・・・・・・・・なんで、こうなるのかしら・・・・ 　同時刻、ジュリオ・チェザーレの士官食堂 　レミット：どうしてまだ出航できないのよ 　アイリス：お、落ちついて下さい姫様 　そう、ジュリオ・チェザーレは未だにバレンシアの港にあった 　ティンカーベルの目的地を探り出したまでは良かったが 　お役所仕事に巻き込まれて、出港許可が翌日にずれ込んだのである 　一国の軍艦の悲しさであった 　　ＤＤＴ：あいては小型商船ですから、明朝出航しても 　　　　　　十分間に合います 　レミット：人捜しの時も、そう言って結局見つけられなかったわよね 　　ＤＤＴ：・・・・・ 　えすえす：やれやれ、また始まった 　　ＲＡＩ：・・・・・・・ 　軍医殿は、なにやら意味不明な記号の書かれた紙を相手に 　ああでもない、こうでもないと書き込みを続けている 　えすえす：なんだ、それは 　　ＲＡＩ：いま秘薬の研究をしているから、その資料だ 　えすえす：秘薬って・・・なんの薬だ 　　ＲＡＩ：ねこみみが生える薬 　えすえす：・・・・・使い道あるんかい 　　ＲＡＩ：人類の夢じゃないか 　えすえす：・・・・・ごく一部のだろう 　アイリス：あ、あの、カーフさん呼んできましょうか？ 　険悪な空気を察してアイリスがなんとか助け船を出す 　えすえす：あ、彼はなんでも研究が忙しいとかで 　　　　　　こっちに来ないそうですよ 　レミット：あいつも、何考えているか分からないわね 　　ＤＤＴ：私もです、姫様 　レミット：なんで、あんたが知らないのよ 　　　　　　船長でしょ 　　ＤＤＴ：私は、単に学術調査のために船を出すと聞いているだけです 　　　　　　なんの調査かまでは・・・・ 　レミット：そうなの？ 　　ＤＤＴ：そうなんです 　レミット：と・こ・ろ・で 　　ＤＤＴ：なんでしょうか？ 　レミット：明日には出航できるんの 　　ＤＤＴ：出港許可はすでに降りていますから 　　　　　　明日の朝一番に出航いたします 　確かに、出港許可は下りているが、 　リスボンに入港できると決まっているわけではない 　単に、お役所仕事に嫌気が差した船長が、自分の責任で出航させるのだ 　リスボンの大使館には、すでに夜のうちに連絡を出している 　事後承諾を強要するわけだが、そのくらいの責任を負う覚悟は出来ていた 　アイリス：姫様、そろそろおやすみの時間です 　レミット：そうなの？アイリス 　　　　　　じゃあ、お休みなさい 　　　一同：お休みなさいませ、姫様 　場面はレミットの船室に変わる 　レミット：ねえ、アイリス 　アイリス：なんでしょうか、姫様 　レミット：どうして、私はこの船に乗っていなきゃならないの？ 　アイリス：・・・・それは・・・ 　そう、それはアイリス自身が聞きたいこと 　突然、シリアの山岳地帯にある小国、マリエーナ王国の 　第３王女がサルジニアの軍艦兼学術調査船兼練習船に乗せられているのだから 　名目上は、両国の友好関係の促進なのだが 　そもそも、人口２００人そこそこ、王国と呼ぶのがおこがましいような国と、 　かりにもイタリア統一目指して国威が上向いている新進気鋭の王国とでは 　格が違いすぎるのだ 　いや、それ以前に友好関係を結ぶ理由は本来無いと行って良い 　合理的に考えれば、全く理由が分からない 　まあ、列強の中では、サルジニア王国とて、弱小国には違いない 　弱小国は、いつでも列強の意味不明な気まぐれに振り回される宿命であるとは 　言えるのであるが・・・・・ 　レミット：ねえ、アイリス・・・・ 　アイリス：なんでしょう、姫様 　レミット：アイリスは、どこにも行かないわよね 　　　　　　・・・アイリスだけは・・・・ 　アイリス：・・・姫様、私は、ずっと姫様のそばにおります 　レミット：・・・ねえ、アイリス 　アイリス：なんでしょう？ 　レミット：・・・・いつもみたいに、お話しして 　アイリス：はい、姫様 　　　　　　では、今日はパリから来た、敬虔な王様の話を致しましょう 　　　　　　とらわれの身となってから、アラブの王様と交渉して 　　　　　　目的を遂げた、王様の話を・・・・ 　さて、場面は再び、ティンカーベル ウェンディ：・・・・・・・・・・・ 　あれ？まだばつの悪い沈黙がつづいているのか？ 　