前編のあらすじ：
　作者の陰謀でうさみみ少女を泣かせてしまったアルベルト
　彼は、罪滅ぼしに出かけたＭＭＭＣ魔法商会で、アルベルトの化粧癖の
　相談に来ていたクレアと鉢合わせてしまう
　無謀にもＭＭＭＣ魔法商会でクレアと口げんかをしてしまったアルベルトは
　みねあのお節介でクレアと人格交換をさせられてしまったのだ
　さて、クレアに体を乗っ取られてしまったアルベルトの運命やいかに！

　「あの・・・これでは、私の立場がないのですが」
　うん、そうかもしれないね
　だったら、クレアの立場から見たあらすじも書いておこう

　前編のあらすじ：
　クレアは、今日も悩んでいた
　悩みの対象は、いうまでもなく兄アルベルト
　せっかく天が男らしく創造して下さったのに、いくつかの悪癖で
　せっかくの男らしさが台無しである
　せめて、化粧ぐらいはやめて欲しい・・妹として、心からそう思うクレアであった
　そんなとき、一人のうさみみ少女と出会う
　彼女の純粋な瞳に心打たれたクレアは、ＭＭＭＣ魔法商会に出向くと
　親切なみねあに、人格交換魔法をかけてもらうことができたのだった
　アルベルトの体に宿ったクレア
　「兄さまのことを理解した上で、兄さまのために何かして上げたい」
　心から兄のことを思うクレアの上に女神はほほえむのであろうか

　それにしても、同じ事実についてこれだけ意見に齟齬があるなら
　確かに、相互理解への努力が必要なのかもしれない

　さて、そろそろ本題にはいるか・・・・

　肩を寄せ合って歩くコーレイン兄妹
　別に、エンフィールドでは珍しい光景ではない
　珍しいのは、人格交換がなされているということだけだ

　「で、クレア・・どこへ行くつもりだ？」
　「まずは、兄さまのコレクションを処分します」
　「ちょっとまて、理解するために入れ替わったんじゃないのか？」
　「まず、化粧無しで兄さまが男らしく見えるのかどうか確かめてみます」
　「だったら、処分する必要無いだろうが
　　第一、化粧の場所をおまえが知っているのか？」
　「・・あの、兄さまの記憶がそのままのぞけますけど
　　兄さまは私の記憶はのぞけないのでしょうか？」
　「なにぃ！」

　・・・・いわれてみれば、確かにクレアの記憶がのぞけるのである
　しかし、女の子の秘密をのぞき見るものではあるまい
　アルベルトは、そう思って自制することにした

　「人のプライバシーをのぞくんじゃねぇ！」
　「・・・そうですわね、でしたら最初に・・・」
　「まさか、家捜しするなんていわねえだろうなぁ？」
　「兄さまに新しい服を買ってさしあげますわ」
　「服だったら、自警団の制服があるだろうが」
　「着た切り雀だから、アレフ様に馬鹿にされるんです
　　兄さまもきちんとした身なりをなさいましたら
　　アレフ様以上に女性にも人気がでます」
　「女にもてるひつようなんかねえよ」
　「アリサ様も、女の方です」
　「うっ・・・」

　そうこう言っているうちに、ローレライに到着する二人

　（からんからん）

　「おや、いらっしゃい」
　「こんにちは」
　「よお」

　ちなみに、二人とも人格交換していることをすぱっとわすれて挨拶している

　「おおっ、これは、エヴァ・サン・ロランの新作が・・」
　ちなみに、化粧品の話である
　「兄さま！いまは服を買いに来ているんです」
　「二人とも、一体なにかあったのかい？」

　事情を説明するクレア・・・ああ、もちろん外見はアルベルトである

　「そうかいそうかい、だったらいいんだよ
　　心行くまで気に入った服を選んでおくれ」
　「ちょっとまて、なんでそうあっさりと納得する」
　「いちいちこのくらいのことで驚いていたら、
　　エンフィールドでの生活なんて出来ないからね」

　・・・まあ、まりあの住んでいる街だからな

　「では、これとこれとこれと・・・・」
　さっそく、着替えるクレア・・・もちろん、外見はアルベルトである
　「兄さま、これでどうでしょうか？」
　「・・・えらく軟弱に見えるが・・・」
　「これなら、どこに出しても恥ずかしくないねぇ」
　「俺が恥ずかしいって言ってるじゃねえか」
　「そうかい、かっこいいと思うけどねえ」
　「でしたら、お勘定の方をお願い致します」
　「はいはい・・」
　「俺の話を聞け！」

　もちろん、ふたりともアルベルト・・・ああ、外見は言うまでもなくクレアなのだが
　アルベルトの意見など聞いてはいなかった

　第一、アルベルトの抗議の方が不当なのである
　ベージュのジャケットにスラックスのどこらあたりが軟弱なのであろうか
　まあ、丸腰であることを軟弱と表現するのであれば、軟弱だといえるだろうが・・

