カレン：・・・・おねーさんを怒らせると、怖いわよ 　　　リラ：準備は出来てる？ 　　カレン：もちろん 　カレンが手にしているのは、ロングソード一本 　だが、彼女を知る者には分かる 　それで十分なことが 　　　リラ：あたしの方は、いつでも良いわよ 　　カレン：じゃ、行きましょ 　　　リラ：じゃあ、ちょっと行ってくるわ 　危険を強調してた割には、気楽な出かけ方である 　しかし、注意を怠っているわけではない 　さて、舞台を１９番倉庫に移そう オーガーＢ：リリト様、ティンカーベルから２人降りてきます 　　リリト：どんな奴だ？ オーガーＢ：一人は、剣を持っていて、もう一人は手ぶらです 　　リリト：私に見せて見ろ 　リリトは、のぞき窓の場所をかわった 　　リリト：カレンとリラか・・・・ベストメンバーだけで調査という訳か 　　　　　　しかし、あの２人がいなければ、何とか奪える 　　　　　　おまえ達、ティンカーベル襲撃の準備にかかれ 　　　一同：はっ、直ちに 　　リリト：・・・もう少し、船長は切れる相手だと聞いていたが・・・・ 　確かに、切れる相手だよ、楊雲は 　おまえの想像よりは、もう少しね 　そう、もう少し観察していれば、２人がまっすぐこちらを目指していることに 　気がついただろう 　カレンとリラが、まっすぐ目的地に向かうかわりに、 　少し大回りして向かっているだけだということに 　　　リラ：で、どこからはいるの？ 　　カレン：私は、正面から直接行くわ 　　　　　　あなたは、背後を固めて 　　　リラ：若葉は、どっちが？ 　　カレン：あなたが 　　リラ：じゃあ、連れ出したら合図するわね 　　カレン：逃げ出す気はないわよ 　　　リラ：甘く見ない方がいいんじゃない？ 　　カレン：あなたもね 　そう言っている間に、１９番倉庫の前につく 　リラは、いつのまにか姿がない 　　カレン：・・・・・・・さてと、出番ね 　カレンは、フランス式にロングソードを抜き放つと 　扉の境目に鋭く叩き込んだ 　ガシーン 　扉を固めていた材木ごと、いや、リリトが用心のために掛けておいた 　鎖を含めて、カレンの一撃で叩ききられた 　　リリト：バカな！ 　　カレン：悪い子達に、おしおきよ！ 　倉庫の扉を片手で開け放ちながらカレンが入ってくる 　・・・・普通なら、大の男が両手でなければ開けられない扉を、だ 　　リリト：オーガＡ、Ｂ、Ｃ、かかれ！ オーガー達：イエッサー 　ティンカーベル襲撃の準備をしていたオーガーが一斉にカレンに襲いかかる 　だが、所詮はカレンの敵ではない オーガーＣ：くぎゃっ 　　カレン：一人 オーガーＢ：ぐっ 　　カレン：二人 オーガーＡ：おまえが好きだぁ 　　カレン：願い下げね オーガーＡ：我が青春に悔いな〜し 　　カレン：三人 　あっという間に全滅してしまった 　哀れなのはオーガー達 　峰打ちとはいえ、カレンの一撃である 　まあ、一週間は入院だな 　だが、リリトにとっては、十分な時間を稼いだと言えるだろう 　オオカミ達に指示を出すだけの時間は稼いだ 　それに、リリトが武器を構えるだけの時間を・・・・・ 　　リリト：ふん、噂通りの腕前だな 　　カレン：若葉ちゃんを返してもらうわよ 　　リリト：返して欲しければ、剣で挨拶することだ 　　カレン：いわれなくても、そうするわよ 　リリトの武器は、カトラス 　長さの点では、若干カレンのロングソードが有利だが 　圧倒的に、カトラスの方が軽い 　お互い鎧を身につけているわけではない 　要するに、当たれば傷を与えることが出来るというわけだ 　それなら、軽くて扱いやすい武器の方が有利である 　リリトは、静かにカトラスを突き出す 　カレンは、ロングソードを静かに下げていく・・・・ 　やがて、切っ先が床に着き、さらに切っ先が床の上を滑りながら後ろへ・・・・ 　　カレン：はっ！ 　　リリト：甘い！ 　カレンが、一歩踏み込む 　同時にロングソードが振り上げられる 　だが、リリトは素早く体を下げるとカトラスで踏み込んだカレンの足を払う 　かちん 　カレンの足に当たった刃が金属音と共に弾き返される 　体を落としたリリトの上に、ロングソードが振り下ろされる 　だが、リリトは素早く体を振ってかわす 　　リリト：・・・・衣の下には鎧、か・・・・・・ 　　カレン：このくらいの用心はするわよ 　カレンは、今度はロングソードを中段に構え直す 　どうやら、正攻法に切り替えるらしい 　リリトも、中段に構える 　　　両者：・・・・・・こいつ、強い・・・・ 　そのころ、リラはなにをしていたかというと・・・・ オオカミＡ：だれ・・・・ぐう、ぐう・・・・ オオカミＢ：おいなにご・・・・ＺＺＺＺＺＺ・・・・ 　　　リラ：不安だったけど、結構強力なのが作れるのね 　　　　　　名医っていうのも、あながち嘘じゃないわね 　オオカミの体に突き刺さっているのは、ダーツの矢 　どうやら、リラが持ってきたらしい 　睡眠薬付の矢のようだ 　　　リラ：さて、問題は、若葉を探すことの方ね・・・ 　リラは、ちらっと、戦いの行われていた場所に目をやる 　カレンと、リリトは互いに隙をさぐり合っているところだ 　　　リラ：・・・ほっときましょ、どうせ、勝負は見えてるし 　リラは、若葉を探し始めた 　さて、メインイベント・・・もとい 　カレンとリリトの戦場に舞台を移す 　　　リリト：・・・・・・・・ 　　　カレン：・・・・・・・・ 　リリトには、勝算があった 　カレンの武器は、圧倒的に重い 　もし、動きが止まった状態を続けていれば、確実にカレンの方が 　体力的なダメージは大きいはずだ 　・・・・・そう、動くなら、カレンの方から動かなければならない 　そして、動けば必ず隙が出来る 　　リリト：・・・・・・（今度は、急所をねらってやる）・・・・・・ 　そして、動いたのはカレンの方だった 　素早くロングソードを突き出す 　　リリト：はっ 　リリトは、紙一重でソードをかわすと素早くカレンの喉元を狙って突きを 　くりだした！ 　　リリト：なんだと？ 　だが、カレンの姿はそこにはない 　ロングソードがリリトの体をかすめていく 　　カレン：えい！ 　カレンは、ロングソードを投げていたのだった 　素早くリリトの側面に回り込んでいたのだ 　カレンの手刀がリリトの腕に打ち込まれる 　投げ出されていたロングソードが床に落ちる 　思わずリリトがカトラスを手放す 　カレンは、それを手に取るとリリトに突きつけた 　　カレン：勝負あったわね 　　リリト：・・・・・・殺せ、勝負はついた 　　カレン：先に、若葉ちゃんの居場所を教えてちょうだい 　　リリト：ふん、私を殺してからゆっくり探せ 　　カレン：・・・・・ええ、そうさせてもらうわ 　　　　　　どうやら、なにをしても教える気はなさそうだしね 　カレンは、カトラスを振り上げる 　　　若葉：やめてください！ 　若葉が二人の間に飛び込んできた 　あれ？確か若葉は縛られていたはずだが・・・・ 　　リリト：貴様、どうやって抜け出した 　　　若葉：紅流縄抜けの術です 　こともなげに若葉はいう 　　　リラ：あちゃぁ、こうなるとはね 　物陰から、様子を見ているのはリラである 　こうなると、リラにもうかつに手が出せない 　大体、カレンとリリトの間に入られたらリラが密かに連れだすのは不可能だ 　　カレン：若葉ちゃん、相手が何者か分かってるの？ 　　リリト：情けを掛けたつもりか 　　　　　　無駄なことだ 　　カレン：そうよ、若葉ちゃん 　　　　　　リリトっていったら、イベリア一の賞金首で・・・ 　　　若葉：お金のために人殺しをするのですか！ 　　リリト：私は、いつでもそうしてきた 　　　　　　情けは、無用だ 　　　若葉：リリトさんは、悪い人じゃありません 　　カレン：若葉ちゃん？どうしてそう言えるの？ 　　　若葉：私がまだ生きてます 　　　二人：え？ 　　　若葉：それに、本当に悪い人なら、ここで死に急いだりはしません 　　リリト：なんだと！？ 　　カレン：・・・・・・・・・・・・・・・・・ 　　　　　　そうね、若葉ちゃんのいうとおりね 　　　　　　帰りましょ 　　　若葉：はいっ☆ 　若葉は、両手でカレンのロングソードを抱えあげると 　カレンに渡す 　　カレン：ありがとう、若葉ちゃん 　カレンは、片手で軽々とソードをさやに収める 　　リリト：おい！ 　　　　　　私を置いて行くつもりか？ 　　カレン：自分のことぐらいは自分でやりなさい 　カレンは、カトラスを倉庫の隅に投げ捨てる 　二人は、そのまま振り返りもせずに倉庫を出ていく 　二人の姿が、夜の港に消える 　　リリト：おい、後一人いるだろう 　　　リラ：あたしのこと？ 　　リリト：そうだ 　　　リラ：悪いけど、あたし、お金にならないことはやらないの 　　リリト：馬鹿な 　　　　　　私は１０万Ｇの・・・ 　　　リラ：今のあんたじゃ、１０Ｇにもならないわね 　リラの気配が消える 　どうやら、外に出ていったらしい 　　リリト：・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 　　　　　　・・・・・・・・左手は、使えた・・・・ 　　　　　　・・・カレンのソードも、片手でもてない重さではなかった・・・・