メイヤー：みなさん、喜んで下さい 　　　　　　やっと見つけました 　　　　　　こここそが、我々の向かうべき最終地点です 　　　　　　・・・・あれ、まだ食事中でしたか 　　　楊雲：・・・・・・最終目的地・・・・・ 　メイヤー：そうです船長、やはり、鍵になったのは有翼の蛇でした 　　　　　　そもそも、蛇は各地の神話で知恵の象徴としてあがめられてきました 　　　　　　また、復活の象徴としても・・・・ 　　　リラ：あー、また始まった 　　カレン：まあまあ、リラちゃん、よっぽど嬉しいんでしょ キャラット：ねえねえ、どこに行くの？ 　メイヤー：では、最初からご説明いたしましょう 　　　リラ：結論から説明して頂戴 　メイヤー：しかし、最初から説明いたしませんと、 　　　　　　十分にご理解いただけないのではないかと・・・ 　　　リラ：目的地だけ聞けば十分だって言ってるの 　　　　　　あたしは、考古学者になるつもりはないんだから 　メイヤー：そうですか？それは残念です 　おいおい 　メイヤー：メキシコ、ユカタン半島、ウシュマル遺跡 　　　　　　ここのピラミッドに鍵が隠されているはずなのです 　　　　　　そもそも、蛇は新大陸で一般的に信仰されている神であり・・・ 　　　リラ：だから、続きは良いって 　　　　　　メキシコに行けば良いんでしょ 　メイヤー：まあ、そうなりますね 　　　リラ：じゃあ、見積をしておかないと 　　　　　　若葉、明日になったら航路を検討するわよ 　　　若葉：そんなに急ぐことなのでしょうか☆ 　　　リラ：急ぐのよ！ 　いつのまにか、ウェンディの話はうやむやになっていたのであった 　フィリー：要するに、話を続けられなくなったんでしょ 　・・・・・だから、作者に突っ込むなって(^^;;; 　同時刻、ジュリオ・チェザーレ 　レミットの船室 　　ＤＤＴ：失礼します 　アイリス：あ、船長さん 　　ＤＤＴ：姫様はおやすみですか 　アイリス：ええ、さきほど・・・・ 　　ＤＤＴ：・・・・・・・ 　アイリス：・・・姫様、知りたがっておりました 　　ＤＤＴ：何をでしょうか？ 　アイリス：・・・・この航海の目的です 　　ＤＤＴ：申し訳ありません 　　　　　　本当に、何も聞かされていないんです 　アイリス：・・・マリエーナ王国に伝わる伝説を真に受けているのでしょうか・・ 　　ＤＤＴ：伝説？ 　アイリス：ええ、大いなる災厄の時 　　　　　　イシスの祝福を受けし者の末裔 　　　　　　神の力を解き放つべし 　　　　　　その力、山を砕き海を干上がらせる、と・・・ 　　ＤＤＴ：でも、単なる伝説なのでしょう？ 　アイリス：・・・・ソドムの神話はご存じでしょう 　　ＤＤＴ：聖書の神話ですね 　アイリス：神の怒りに触れて、雷帝を持て打ち砕かれし街 　　　　　　呪われし街 　　ＤＤＴ：単なる神話じゃありませんか 　アイリス：・・・その後、その地に向かう者、呪いを受け 　　　　　　皆変死したと言います 　　　　　　そして、廃虚は、月のない夜に、不気味な光を放ったと 　　ＤＤＴ：・・・・伝説なのでしょう？ 　アイリス：・・・マリエーナ王国の古文書には、事実として記載されています 　　ＤＤＴ：まさか 　　　　　　そんな非科学的な・・・・ 　アイリス：非科学的でも、古文書があることは事実なのです 　　ＤＤＴ：まさか、わが国がその力を欲して？ 　アイリス：そうでなければよいのですが・・・・ 　　　　　　私は、姫様をそんな戦いの場に出したくありません 　　ＤＤＴ：・・・・・・ 　　　　　　私が、そんなマネはさせません 　アイリス：でも、あなたは・・・ 　　ＤＤＴ：私の立場は問題ではありません 　　　　　　そう、私がどんな目に遭おうとも、そんなマネは・・・・ 　アイリス：船長さん・・・ 　見つめ合う瞳と瞳 　アイリス：・・・信じてよろしいのでしょうか 　　ＤＤＴ：・・・一命にかえても 　船長は、軍刀を構えて誓いを立てる 　古の騎士が中世の誓いを立てるときと同様に 　そして、アイリスが寝入っているレミットの手を取ると 　船長は、その手に誓いの口づけを・・・・ 　それから、アイリス自身の手にも 　アイリス：えっ？ 　　ＤＤＴ：・・・・失礼いたします