　再び、街を歩くコーレイン兄妹

　「で、一体おまえは何をしたいんだ？」
　「兄さま、兄さまは男らしさをどのようにお考えですか？」
　「・・・な、なんだよ急に・・」
　「（くすくす）」
　「な、なんだよ急に笑い出して」
　「そういえば、お兄さまも昔は泣き虫でしたわね」
　「ずっと昔の話だ！」
　「はい、お兄さまがまだ６つぐらいの頃の話ですわ
　　近所のいじめっ子に泣かされて帰ってきては
　　おとうさまに『勝つまで帰ってくるな！』ってたたき出されたりしてました」
　「・・・ああ、・・でも、俺はあれから強くなっただろ？」
　「（くすくす）でも兄さまは、あの頃から全く変わっておられません」
　「あれから俺は強くなった！
　　１０になる頃には、もういじめっ子の方が逃げ回るようになっていたじゃないか」
　「でも、兄さまはずっとおびえておいでですわ」
　「な、何を根拠に・・・」
　「（くすくす）今の私は、兄さまのことはなんでもわかりますわ」
　「あのな、人の記憶をのぞくなっていっただろうが！」
　「兄さま？兄さまは一体何を恐れておられるのです？」
　「お、俺は別に何も恐れてなんかいないぞ」
　「（くすくす）・・・でしたら、そういう事にしておいてさしあげます」
　「あのなぁ・・・」
　「兄さまも、私のことがわかるのですから、おあいこです」
　「俺は人の考えをのぞいたりはしない」
　「兄さま」
　「・・・・・なんだ？」
　「日の当たる丘公園へいってみませんか？」
　「別に、構わないが・・・」

　というわけで、ここは日の当たる丘公園
　今は日溜まりが出来ているから、それなりに人が集まっている
　並んでベンチに腰掛けるコーレイン兄妹

　「で、ここに来ると何があるんだ？」
　「兄さま、少しの間、ここで別々に行動いたしましょう」
　「別々にって・・」
　「いつまでも一緒にいては、いつもと変わらないではありませんか」

　確かにその通りである

　「・・・わかった、ただ、・・・その・・・」
　「なんですか？兄さま」
　「・・・気をつけてな」
　「兄さまこそ、気をつけて下さいませ」

　それより二人とも、その言葉遣いじゃどうしようもないんだが・・・・・

　「心配しなくても大丈夫、なんとかやってみます」
　「あの・・その・・・あ、大丈夫ですわ・・・」

　無理するなよ・・じんましんでてるぞ

　「あの・・・お・・・じゃなくて・・その・・私、昼寝しています」
　「そのほうがいいんじゃないでしょうか？」

　私もそう思う、作者的にも、女言葉のアルベルトなど書きたくない
　たとえ外見がクレアだとしても・・・

　「では、いってきます」
　「ああ、・・・・・」

　というわけで、クレアの外見をしたアルベルトはベンチで寝た振り
　アルベルトのが意見をしたクレアは公園の中へ消えていった・・・

　・・・それから、数時間後

　「兄さま、そろそろかえりますわよ」
　「・・・ん、ああもういいのか？」
　「はい、作者の方がそろそろ落ちを付けるから終わらせろとおっしゃいましたので」

　お〜い、そこらあたりもっとうまくごまかしてくれよ
　・・・などといっている暇もないのである
　何分、のころ行数が差し迫っている

　というわけで、翌日になる
　本来の体に帰ってきたコーレイン兄妹は、朝食の最中だ

　「兄さま、今日は非番にしておきました」
　「ん？いつの間にそんな予定を立てた？」
　「昨日、体を入れ替えていたときに、リカルド様にお願いしておきました」
　「またよけいなことを・・・」
　「それで兄さま、朝食が終わりましたらさっそく着替えて下さい」
　「着替えるって・・・どうしてだ？」

　クレアは、一冊の手帳を取り出す

　「はい、１０時からは、アンヌさん、１２時からはさくら亭で
　　エイミーさんと昼食、それから２時から・・・」
　「ちょっとまて、いつの間にそんな約束を・・」
　「昨日、アレフ様と一緒にナンパをしてきたんです
　　そうしたら、兄さまのほうがアレフ様より人気があったんです」
　「なんだとぉ！」
　「さあ兄さま、身だしなみを整えて下さいませ」
　「勝手なことをしやがって！、俺は断る」

　（こんこん）

　「はい、どなた様でしょう」
　「お〜い、アルベルト、アンヌって人が迎えに来てるぞ〜
　　おまえもすみに置けないなぁ」
　「ち、違うっ、これはだなあ・・・・」
　「おはようございます、アルベルト様
　　時間が待てなくてすぐに来ちゃった（はあと）」
　「い、いやこれは・・・」
　「に！・い！・さ！・ま！」
　「ちょっと、アルベルト様っ、この方はどなたなんですかっ」
　「お初にお目にかかります、私がアルベルトの妹のクレアですわ
　　至らない兄ですが、よろしくお願い致します」
　「え、えと・・・はいっ、私に万事おまかせ下さい
　　さあ、アルベルト様、さっそく出かけましょう」
　「ちょっとまて、俺はまだすっぴん・・・」

　ずるずるずるずるずる・・・・・・

　「いってらっしゃいませ」

　アルベルトの一日は、まだ始まったばかりだ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい