんやけど
　　ためしてえな」
　・・・・で、どんな魔法薬なんだ？
　「ま、ちょっとＷＨＲのナッツ的効果のあるクスリやけど」
　・・・・・・誰に飲ませるんだよ
　「説明がいるんか？」
　説明がいらないなら、私は拒否させてもらうぞ
　「・・・・まあ、しゃあないなぁ・・・あとでマスターに飲ませてみよ」
　シオンに合掌

　ふぅ・・・・・そういえば、ここは冷房入ってるのか？
　「当然〜入ってるって言うかぁ」
　「そのくらいの魔法は使えるわ
　　大体が製氷器もうちらが作って重宝してるやろ」
　ああ、あの『ひえひえくん』か
　TRPGのシナリオでも多用してるな、そういえば
　「そういうことや」
　「あ〜☆そっち向きにはまりあの出番がないじゃない」
　仕方ないだろ、実質的に店を切り盛りしてるのがみねあなんだから
　「最初の頃はぁめりっちゃが仕事してたのにぃ」
　そりゃ商売っ気の差だねぇ
　「なんや、人を守銭奴みたいに」
　っていうか、だんだんそういう方向にキャラクター固まっただろ
　「それは確かやけど、それはそれで不幸やわぁ
　　ほんまはうちももっとどっか〜んな魔法とかみょうちくりんな呪文とか
　　つかいたいんやけどな」
　「だったらぁ使えばいいっていうかぁ」
　「店長にだけはいわれとうないわ
　　結局、こういうのは先に壊れたもん勝ちやないの
　　まりあがあれで店長がこれで、うちまで壊れてしもたら
　　そのまま店が潰れてまうわ」
　「うん、ボクもそう思うよ」
　「ぶう☆まりあだって一生懸命やってるもんっ」
　一生懸命やってるのは認めるが、仕事をすることと一生懸命やることとは
　また別の問題なんだよ
　・・・・・それに気づくのに２Ｘ年かかったけどね、私も
　「見え張ってどないするんや」
　いいんだよ、まだなってないから

　「ねえ、管理人さん？」
　なに？
　「本当にこれでいいの、山も意味も落ちもない話になってるみたいだけど」
　いいの、いつもだってこれとさして変わったことが起きてるわけじゃないから
　「いつもならぁここらで人生相談とか、悩み事相談とかがあるっていうかぁ」
　「せや、せっかくやから悩み事をいうてみてや
　　うちらに解決でけへん問題はないんよ」
　う〜ん・・・・でも、言ってもどうしようもないんだよなぁ
　「そんなことないよっ（うるうる）」
　いや、そういう意味じゃなくて・・・大体がなんでこんな話してるか覚えてる？
　「だから☆ＯＦＦ会の下見に出かけられなかったから本店に来たんでしょ」
　そういうこと
　「なら、悩みは即解決やな」
　なんで？
　「ひとまず、うちらとＯＦＦ会すればええんや
　　さ〜て、どこへいくんがええやろかなぁ？」
　天気予報じゃ今週も雨だぞ
　「そんなの☆まりあの魔法で吹き飛ばすから大丈夫だよ」
　やめなさい、こっちの世界で
『どっか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん☆』
　なんてやった日には大事なんだから
　「え？そうなの☆」
　町中でヴァニシングノヴァ撃ちまくってもおとがめなしのエンフィールドとは
　根本的に違うの、こっちの世界は
　「ふ〜ん、結構不自由な世界なんだね」
　ま、そういうこと
　というわけで、みんなあんまり無茶な場所は要求しないように
　「せやたらどこがええやろか？」
　「だったらぁ、Ｓ＆Ｗに来ればいいって言うかぁ」
　それも無茶だって…
　ここは次元の狭間だから自由に行き来できるけど、ヒューガハートに出かけるには
　それはそれで鉄骨に当たっても生きてるだけの特殊能力がいるんだって
　「人間やないな」
　うん、私もそう思う
　「あ〜退屈や退屈や退屈や、なんかこう刺激的なことはあらへんのかいな？
　　これならまだ去年の鮫退治のほうが楽しかったわ」
　でもなぁ、キャンプに行って川に流されると思えば
　無事に越したことはないと思うけど
　「普通、キャンプ場っちゅうんは川の中にあるもんやないやろ」
　わざわざ中州でキャンプしてて流されたらしいけどね
　まあ、自宅で寝ていて土砂崩れを受けた人もいるし・・・
　「なんだか、こっちのせかいも物騒なんだね」
　まあ、ね
　「めりっちゃの所でも街が壊れるのは珍しくないって言うかぁ」
　でも、あんまり人死にはでないだろ？
　「魔法の力やな
　　大体がこっちは魔法のかわりに科学が発達してるんやから
　　科学の力でなんとかならんのか？」
　う〜ん・・・科学の力じゃ腕一本生えてこないからねぇ
　「科学も大したことないなぁ
　　高速治癒の魔法を使えば、そのくらい朝飯前やのに」
　そのかわりに、破壊力の方は抜群だから困りものだけど（笑）
　ファランクスを遥かに超える破壊力の兵器がごろごろしてるあたり
　科学ってものの本質が見えてるかもしれないねぇ…
　「いくらなんでも☆大陸を吹き飛ばす兵器より威力があるはずないんじゃ」
　ファランクスの暴走の時には、帝国や王国の兵器の大半が吹き飛んだんだろ？
　「さあ？まりあ知らない・・・・シェリルなら知ってると思うんだけど」
　大体一メガトンの水爆でほぼ同じ破壊力が出せるんだけど、
　その水爆がこっちの世界じゃ何千発もあるからねぇ
　「そんなに沢山なんに使うんや？
　　そんなすごい兵器、一発あれば十分やろ」
　私に聞かないように
　私が作ったんじゃないんだから・・・・まあ、なんでも
　核兵器に対抗できるのは核兵器だけとかいって、相手より多く持ちたがったってのが
　真相らしいんだけどね

　「で、なしてこないな話になったんや？」
　さあ？私に聞かないように（笑）
　「ねえねえ☆ＯＦＦって、夏は無理でもいつかやるんでしょ」
　ああ、一応その予定はある
　「んじゃんじゃ☆その下見にいこっ」
　別にいいけど・・・海は無理だぞ、夏じゃないから
　「ボク、森がいいな」
　「うちは人気のない山が一番や、そこならさすがに魔法実験しても大丈夫やろ」
　「まりあは☆湖がいい」
　「だったらぁ湖のある人気のない森の中の山へでかければ完璧って感じぃ」
　・・・・・それって、今からつれて行けってこと

　うるうる

　・・・・・・・・・・・もし、私がそういう場所に心当たりがないのであれば
　すぱっと断ることもできたであろう
　困ったことに、そういう場所（付け加えるならこっちの世界の場所である）に
　心当たりがあったりするのである

　あ〜あ、こりゃほんとにつれていかないとあとが怖いかなぁ(^^;

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい