リラ：カレン、終わったの？ 　　カレン：ええ、もう大丈夫 　　ティナ：でも、しばらくは力仕事をしないで下さい ウェンディ：みなさん、準備が出来ました 　いつのまにか、ウェンディはウェイトレスの服に着替えている 　テーブルも椅子もならべ終わっている 　もちろん、食器も 　ただ、不思議なことに料理は一方のテーブルにまとめて置かれていて 　みんなが座る場所に出されているわけではない 　　アルザ：うわー、うまそうな料理やなぁ ウェンディ：アルザさん、席はあっちです 　　アルザ：なんや、向こうは料理なんかないで ウェンディ：せっかく、ならべたのに・・・ 　　カレン：アルザちゃん、ここはウェンディちゃんの言うとおりに 　　　　　　して上げなさい 　　アルザ：しゃあないなぁ 　　　リラ：なんでもいいから早く食事にしましょ ウェンディ：はい、ではまずサラダから 　そういって、ウェンディは手早くサラダを配っていった キャラット：わあ、オレンジのサラダだぁ 　そう、白い小さな深皿にオレンジとレタスをあしらった 　サラダである 　　　リラ：なんか、甘ったるそうね ウェンディ：食べてみてから言ってくれませんか 　・・・・・・・・・・・ 　　　リラ：あれ、思ったより食べやすいわね 　　ティナ：酸味の利いたドレッシングを使っているんですね 　みんながサラダを食べている間に、ウェンディは次の料理を出す 　準備をしていた ウェンディ：はい、では次にスープを 　ウェンディが用意したのは、澄んだオニオンスープにクレープ ウェンディ：すいません、ちゃんとしたパンを焼く暇がなかったんで・・・ 　　　リラ：パンなら、ちゃんと買い付けておいたわよ ウェンディ：でも、酵母が無かったじゃありませんか 　　カレン：ウェンディちゃんは、いつも小麦粉からパンを作るの？ ウェンディ：当然じゃありませんか、そんなの・・・ 　　　若葉：そうなのですか？ 　　　リラ：普通そんなことはしないわよ ウェンディ：そんな、人を常識外れみたいに・・・ 　　アルザ：なあ、メインディッシュはまだなんか ウェンディ：あ、すぐに出しますね 　そう言って、ウェンディが用意したのは 　３０ｃｍはある、分厚いステーキであった 　ちゃんと、じゃがいもと人参が付け合わせに用意してある 　　　リラ：あんた、あたしが買ってきた肉は全部塩漬け肉なのよ 　　　　　　それも、長期保存用だから、ステーキにしたら 　　　　　　潮から食って食べられた代物にはならないわよ ウェンディ：知ってますよ、そのくらい・・・ 　　アルザ：ほんまか？そんなに塩味はせえへんけど 　　カレン：ほんと、どうやって作ったのかしら？ ウェンディ：塩抜きしたんです 　　ティナ：でも、普通に塩抜きしたらうまみも出てしまうと思いますけど ウェンディ：だから、ソースの方にうまみを移してあるんです 　　　　　　あと、ドレッシングの元やスープにも使ったんですよ 　　カレン：そんなことが出来るの？ ウェンディ：常識ですよ、そんなの・・・・ 　　　　　　それから、アルザさん、スープとクレープでしたら 　　　　　　多めに作っておきましたから 　　アルザ：ほんまか？おおきに 　え？本当にそんなことでおいしい料理が出来るのかって？ 　ウェンディには出来る・・・・・ってことにして置いて下さい 　　　若葉：まるで、手品みたいですね☆ ウェンディ：誰でも出来る事じゃないですか 　　カレン：そう？おねーさんはこんなの始めて見たわよ 　・・・・・・・ほんとに、簡単なことなのに・・・・ ウェンディ：ちょっと、手間がかかるだけですよ 　　　　　　難しくはないんです 　　　　　　そろそろ、デザートを用意しますね 　そう言って、ウェンディは全員にオレンジシフォンケーキを配っていった 　　ティナ：うわぁ、ウェンディさん、これ私大好きなんです ウェンディ：そうですか、オレンジがたくさんあったから作ってみたんですけど 　　ティナ：・・・・・・おいしいです、ほんとに 　　　　　　今度、私にも作り方を教えて下さい ウェンディ：そんな、私も普通にしか作れませんよ・・・ 　　ティナ：そんな、私が作るよりは絶対おいしいです 　　　　　　ほんと、教えて下さい ウェンディ：え、まあ、いいですよ 　　　　　　そこまで言われるなら・・・・ 　・・・・・・・みんな表現がオーバーなんだから・・・・・・ 　みんな、料理に夢中になっていて気づいていなかったが 　一人だけ、重大なことに気づいている人物がいた 　　　楊雲：・・・・・ウェンディさんの分はどこにあるのですか・・・・・ ウェンディ：え？ 　そう、ここまでウェンディがずっとならべていたのだから 　当然、ウェンディの分は別になければおかしい 　でも、ウェンディが料理をならべていたテーブルの上には 　あと、一人分しかない 　え？数はあっているって？ 　一人、いままでの会話に登場していない人物がいるはずであるが・・・ 　　カレン：そういえば、メイヤーちゃんはどうしたの？ 　　　楊雲：・・・・・時間が惜しいから、食事は要らないそうです・・・ 　　カレン：食べないと体に毒じゃないの 　　　楊雲：・・・・・・ビスケットを用意しているそうです・・・・ ウェンディ：私、呼んできます 　　　楊雲：・・・・・それで、あなたの分はどこにあるのですか・・・・ ウェンディ：それなら、ちゃんと調理場に作ってありますから 　（ぽろろん） ロクサーヌ：これはみなさん、お食事中でしたか ウェンディ：あ、ロクサーヌさん 　　　楊雲：・・・・やっと上がってこられましたか・・・・ ロクサーヌ：はい、ちょっと 　　カレン：どう言うことなの？ ウェンディ：来るって言ってくれれば、用意したのに・・・ ロクサーヌ：いやいや、食事なら用意してあったじゃありませんか ウェンディ：え、なんにも用意してませんよ ロクサーヌ：でも、残り物がテーブルの上に用意してありましたよ ウェンディ：あ、あれは私の・・・・ 　　カレン：ウェンディちゃん、残り物ってどう言うことなの？ ウェンディ：なんでそこで私を責めるんですか！ 　・・・・・・・・・・・・・・ 　重苦しい沈黙が、しばらくティンカーベルの甲板上を覆った 　・・・・・・・・・・・・・・ ロクサーヌ：ははは、あれは私の分ですよ 　　　　　　ほら、そこにウェンディさんの分があるじゃありませんか 　　カレン：あれは、メイヤーさんの分です ロクサーヌ：でも、人数が合いませんよ、それだと 　フィリー：そうよ、なんで私を忘れてるのよ ウェンディ：あ、フィリーさん 　フィリー：どう言うことなのか、説明してもらいましょうか ウェンディ：いままでどこにいたんですか 　フィリー：ロクサーヌが呼ぶから、一緒にいたのよ 　　　　　　忘れるなんてひどいじゃないの ウェンディ：忘れてません 　　　　　　ちゃんと、そこにあるじゃありませんか・・・ 　フィリー：あれは、メイヤーの分なんでしょ ロクサーヌ：違いますよ、フィリー 　　　　　　あれは、ウェンディさんと、あなたの分なんです 　　　　　　そうですよね？ ウェンディ：・・・・・確かに、フィリーは体が小さい分 　　　　　　量が少ないだろうと思って、誰かと一緒にしてました 　フィリー：要するに、ままこあつかいしたわけね ウェンディ：そんなんじゃありません ロクサーヌ：まあまあ、仲良く二人で食べるんでしょ ウェンディ：・・・・・・・・ 　フィリー：・・・・・・・・ 　再び、ばつの悪い沈黙 　でも、みんなはロクサーヌの言葉の方を信じているらしい 　作ったウェンディの言葉ではなくて・・・ 　・・・・・・・・なんで、こうなるのかしら・・・・